【財務分析 Vol.31】 コマツの「”解決”ビジネス」

すらまっぱぎ!うっちーです(@Life_is_UpToYou)
インドネシアからお送りいたします。

このブログでは、"当たりまえ"を破壊して
新しい"当たりまえ"を作った会社を、主なモデルとして取り上げています。
テーマは"Think Different"です。(Apple)

読んでいただいた方が少しでも、ビジネスモデルのおもしろさとか、
会社の基盤であり結果を表す数字を、楽しいものと思ってもらえたら嬉しいです。

財務諸表をみればその会社がわかる。
Vol.31 『小松製作所』

理念:コマツウェイ
ビジネスカテゴリー:機械

▶コマツによる発想の転換

建設機械を展開するコマツ。その商品は「ブルドーザー」や「ショベルカー」など、男の子なら小さいころに不思議と惹き込まれる、いかついタイプの機械群です。

この世で売られているあらゆるモノは、たいてい製品の販売に過ぎません。車を買いに来た人のは車を売り、シャベルを買いに来た人にはシャベルを売ります。これもひとつの世にある”当たり前”ですね。

こうなった場合、モノが溢れている昨今の時代において大体が『価格競争』に巻き込まれます。その”モノ”が必要な人がいる限り売れる、ということに変わりはないため、同じような商品を作り出す会社が何社もあっておかしくないのは当然です。

ではそんななかで、”サービス”とは一体何か?”モノ”を必要としている本当の理由は何か?そしてそれを”解決する”ってどういうことなのか?

これを考えることがとても重要になります。

車を買いに来た人は、女性にいいところを見せたいから買いに来ているのだったら、週替わりで違う車種を使える”サブスク”を提案してもいいし、

シャベルを買いに来た人が毎日穴を掘るからすぐダメになるという悩みを持っているなら、3日に一回郵送サービスをするということを提案したら喜んで頼まれるだろう。


そうです、世の中の”当たりまえ”を疑い、単なる製品を製品としてだけでなく、”解決”として販売をしているのがコマツの戦略なんですね。

▶”解決”提供のための二つの施策

建設業など計画や納期がある事業において、もし機械の故障が原因で工事中断となった場合、関係者が被る損失は計り知れない。また故障がわかってから、その故障箇所を断定して直すという工程を踏んでいたら、あまりにも時間がかかりすぎる。損失は二倍の規模になる可能性をも秘めている。

これこそが、未然に防ぐ”解決”の策として”価値”があるものと見抜きました。

そして始めた二つの施策が、①監視センターとGPS搭載 ②販売店との協業です。

①監視センターとGPS搭載

すべての建設機械に監視センターとGPSを搭載することで、毎日の利用状況を把握できる状態とした。この分析により機械の場所の把握と故障個所の断定がすぐでき、保守点検や故障対応などのアフターサービスを円滑に進め、損失発生の機会を大幅に下げることを可能とした。

②販売店と協業

さらにその分析データを販売店と共有してサポート体制を整えた。そのため販売店は、データを基に故障の予兆を検知した時には、トラブルが起こる前に修理や部品交換の提案が可能になる。現場は未然に故障を防ぐことができる。

製品を使用することにとどまらず、この使用する上で起こりうる部分にまで気を配り、そしてその先の困りごとまでを含めたサービス展開をする”解決”の提案ができるかが、業界問わず生き残るために大事な考え方となりうるだろう。

▶コマツの財務分析

キャプチャ


収益性 ★★★★
安全性 ★★★★
生産性 ★★★
成長性 ★★★★

今回も適当な期間をセレクトして期間比較をしてみました。

総資産1.4倍、売上高1.5倍と『本業集中型』で事業を拡大していることが見て取れます。利益剰余金が積み増さってる点からも、利益を出し続けてきたことがわかると思います。

BS上の比率を感覚的につかんでも、流動比率や固定比率は問題なく思えます。しかしその中身を見てみると、項目の大半は”売掛金”や”棚卸資産”が占めています。建設機械などの販売となると、資金回収サイトが長引き、また一個に対する在庫金額も大きくなっていると考えると納得ができます。

この”売掛金”や”棚卸資産”は営業CFを引き下げます。(※Vol.29参照)回収が長期になればなるほど手元の現金が必要になりますから、おのずと財務活動による資金調達の幅が増え、有利子負債が倍増していると考えられます。

(それでも期末現預金は月商の一ヶ月分にも満ちていません。建設機械を担保に金融業など始めても面白いかもしれませんね。)

またそれが起因して資産効率を表す回転率も1を下回ってますね。

しかし、PLを見ると利益率は10%と競合他社と比べても高い水準であることがわかります。(日立製作所は約5%、2倍!!)

この高水準は、上記にてまとめた”解決”を基軸としたサービス展開によるものと言えるでしょう。3年で利益率も向上しています。

経営者の経営の施策と業種のクセが垣間見れました。これが財務分析のおもしろいところですね!!


~まとめ~

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どの水準を見てみても、しっかりと成長していっていると判断できるでしょう。思考を転換し、真に”顧客”を捉えることが本来の価値を提供することをよく示していると思います。

常に思考を止めず、”当たり前の”渦に飲まれず、新しい”当たり前”を創り上げられるようアンテナはっていきましょう!!


過去の資料である財務諸表から結果を読み取り、その原因を考え、要因分析し将来の施策を考えると、その企業の動向をつかめるようになります。

一緒に財務の観点から物事を把握できるよう頑張りましょう!


参考
財務分析項目について下記サイトがすごく便利です!是非活用してみてください。

財務諸表ハック|各種企業財務チャート、複数社比較も簡単にできるXBRL財務分析ツール
財務諸表ハックは、XBRLをベースに企業財務情報を財務分析チャート、帳票に展開するWebアプリです。
www.tukuttemiru.biz


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