岩波ホール裏話〜バイトの思い出
岩波ホール、今年の夏で閉館だそうですね。
かれこれ20年ほど前、岩波ホールでアルバイトをしてました。おしごと内容は、チケット販売・入場案内・物販・電話番。
映画館でバイトなんて、無類の映画好きだったからかというとそんなことはなく、知人に紹介されて始めただけです。生まれて初めてのバイトで、ほーんと世間知らずだった私の最初の社会との接点でした。思い返すと社員さん全員キャラ濃くて相当濃い空間でしたけどね…。
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岩波ホールといえば、合言葉は「ミニシアターの先駆け」。
ぶっちゃけコアなファンにしかウケない、でもものすごく良質で、観れば必ず何らかの形で心に「引っかかる」映画を発掘しては地道に上映するスタイル。なので、勝手に言っちゃうと、劇場の運営は基本的に「満席にならない前提」でした。
今は諸々違うと思いますが、バイト当時は全席自由席で整理券なし、立ち見なし。混雑状況は電話で問い合わせ。当日券は上映回ごとの販売(朝に最終回のチケットは買えない)。チケットも物販もレジはなく、電卓で紙集計。
なのですが、たま~にメガヒットが出て、定員を大きく上回る人が殺到します。私のいた頃で言うと、
宗家の三姉妹
山の郵便配達
ご覧になった方、いらっしゃるでしょうか…?
なぜか中国の作品で、ほぼ立て続けにヒットを連発したんですよ。
空前絶後のヒットの裏では、マジでバイトも社員も悲鳴あげてました。
整理券がないので、前売券・当日券問わず開場前から大行列。当日券を売りすぎると席がなくなるので、1Fチケットブースで10枚売っては10F劇場に報告し、残りの販売数を確認。
1Fブースはバイト1人。私は毎回、数を数え間違えるか、報告を忘れてうっかり売りすぎてましたね…。
そうなると、奥の手発動。補助席(=折りたたみパイプ椅子)をみんなでえっさほいさと劇場に運び入れるのです。
入場してくるお客様は開場2-3時間前から並ばれていて、当然とてもお疲れだし、ぶっちゃけるとマナーがいい方ばかりじゃない。高確率で何か一悶着おきます。
事務所では電話が鳴りやまず。
チケットもパンフも飛ぶように売れ、手で集計する売上は絶対に1回じゃ金額が合わない。それを合うまで毎度計算し直します。最後まで合わないことも多いです。
これをベテラン有能バイトさんと社員さんが気合と根性で制御してました。今考えると、そんなんでよく回ってたな…
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岩波ホール閉館の知らせに、一時代の終わりみたいなものを感じて寂しさを覚えるのと同時に、今も健在の自分のポンコツぶりと当時のわちゃわちゃを思い出したのでした。
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