ワーカーホリック 心酔する愚者2章-⑧
午後21時、私は朝にきたクラブキャロルのビルにSときていた。
ここに来る前に美容室とネイルサロンに連れていかれ、その後百貨店でなぜかハイブランドのバック、コート、ワンピースとハイヒールとカバン、マフラーをほぼ一式で揃えて購入したあと、外商スペースの個室で着替えて、Sが運転する車で連れてこられた。
美容室とネイルで約3時間、洋服たちを購入するだけで2時間。
Sが段取りを組んてくれたから、まだ楽だけど、正直すこしつかれた。
「そういえば、このお金ってどこから出したの?」
「あぁボスからのアタッシュケースの中に道具と2,000万円入っていたからそこから使った」
「いや、そのお金経費じゃないの?勝手に使ったらまずくない?」
「いや、このこと話したらボスが俺もいきたいって話になったから。問題は無し。あとでお店で合流するから接待よろしくね。ちなみにVIPルーム貸し切りでおさえました。」
「・・・ボスもあんたも、アホなのか・・・」
「ちなみにNはボスの愛人設定でいくからよろしくね、それで途中でボスたちは他の愛人のところに急遽行くことになって、1人でカトウアイ指名をして話をするって流れ」
「えっボスずっといないの?」
「そりゃそうだろ。そうじゃなきゃカトウアイと話せないだろうし。それにカトウアイにはちょっと喧嘩中って設定でいるから、あっこれ俺のネカマスマートフォン渡しておくわ」
Sは私にスマートフォンを渡した。
「Nは高級官僚の事務官の設定で、今日は愛人役のボスと流行りのホストクラブに行ってみて、喧嘩中で途中でボスが帰ってしまう。やけになったNは1夜で500万使って、カトウアイとアフターに行きお持ち帰りされる設定」
「待ってツッコミどころ多いけど、まずわたしアフターなんて行きたくないんだけど」
「いま騒がれているカトウアイがお持ち帰りはしないと思うけど、夜ごはんのアフターは一緒に行きそうじゃない?今回の話の経緯聞けるチャンスだし、何より」
「なんでカトウアイが抱きついたのか知りたいと思った?」
「そう、下半身で動く男が、このNに何を求めるのか」
「お金でしょう」
「お金しかないが、気になるじゃないか」
金も女も手に入る男が何に苦しめられているのか
Sの低い声で呟いや横顔をみて、背筋がひんやりとした。
「一番は案件の早期決着のためさ☆ 俺は車の中から2人の洋服とピアスについているイヤホンを通して、ボスとNに指示を送る。ボスはこの車に戻ってきて俺と一緒にNのサポート入るから安心して、それじゃ、いってっらっしゃい」
Sは声をかけてから、後部座席のドアのスイッチを開けてくれた。
わたしは車を降りて、クラブキャロルのあるビルのエレベーターに向かっていった
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