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【CS優勝】ワンマジ採用型ドライトロンの2021年夏環境における噛み合いについて

2021/06/27 に開催された第38回太陽CSにて、環境初期に竜輝巧を使って6-1で優勝することができたので、利用した構築について紹介したいと思います。

著者は東京でCSに出ているYPで、《宣告者の神巫》を変換するときはだいたい「かみ/かんなぎ」と入力している派です。いちこだと出ないんじゃ……

本記事は前提知識として、ドライトロンの基本の動きを把握しているものとして進めます。

デッキレシピ

手っ取り早くレシピを見たいかたはこちら。
一般的な構築と違って、シャドールを重く見た紫光と、ハリ&ワンマジが採用されています。理由は後述します。

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東京の環境について

2021年7月制限は始まったばかりですが、現状の環境は大きく以下の 2 つの動きが見られます。

・鉄獣十二獣の消滅
・電脳/メイドの流行

ドライトロンの強みは『ギミックと誘発が同居してるので展開型ミラーに強い』『テーマギミックがすべて墓地効果があるので妨害の残弾が尽きてもフィニッシャーを押し込める』ことであり、弱みは『誘発のかさ増しに弱い』ことであるため、全体として有利対面が増えて、不利対面が減ったと認識できます。

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また、電脳の流行予想によって、無限泡影の数が減ったことも追い風です。基本的にドライトロンは《ファフμβ’》がマストカウンターであり、手札によっては《ファフμβ’》に泡影などの無効系を食らうと、それだけで詰みが発生します。
またそうでなくとも、«バンα»と«神巫»のハンドなどは動くことができないため、妨害があるケースを含め、先攻盤面の形成の安定感が落ちています。

ただ電脳堺に対して泡影が有効な誘発でないことが現在数を減らしており、モンスター効果の誘発に対しては《朱光の宣告者》でケアできることから、今期は先攻の理不尽盤面を形成しやすい環境になっています。

ドライトロンにおいて重い誘発は誓約効果の都合で入られないγと、無効手段がない泡影の2枚で、γは枚数が減ったこともあり、止まることがほぼなくなったことが強みと言えます。

デッキ紹介

それらの環境要因を踏まえた上で、一歩踏み込んで今期の構築を考えてみます。

今期は今のところはは抹殺用にメインデッキに泡影を積む必要がないため、抹殺で弾く枠にあまりが出ていることかと思います。好みに合わせてニビルやロンギ、一滴などを採用されているような状態です。

今回はこの枠に対して、《アーティファクト−デスサイズ》を採用し、エクストラデッキに《水晶機巧−ハリファイバー》と《TG ワンダー・マジシャン》を採用してみることとしました。

これには現在ドライトロンが抱える弱点をケアする目的があります。

ドライトロンの弱点とライトニングマスターの弱さ

ドライトロンの最大の敵は対面より自分のデッキです。

Gで止まれないなど相手要因での厳しさももちろんありますが、天使ギミックとドライトロンギミックがそれぞれ独立してしまっていることから、動けないハンドの組み合わせというものが多く存在することこそがこのデッキの弱点となっています。

代表的なものとして神巫+バンαという組み合わせがありますが、それ以外にも動けない組み合わせが多く存在していることは、ドライトロンを握ったことがある人にとっては身に沁みる課題かと思います。

握ってない人は Next Play さんが解説しているのでぜひ。

これに対して、ドライトロン使いの回答は長らく《F.A.ライトニングマスター》というシンクロモンスターでした。

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この海外産のよくわからないバイクのこと

このカードは Lv.6 の神巫と Lv.1 のバンαで作れる Lv.7 シンクロであり、魔法罠をターン1で妨害できる1妨害となるのですが、正直信頼できる強さではない状況となっています。

ただ、問題はそのカードパワーではなく、そもそも《F.A.ライトニングマスター》が成立しないケースが頻出することです。

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例えば一見強そうなこのハンド。儀式魔法が不足しているので神巫で《流星輝巧群》をサーチして、ベアト→エル→エルで蘇生→ファフのルートによって4妨害のルートへと進めるのですが、この場合神巫にうらら or 泡影を喰らうとその時点で Lv.2 の神巫が棒立ちになってしまいます。儀式魔法が手元にないのでキャリアー→イーバの流れも作れず、妨害数ゼロでリソースだけ消費してターンが回ることに。

これが《F.A.ライトニングマスター》が成立しないケースです。

デスサイズによる0妨害の解決策

ただこのとき、一つの希望が見えてきます。それは、この展開において弁天のサーチ先が余っていることです。図解すると以下の状況となります。

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なお、状況としては神巫+バンαの場合も、神巫のアーデクのサーチ先が弁天になり、儀式魔法がない状況になるので、結果としては同じ状態になります。

つまりは最終的にバン+神巫と同じハンドの状態になる2枚のケースでは、この状況が発生します。

このとき、盤面にバン+神巫/ハンドに弁天+弁天でサーチする光天使が作れるようになります。この光天使枠は基本的には《朱光の宣告者》や《イーバ》のサーチが主流かと思いますが、ハンドの弁天を朱光のコストにすると次以降のリソースが作れなくなってしまい、ジリ貧になって負けるケースが多々あります。

そのため、今回この課題の解決策として《アーティファクト−デスサイズ》を採用しました。

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ドライトロンを使っていると光属性天使族のサーチとしてロンギヌスをサーチする機会はそれなりにあると思いますが、アーティファクトはすべて光/天使なので、同様にサーチが効きます。

自明ではありますが、デスサイズはターンスキップを要求するレベルのパワーを持っているカードであり、サーチして起動ができるのであれば、相手の展開を完全に封殺することすら可能な1枚です。

ですが、ドライトロンギミックにはサーチしたあとにこれを起動する手段がありません。ましてや Lv.2 の神巫とバンαだけで起動できるカードなんて……

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ハリファイバーが出たからと言ってチューナーSSできないし何が……

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ワンダーマジシャンはS召喚成功時に自分のものを含めたバックを割ることができるエクストラデッキのモンスターなので、メインデッキの事故などを考慮せず、安定して降臨させることができます。

基本的には神巫+バンをハリにしてターンを返し、優先権が回ってきてモンスターが出てきたあたり(γくらわないタイミング)でハリでワンマジを呼び出します。

このハリファイバー+ワンダーマジシャンを採用することで、これまで動けなかったドライトロンのハンドが、一気にターンスキップ級の価値を持つものとなります。

これによって事故率低減だけではなく、『Gを打たれたときの止まりどころ』まで生まれ、ドライトロンが抱える多くの弱点は一気に解消されることとなります。

これまでは

1. 神巫が通ることを祈りながらベアトまでつなげる(妨害食らったら負け)

だけの展開ルートだったのが、

1. 神巫が通ることを祈りながらベアトまでつなげる(妨害食らったら負け)
2. 通らなかったら余ってる弁天のサーチ先をデスサイズに変えてターンスキップに切り替える

という 2 つの選択肢をとることができるようになり、動きのパターンが多様化し、従来型のドライトロンデッキの弱点の克服が実現できました。

Gを打たれた場合の止まりどころとしてDRAをメインから採用するというケースもありますが、ただでさえ中途で止まっていることから足りないリソースを除外して動かないといけないなどネックな点も多く、どれも明確な回答とは言えませんでした。

しかしこの動きであれば、メインデッキに天使が1枚増えるだけでできる動きのため、本来のデッキパワーをほとんど落とさず、かつリソースも枯らさずに動けるようになります。

もちろんこの動きがあることを前提で動かれた場合はケアされることもあるため、今後も継続的に刺さる動きであると断言はできませんが、選択肢の一つとして有効ではあるかと思います。

これによって誤魔化しが効いたケースは少なくありません。

抹殺のスロットが環境要因によって余る場合、導入を考えて良い一枚ではないかと思いました。

その他細かな調整

ダウナード・マジシャンの採用
一時期廃れていましたが、4アーゼではないと捲れない相手が増えてきたので復活させました。選択枠だと思います。

ブラック・ローズ・ドラゴンの不採用
大好きなカードの一枚ではあるのですが、これが通る前に大体神巫は破壊されるので不採用にしました。

ライトニングマスターの不採用
前述の通り、有効なカードとして機能することが少ないので抜きました。

D.R.A. のサイドデッキでの採用
主にエルドリッチなど、相手ターン中に罠を割らないとグダって負ける相手を意識して採用しています。特にスキドレ下でエルドを倒せる唯一のカードになる点は重要です。

メインG1枚
漢なら気合で先攻をとれ!!!

ドライトロンとこれから

私はここ半年間で参加したCSの中でドライトロン以外を握った回数はたった2回であり、特に4月制限は誘発のかさ増しが顕著で、ドライトロンにとって厳しい状況が続きました。

ですが鉄獣十二獣の衰退と電脳とメイドという有利対面の流行により、ドライトロンは再び環境の座に返り咲こうしています。

ドロールなど致命的なメタがある以上、流行しているときこそ握ることがおすすめできないデッキになってしまうことは事実です。

ただ一つ願いとしては、この記事が読者のかたの家に眠っているドライトロンデッキがもう一度日の目を浴びるきっかけになれば幸いです。

あ、最近遊戯王DBにドローシミュレーターを追加するブラウザのプラグインを追加したから良かったら使ってみてください。

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