ワーカーホリック 心酔する愚者2章-⑪

そこから23時までは、Sのサポートのもとでゲーム好き女子という設定で色んな話をさせられた。
なんだか小学生男子と話しているようで、少し和んだがそれでも疲れた。
カトウアイも話題に入りながたら、5分するとまた席を立って20分後に戻るを繰り返していた。

売れっ子ホストも大変だな・・と思いながら、わたしは100万円で飲めるお酒を考えていた。
となりのお客様は70万のシャンパンをいれたらしい、わたしはそのタイミングに合わせて、夏樹に耳打ちする。
「ねぇ・・・100万ぐらいのお酒ある?」
「えっ100万ですか??そしたらこのエンジェル柄のものが・・・」
お酒の説明をしてくれるが、あまり興味がなかったので、とりあえずそれでと伝えたら、夏樹が黒服を呼んでなにか話していた。
その黒服がいなくなったと思ったら、カトウアイが駆け足で席にもどってきた。
「サキコちゃん、100万のシャンパン入れてくれるってほんと?」
「うん・・・彼からもらったお金より少しオーバーしちゃったけど、私も手持ちで少し持っていたし、問題ないよ」
そういってカバンの中をちらっとカトウアイにみせる」
カトウアイがつばを飲むおとが、私にも聞こえた。
「ありがとうサキコちゃん、実はそろそろラストオーダーだから、先にお会計しても良いかな?」
「もちろん、はいどうぞ」といいて私は200万を出し、カトウアイが持っていた伝票に挟んで渡した。
「ありがとう・・・じゃ、一緒にシャンパン開けたいから、もう少ししたらまた戻ってくるね」
カトウアイはまた席を立った
夏樹が驚いた表情で話しかける。
「サキコちゃんすごいですね!はじめてのお客様で100万円以上使う人、俺初めてみました」
「そうかな?きょうはお店にいくのも楽しみにしてたし、それに彼が帰っちゃったから、少しでも売上になるとうれしいとおもって使っちゃった」
なんていいこなんだ・・・と夏樹が感動している表情をみて、わたしは面倒くさいとおもってしまった。

5分後、カトウアイが黒服と一緒に100万のシャンパンを持ってもどってきた。
わたしはすごいっ!って表情をしながら、シャンパンをカトウアイが開ける。
ポンとなる音と同時に拍手をする。
みんなでグラスをついで、乾杯をしながら飲んでいると、急にカトウアイが手をつないできた。
「ありがとう・・・サキコちゃんのお陰で今日もラスソン取れそうだよ」
「そうなんだ。アイ君の売上に貢献できてうれしいよ」
「サキコちゃん・・・本当にいいこだね。おれ、こんなにいいこはじめてだよ」
「そんなことないよ、わたしなんて全然」
「本当にいいこだよ、サキコちゃん」
「ありがとう」

笑いが堪えられるのがつらい。
私の言葉はほとんどSが指示してくれたものを話している。

そうして爆音が響くと同時に、お店全体のコールがはじまった。
その瞬間お店のホストたちはコールのあるテーブルに順番に向かうため、お客さまだけがテーブルに残される。

爆音でのコールが響くなか、黒服が伝票をもってきた。
180万と書いてあり、20万のお釣りが返ってきた。

ホストクラブのTAXというものはどうやら普通のお店の倍以上するものらしい。

20万をカバンにつめて、コールが終わるまでSとラインを取り続けた。
ちなみにこの金額をきいたボスは爆笑していたらしい。


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