【財務分析 Vol.33】 グリコの「ビジネス発見眼」

すらまっぱぎ!うっちーです(@Life_is_UpToYou)
インドネシアからお送りいたします。

このブログでは、"当たりまえ"を破壊して
新しい"当たりまえ"を作った会社を、主なモデルとして取り上げています。
テーマは"Think Different"です。(Apple)

読んでいただいた方が少しでも、ビジネスモデルのおもしろさとか、
会社の基盤であり結果を表す数字を、楽しいものと思ってもらえたら嬉しいです。

財務諸表をみればその会社がわかる。
Vol.33 『江崎グリコ』

理念:「おいしさと健康」
ビジネスカテゴリー:食料品

▶社名に隠された意味

とてもとても有名な話ですし、公式ホームページの「トリビア」のところにも記載があるものですが、ここでも記載してみたいと思います。

社名の「グリコ」は重要な栄養素「グリコーゲン」の略です。

グリコーゲンがもたらす効果は大きく下記三つのよう。
・疲労回復効果
・集中力を高める効果
・血糖値を調節する効果

グリコーゲンを活かして、「当時栄養が不足する子供たちに栄養を届けるんだ!」という思いを込めて、社名を『グリコ』にしたという話も聞きます。

また「トリビア」内に書いてあるエピソードに、下記の記載があります。

ある日、漁師たちが牡蠣の煮汁を捨てるのを目にします。
「牡蠣にはエネルギー代謝に大切なグリコーゲンが多く含まれている」
「栄養豊富な煮汁を捨てるなんてもったいない。なんとか活かせないだろうか」。
最初は、薬への利用を考えたそうですが、それよりも病気の予防が第一、子どもたちの健康づくりに活用することを決めました。
「“国民の体位向上”に貢献したい。そのためには、子どもたちが喜んで食べてくれるものがいい」
このひらめきで、グリコーゲンの入った栄養菓子「グリコ」が誕生したのです。

このように”当たり前”におこなわれていることに疑問を持ち、一歩立ち返り”不要”とされていたものに目を向け、ビジネス展開したことにおもしろさを感じます。

また『薬=良薬は口に苦し』という言葉ができる程、体に良いものは”不味い”という”当たり前”がありました。薬のように栄養が取れ、かつ健康に寄与するものを「子供が手軽に、美味しく、喜んでおやつとして食べられるように、」という想いの上でお菓子になっている。

この”当たり前”に疑問を投げかけ新しい”当たり前”を作ってきた裏のストーリーは人々を共感の渦に巻き込み、ファンと大勢のサポーターを作りながら、大きくなってきたことに納得ができます。

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「道頓堀であのポーズで写真を撮る」というのも観光者の”当たり前”のようになっていますね。あれの宣伝効果果てしないように思えます。笑

▶オフィスグリコ

こちらもおもしろい施策で、『置き菓子』文化の創出です。

※『置き菓子』という言葉は、江崎グリコの登録商標となっているそうです。

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働き方改革(生産性とかの意味合いだと思うので少し論点ズレてますが)やらオフィスでの過ごし方やらで「カフェ×オフィス=カフィス」のようなことが、注目されたりしている中『リフレッシュ』のひとつとしてオフィスの環境をよくすることができます。

これが登場する前にも多くのオフィスで働くスタッフは自分のデスクの引き出しにお菓子を忍ばせていたりしていたことから、公式にこういったものを会社が置くことには大いなる価値があるように思えます。また100円~200円の値段感で、お菓子を手ごろに手に入れることができるのは嬉しく、集中力を持続させるには、いい施策だと考えられます。

こういった”当たり前”の中にあるけど、なかなか気づかない点を鋭く見極め事業としてローンチするところに、かなりのビジネスセンスを感じます。

『見えているけれど見えていないこと』これを展開するだけで、ビジネスというのは成立つんだということを証明し続けています。

無駄にしていることや、こんなのあったらいいな、と思うような”不”を見つけよう意識して生きてみることにします。

▶グリコの財務分析

キャプチャ


収益性 ★★★
安全性 ★★★★
生産性 ★★★
成長性 ★★★

ぱっと見で分かることは、小さくもしっかりと成長していることですね。利益をしっかりと積上げながらも、借入を活用した資金調達により手許現金を増やし投資に回しています。その結果利益率の向上が図られていることも同時にわかります。

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五期比較すると、2017年に違った動きをしていることが一目瞭然となります。この時にキャッシュフロー計算書のはプラス・マイナス・プラスの”攻め型”に転じ、翌年2018年にさらに多額の投資活動をおこなっていることがわかります。

この2017年の財務活動と2018年の投資活動は、財務体質をより強固にしつつも成長していこうという意思が見受けれます。

ロングセラー商品を多く兼ね備える老舗とも言える”グリコ”には利益を生み出す仕組みがすでに備わっているようにと推察できます。

だからこそ”売り物を変えるのでなく”、”売り方を変えている”、幅の広げ方は今後の成長を見込むのに期待ができそうです。


~まとめ~

大人から子供まで、みんなが好きな”お菓子”と”健康”を組み合わせたそのビジネスはある種最強の組み合わせとも思える。

またその最強の武器を駆使したおもしろい発想によるビジネス展開には、今後も人々を幸せにしてくれる楽しさが詰まっているのだろう。

頑張っているみんながグリコのお菓子を食べて、さらに頑張れて、各々目指すゴールへ両手を上げて到達できたら、お菓子という領域を超えてもたらす価値は計り知れないといえるだろう。


過去の資料である財務諸表から結果を読み取り、その原因を考え、要因分析し将来の施策を考えると、その企業の動向をつかめるようになります。

一緒に財務の観点から物事を把握できるよう頑張りましょう!


参考


財務分析項目について下記サイトがすごく便利です!是非活用してみてください。

財務諸表ハック|各種企業財務チャート、複数社比較も簡単にできるXBRL財務分析ツール
財務諸表ハックは、XBRLをベースに企業財務情報を財務分析チャート、帳票に展開するWebアプリです。
www.tukuttemiru.biz


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