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坂本勇人のコンバートに見る3000本安打への夢

2000本安打へのカウントダウンが進んでいる今、気が早いかもしれないが、ほとんどの巨人ファンの総意であると思うので書かせていただきたい。



私は坂本勇人の3000本安打が見たい。



坂本勇人 安打数推移

2007年(18歳) 1本      1本

2008年(19歳)134本  135本 

2009年(20歳)178本  313本 

2010年(21歳)171本  484本

2011年(22歳)149本  633本

2012年(23歳)173本  806本 <最多安打>

2013年(24歳)147本  953本

2014年(25歳)152本 1105本   [100本塁打達成]

2015年(26歳)129本 1234本

2016年(27歳)168本 1402本 <首位打者、最高出塁率>

2017年(28歳)157本 1559本

2018年(29歳)152本 1711本

2019年(30歳)173本 1884本 <MVP>[200本塁打達成]

2020年(31歳)  91本 1975本(10月10日現在)

坂本は高卒2年目からスタメンとして試合に出場し、ここまでシーズンを棒に振るような大きな怪我なくきているため、ほとんど類を見ないほどのハイペースで安打を重ねている。

新型コロナウイルスの流行に伴い開幕が遅れたことで、史上最年少の2000本安打達成とはならなかったが、今シーズン中に達成すれば榎本喜八氏に次ぐ史上第2位、来シーズンになったとしても張本勲氏に次ぐ史上第3位の若さでの達成となる。

これほどの若さでの達成となると、2000本安打はゴールではなく通過点でありその先の記録も見えてくる。特に3000本安打となれば、NPBだけでの記録では張本勲氏しか達成しておらず、史上2人目の快挙だ。


遊撃手としての坂本勇人

そして忘れてはいけない、坂本勇人の最も凄いところといえば”打てるショート”であることだろう。

ショートは特に重要な守備位置とされるセンターラインであり、守備機会も多く、深い位置からの送球も必要な非常に負担の大きいポジションである。その中で、坂本は長年高水準の守備力を維持しつつ、あれだけの打撃成績をおさめているのだ。


しかし近年、さすがの坂本にも守備面での衰えが見られる。ここ数年のUZRの推移を見てみよう。

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※データは1.02- Essence of Baseballより。2020年のデータは10月2日時点。

UZR(Ultimate Zone Rating)とは同じ守備機会を同じ守備位置の平均的な野手が守る場合に比べてどれだけ失点を防いだかを表す守備の評価指標である。その守備位置の平均的な守備者のUZRはゼロとなり、優秀な守備者は+10や+20といった数値になる。                                                                     出典:UZR(Ultimate Zone Rating)1.02- Essence of Baseball

データで見ても分かる通り、坂本の守備力は下降気味である。特に去年は、前半戦で腰のコンディションが万全でない中プレーしていたため最終的な指標がマイナスとなってしまった。

今年に関しては守備範囲が昨年よりも広く復活したかのようにも見えたが、最近は早めの交代となったりコンディション不良でベンチスタートになったりするケースが増えてきた。

この様子から見るに、30歳をこえた坂本がこれからもショートでの守備と高い打撃成績を維持していくのは難しいだろう。近い将来坂本のコンバートについて考えなくてはならない。


坂本勇人のコンバート先

コンバート先についてはいくつかの候補が考えられる。守備負担を減らすという目的からすると、サード、ファースト、両翼あたりだろうか。ショートのコンバート先というとサードが真っ先に思い浮かぶだろう。前例としては、宮本慎也、鳥谷敬などがあげられる。サードにコンバートすることで、従来のサードよりは広い守備範囲を発揮でき、ショートならではの強肩も生かすことができる。

しかし私は、サードではなくファーストを推す。(コアな巨人ファンの間では共通認識かもしれないが、、)簡潔に理由を示すと、

・サード守備の良い岡本和真を固定したい。

・内野の要としてリーダーシップを発揮してほしい。

となる。坂本の守備範囲・肩・スローイングを生かすためにはサードが一番良いかもしれないが、今年から巨人のサードには岡本和真がいる。原監督も伝統の”4番・サード”を育てる方針を示しており、実際今シーズンは素晴らしい守備力を発揮している。(UZR 16.4:10月11日現在)

この岡本を動かしてまで坂本をサードにまわすことは考えづらいし、するべきでないと思う。となるとファーストか外野になるが、外野も考えづらい。腰への負担は減るであろうが、足への負担はかかってしまうだろう。

さらに、坂本には内野にいてほしいという思いもある。坂本はキャプテンに就任してから投手への声掛けなどを積極的に行うなど、チームの精神的支柱となっている。そのリーダーシップをこれからも発揮してもらうためにも、坂本には内野にいてほしいのだ。

また、ファーストの守備力がいいと内野守備全体のレベルが高くなるという仮説もある。体格の良い選手や捕球の良い選手がファーストにいると、より安心して送球できるため若手内野手の守備力も向上するのだろう。この点、坂本は適任なのではないか。(現に、今の巨人のファースト中島宏之はハンドリングが良く、巨人の内野の守備力も高い。)


坂本勇人のコンバート時期

コンバート時期についても、さまざまな憶測や議論が飛び交っている。私の考えは、

・早めがいい。今シーズンオフか、遅くとも来シーズンオフ。

・シーズンオフにコンバートしたい。

である。

今シーズンもショートを守りながらOPS .8を優に超える成績を残しており、まだまだやれるようにも見える。しかし、コンディション不良でスタメンを外れる回数が増えるなど、疲労の蓄積も目に見える。このままでは、長期離脱してしまうリスクはどんどん高まっていくだろう。そこで、今オフまたは遅くとも来オフのコンバートを推す。

また、しっかりと準備期間を設けるために、コンバートはシーズンオフに行ってほしい。シーズン途中に、コンディション事情やチーム事情からコンバートされる可能性というのも考えられる。そのような計画的でないコンバートは、ミスや怪我のリスクを上げたりコンバートのメリットを減らすと考えられるため避けたい。

オフにコンバートすることで、キャンプからファーストとしての体づくりをすることができるというメリットも生まれる。機敏に動く必要性があまりなくなるため、体重を増やしパワーをつけることができる。洗練されたバッティング技術をもつ坂本が上手く体づくりをすれば、安定して3割30本が望めるだろうし、再びの40本塁打だって期待できる。そして当然、通算3000本安打の実現可能性はぐっと高まるだろう。


読売ジャイアンツの決断・準備

”コアクラスの打力をもつ選手がショートにいる”というのは、長年巨人のストロングポイントであった。その選手をファーストにコンバートすることは必然的にチームの攻撃力を下げてしまうため、大きな決断となるだろう。

しかし、こうしたストロングポイントはいずれ失われてしまうため、むしろ早めに計画的なコンバートをすることで、攻撃力の低下を最小限に食い止めることが求められる。


2015~2016年にキャッチャー・阿部慎之助をファーストにコンバートした際には、当時の捕手陣の怪我などもあり、行き当たりばったりの運用になっていた。そのために、阿部の衰えとともに巨人が衰えていくという格好になってしまったのは記憶に新しいだろう。

だから今回はそうならないようにも、そして何より、坂本の3000本安打という巨人ファンの夢を手繰り寄せるためにも、早めの決断と入念な準備を期待したい。


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