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人には人の、可動域

今日のサムネは一昨日観に行った映画「僕とオトウト」です。
これめちゃくちゃ良かったんですよ。
障害のある弟を持つお兄さん目線のドキュメンタリーなんですが、没入感が凄かった。
ホームビデオ的であるのにしっかりと映画なんです。
内容もさる事ながら、やっぱり映画を撮る方って凄いんだなー。と思いながら観させて頂きました。
ネタバレになってしまうので深くは語りませんが是非是非劇場まで足を運んで見てみて下さい。


さてさて、先日歯医者に行ってきました。
いつも行っていた歯医者さんが遠くへ移転してしまっていたので、仕方なく新しい歯医者さんへ。
行ってみるとそこはほとんどが女性の先生らしく「うわちょっと口の中見られるの恥ずかし」等と色気付いた事が脳裏を過りました。

初めての診察だったのでX線撮影をしてもらい、席に戻る。
ソワソワしながら待っていると

「はーい、じゃあ次はお口の中の撮影をしますねー」

と先生が言う。
X線以外の撮影をした事がなく何が起こるんだと少しパニックになっている僕の口に、節分の時に食べる太巻の倍はあろうかという極太カメラがぶち込まれた。

なんだこのカメラは…!
素人からすると歯医者で使っている器具は全てが無駄にデカイ。
中でもこのカメラは何だ。
GoProとかあんな小さくて高性能なカメラが存在する世の中に、こんなバカでかいカメラがあって良いものなのか。

顎が外れるんじゃないかという恐怖と闘いながら、先生の指示に従い僕は頑張って大きく口を開け続けた。

先生の指示には少し難しいものもあった。
難しいというより

「なんでそうする必要があるの?」

という様な指示で、大きいカメラを口に入れているにも関わらず

「ちょっとだけ口をすぼめて下さい」

と言うのだ。
なんでや。理由が分からんぞ。
僕には理由が分からなかったり納得出来なかったりすると、行動に移すまで少し時間をかけてしまうところがある。
この時も無意識にそうしてしまったのだろう。
中々口をすぼめようとしない僕に痺れを切らしたのか、先生が僕の上唇を引っ張った。

おお、結構強引な感じでやらはるんですね〜。
なんて暢気な事を考えている内は良かったのだが、唇を引っ張る先生の手にはどんどん力が入り「上唇と歯茎を繋ぐ用途不明の謎の筋」がめちゃくちゃ痛くなってきたではないか。

アカンアカン…千切れる!!

それは感じた事のない激痛だった。
誇張とかではなく、本当に耐えられないくらいの痛み。
しかし何となく悪い気がして「痛いです!」とは言えず、我慢するしかなかった。

僕が必死に痛みを堪えている間も、先生の指先に込められる力はどんどん強さを増していった。
そしてこれ以上はもう上唇が広がらないよ。という所までいったところで「ブチッ」と、激痛を訴えていた謎の筋から音が鳴った気がした。

映画等で拷問されている人がおかしくなって笑い出すシーンをしばしば見かける事があるが、ブチッという感覚と激痛と共に僕も突然、今の状況が面白くてたまらなくなってしまった。

何で歯医者で唇の筋千切られそうになってるねん!
先生どういうつもりなんや!?
ここ通ってる人みんなこれ我慢してきたん?

色んな事が頭に浮かんで来て考えれば考える程面白くなってくる。
思わぬところで僕は拷問されたら笑ってしまうタイプの人間なのだと知る事が出来た。

女性の先生だったので遠慮してしまったのもあるが、出来れば次回からは唇の「可動域」についても配慮して頂けたらなと思う次第である。

その後、歯を削ってもらう時に

「痛かったら直ぐに手をあげて下さいね〜」

と何度も声を掛けてもらったが、上唇の筋のあの痛みと比べたら正直屁でもない痛みだったので僕の手はずっと大人しいままだった。
痛かったら直ぐに手をあげて下さいね。のシステムを何故さっきは導入してくれなかったのだろうか…!
そしたら遠慮なくすぐに!高らかに!常時手をあげていただろうに…。

特に嫌いでもなかった歯医者が、この歳になって少し苦手になったというお話しでした。
皆さんは拷問されたらどうなるタイプですか?

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