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子供との朝

9歳のうちの娘は朝が苦手だ。
夜は10時前には寝ているはずなのに、寝起きも機嫌も悪い。ダラダラと用意をし、毎朝ギリギリまで家でくつろいでいる。

妻はそんな娘のダラダラした姿にカミナリを落とす事が多い。私はいつもその様子をハラハラしながら見ている。

夕方からバレーボールの練習がある日の朝、1階でコーヒーを飲んでいると、いつもどおり不機嫌な娘が2階から降りてきた。
「おはよ」
「おはよ、、、あーっ」
いつもより機嫌が悪い。
「どうしたん?」
「今日バレー嫌やな、、」
バレーの練習を嫌がる事は普段あんまり無かったので少し心配だ。
「どうして嫌なん?」
「だって監督すぐ怒ってくるんやもん」
「そうかぁ。バレーは楽しい?」
「楽しいよ、、」
「怒られるのはそんなに気にする事ないよ。楽しくバレーしておいで」
具体的なアドバイスを言ってあげれないな。
せめて元気に学校に行って欲しい。

「あーーー」
でっかいため息を家中にばら撒きながらダラダラ用意をしている。キッチンからピリピリとした空気が後頭部を刺激するのを感じながら、娘に聞いてみた。

「ライオンキングの歌どんなんだったっけ?」
キョトンとしながら少し間をあけて、

「なーんっ、つごんにゃーっ」

昨晩、お風呂で歌ってくれたテンションで元気よく歌ってくれた。
機嫌は悪いけどノリはいいな。

娘も妻もニヤニヤしていた。

ため息と歌い出しの音程が一緒だった。

「めっちゃ上手やん」
妻が言った。

娘はご機嫌で学校へ行った。


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