見出し画像

西灘にて 2022.04.30

午前中、溜まった仕事を終わらせに出勤。昼過ぎに片付いたので退勤、西灘に向かう。ゴールデンウィークもあるので、職場から色々なものを持ち帰った関係で鞄がやけに重い。

阪神電車に揺られ大石駅で降りる。駅のホームから川に掛かる鯉のぼりが見えた。このときは、この光景(場所は違うが)をまた見ることになるとは思わず。歩いて西灘文化会館を目指す。途中、本庄酒店という酒屋があり、そこのペンギンの看板がインパクトがあってよかった。事前にスズキナオさんから会場の雰囲気を伺っていたので大丈夫そうだと思い、途中コンビニでお酒を買う。
少し汗ばみながら水道筋商店街までたどり着く。ちょうど目の前をチェックのシャツを着たスズキナオさんらしき人が歩いていた。入れ違いになるとは聞いていたがこんなタイミングもあるのかと思う。声をかけるタイミングを逃す。

会場に到着すると平民金子さんも橋本倫史さんもいなくてびっくりした。

「全体的に何もかもが未知数すぎます」と事前に平民さんが書いていたので「そういう時間なんだろうな」と思って適当な椅子に座ってチューハイを開けて飲んだ。やがて平民さんと橋本さんが戻ってこられて「天気もいいし風も気持ちいいですし散歩でも行きましょうか」と平民さん。到着5分で散歩が始まるイベント、最高だ。

橋本さんと平民さんに着いて水道筋を歩き住宅街を抜け都賀川に出る。途中、鳩の写真を撮る平民さん、植物を眺める橋本さん。それぞれがそれぞれの歩幅になって川べりを歩く。
「それじゃあ一旦ここで休憩です」と平民さんが宣言すると、平民さんは川の上流の方へ。橋本さんは対岸の方へ渡っていった。僕を含めた参加者はしばらくその場にいたが「これは自由にしていいってことだな」と解釈して、空になった缶を捨てに行き、鯉のぼりの写真を撮り、近くのイオンで新しい酒とつまみの惣菜を買った。戻ってみると平民さんは川べりで横になり、橋本さんは逍遥していた。

すっかり自由な空気に安心した僕も川の目の前に腰掛けてチューハイを開けて唐揚げを食べた。イオンの唐揚げはまあ可もなく不可もなくという味なのだが、今の空気になんかいいなと思った。目の前に鳩が止まる。川を眺めてぼーっとしていると、平民さんと橋本さん、参加者の皆さんがコンクリートの岸壁を見ているので近くに行く。

見ていたのは赤く小さなタカラダニ。「とても可愛らしいんです」と平民さん。ぽつぽつとタカラダニの話をする。僕が小学生の頃、公園のベンチによくいたこと。手で潰してしまって手が赤くなったこと。だからみんな「アカムシ」と呼んでいたこと。「アカムシですか」と平民さん。タカラダニは5月くらいの暖かい日に見られるから季節を感じるのだそうだ。
そこから水道筋の方へ戻ってゆく。途中、マジックパン灘店で平民さんがサンドイッチを買う。僕も中に入って、ゆで卵を1つと、耳たまごという、食パンの耳にタマゴを塗ったやつを買う。60円を2つ。

それから各々が水道筋を歩く。いい感じの居酒屋のメニューを眺めていたら、平民さんも橋本さんも参加者達の姿もなかった。そのまま商店街を歩き、リサイクルショップの雑貨を見たり、神戸ビーフの鉄板焼き屋をみたり、途中で10個280円のたこ焼きを買ったりした。

西灘文化会館に戻るとトークが再開していた。

ジャスミン茶を寳焼酎で割って飲みながら、マジックパンで買ったゆで卵と、たこ焼きをつまみながら話を聞く(このたこ焼きが美味しいのなんの)。

音楽の話が始まる。ブルースの話、盲目のシンガーの話、高田渡の話。そこから文章を書く話へ。「平民さんはフラッとした文章を朝日新聞に書いているが自分だったら新聞に書くときは『たくらみ』を考えてしまう」と橋本さん。文學界の連載のコピーが配られ、阪神電車から見える“海”の話に。ここでヤマコさんも会場にいらして挨拶を交わす。橋本さんが昔撮った塾の先生の写真をみんなで見たり、ドライブイン探訪の話が始まる。ある時平民さんが「いろんなものを見ているはずなのに、写真はそれしか残してないんや、ということがある」と言っていた。散歩から戻ってきてからは酔いが回ってうつらうつらと聞いてしまっていたので、定かなことはいえないが、この「ぽつぽつ語る会」は、橋本さんや平民さんが世界をどんなふうに見て、何が残っていくのかという話だったように思う。そこにつきまとう寂しさの話だったように思う。思えば『水納島再訪』もそうした本だ。「今こうして撮った会場の写真をいつかまた見るときがくるんでしょうね」と。
一年後の再会を述べて会が終わる。なんだかんだで最後まで残っていた。5時間くらいか。帰りはヤマコさんと阪神電車に乗って帰る。電車の中では酒場談義に花が咲く。

家に帰って、マジックパンの耳タマゴを食べながら金麦を飲んで、少し食べ足りず100円ローソンで買った焼きそばにキムチを乗せて食べた。少しうつらうつらとして残った金麦を飲んで寝た。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?