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大型Deal! 学生ローンリファイナンスで急成長 SoFi (IPOE)ってどんな会社

本日大型のSPAC上場がアナウンスされました。Social Capital Hedosophia Holdings Corp IVがSoFi社を買収し、上場させるという合意がなされたという発表がありました。

注目すべきはその規模です。なんと$8.65Bの大型ディールです。

このSoFiという会社、どのような会社なのか簡単に調べてみました。

事業内容

(Wikipediaより引用)

SoFiは2011年スタンフォード大学出身のマイク・キャグニーと4人の大学院生によって設立され、40名のスタンフォード卒業生から200万ドルを調達し、100名の大学院生に2万ドル貸出した教育ローンから始まる。続いてハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、ノースウェスタン大学、ペンシルバニア大学にも拡大していった。このように顧客の中心はHENRYs(High Earners, Not Rich Yet)と呼ばれるミレニアル世代の高学歴・高収入の層であり、教育ローンやリファイナンスの成功を足がかりに、モーゲージや個人ローンへとビジネスを拡大させている。

教育ローンの特徴としてはビッグデータを活用し返済能力の高い借り手を探し出して貸し倒れリスクを低く抑えること、大学の卒業生からなる貸し手とマッチングさせることで高い金利を要求しにくくしたこと等により従来の連邦学生ローンより低金利の学生ローンおよびリファイナンスを実現したことが挙げられる。また借り手の返済能力改善を試みとして履歴書の書き方や面接訓練など借り手の将来の給与水準を引き上げる取り組みも行っている。

同社の既存事業に関してはいろいろな解説記事がありますので、それを更に引用。

(引用開始)

SoFiとはどんなスタートアップなのか、そのサービス概要と沿革を解説します。SoFiが提供するのはP2Pレンディングといい、インターネット上で貸し手と借り手をマッチングするサービスです。

同社が成功した主な要因は、ハーバードやスタンフォードなどのハイレベルな大学に在籍する学生を借り手顧客に、そして彼らの先輩であるその大学の卒業生達を貸し手顧客に、それぞれターゲットを選定しレンディング仲介サービスを提供している点です。

高学歴な学生達は卒業後高収入な仕事につく可能性が高く、かつファイナンスに関するリテラシーや責任感も高い傾向があるため、借入額及び返済率は高くなります。つまり、同社は”借りた金を返す人が多いマーケット”に対し的確に狙いを定めたことで、サービスを拡大することに成功したということです。

その他にも、銀行より借り入れの金利が低いことや投資家にとって利率が高いこと、AIによる与信スコアの算出、手続きがオンラインで完結するため利便性が高いことなどが同プラットホームの特徴です。ですがそれらの要素は他のオンライン・レンディングプラットホームも同様に持ち合わせているものであり、実質的な優位性はそのマーケット選定にあったのだと考えられます。

学生向けローンというスローガンから、SoFiに対しソーシャルなイメージを抱く人は少なくないと思います。しかし実際の顧客層は主に高学歴、いわゆる”金持ち”の人々です。その意味では、”金持ちほど金を生む”という市場の摂理を正しく理解・利用した”王道の金融サービス”であるとも言い換えられるのではないでしょうか。

現在では事業を多角化し、住宅ローンや個人向け融資、株取引などのサービスも展開していますが、数ある米国のP2Pレンディング・スタートアップ(Lending Clubなど)の中で競争優位を保てているのは、上述した学生向けマーケットでしっかりとドミナンスを勝ち取っているためです。

2017年末にはセクハラ疑惑によって、前CEO兼創業者のMike Cagney氏が退任するという出来事もありましたが、今回は新しいCEOであるAnthony Noto氏が就任して以降初めての調達ということになります。新体制へと変容し、サービス拡大を図る同社の今後に注目です。


基本戦略は、顧客との関係を構築し、様々なファイナンスサービスを拡張して提供していく戦略。FSPL (Financial Service Productivity Loop)と呼び、顧客のLTV(Life Time Value)を最大化し、CAC(Customer Acquisition Cost)顧客獲得コストを低減させていく。

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Winner Takes Most。自分たちはこれからFintech分野の巨人になることを目指します。

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金融サービスはサービスタイプによってFragmentedで、消費者は様々なサービスを別アカウントで購入することを強いられている。SoFiはこれを一つのAppで提供している唯一の会社

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マネジメント構成はこんな感じ。

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サービスのポートフォリオは以下のようにこれまで拡充してきている。

・Money : 口座サービス。口座維持料無料、ATM手数料無料(海外含む)
・Relay:金融資産管理情報サービス
・Invest:投資口座
・Home Loan:住宅ローン
・In-School Loan:学生ローン
・Credit Card:クレジットカード
・SoFi Reward:クレジットカードリワードプログラム

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会員数は順調に拡大中。現在約171万人で、約75%の前年比成長を遂げており、来年には会員数300万人をめざす。

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商品販売数は2021年で77%増の見込み。複数商品を購入する顧客も前年比95%増で増加中

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顧客と関係を作り、複数の金融商品の購入を促していくことで、顧客のLTVを増加させる

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例えばHome Loanは65%の顧客が既存のメンバーの商品再購入から来ている。

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住宅ローンはたった$1Mのマーケティングコストで$30Mの売上を獲得している。二つ目の商品以降の購入の利益率は高い。

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商品カテゴリ別の継続購入者率の比較。Relayという金融資産管理情報サービスが二回目以降の購入の顧客率が高い。マネーフォワードみたいなやつですかね。それ以外は、やはり高額な住宅ローンや投資サービス。

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テクノロジー、オペレーションを内製化することで、12か月で5つの商品のLaunchを行うことに成功。Full Stackで事業に取り組むことで、イノベーションを加速、スケールする際のコスト削減、Iterativeなテストを迅速に実行、アクション可能な情報を引き出すことが可能になる

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SoFiは、様々な金融サービスとの接続のAPIサービス提供会社のGalileoを買収している。このGalileoを通じて、SoFiの商品の提供をGalileoの持つ5000万アカウントにスケールしたり、逆にSoFiの顧客に様々な金融サービスへのアクセスをOne stopで提供したりすることが可能になる。ラテンアメリカ、メキシコへの展開もGalileoを通じて展開をにらむ


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Galileoのアカウント数も順調に拡大。5000万人に。前年度成長131%。

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SoFiはWinner Takes Mostに至る良いポジションにある

・22歳以上の収入100K(約1000万円)以上をターゲットとする
・1つのAppでフルスケールの様々な金融サービスにアクセスできる
・デジタルネイティブの金融サービス
等々

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売上・利益計画。

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今後の戦略では、3つの事業をバランスをとって成長させていく。

貸付サービス、テクノロジープラットフォーム、金融サービス

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CAGRはそれぞれ以下を想定。成長ステージが異なるため、成長率はそれぞれ異なる。

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現在はLendingに事業の83%を依存しているが、今後2025年に向けて、各事業の貢献を分散させてより強い経営体質にしていく

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事業ごとの成長率は以下を想定

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銀行免許を申請しており、取得できると水色のアップサイドのポテンシャルがある。

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PLは以下

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雑感

昨今のSPACの中でも最大級の大型上場。$OPENや$LAZRなんかよりも大型です。

同社プレゼンは以下のスライドから始まります。流通業や自動車業界でアマゾンやテスラがいかに時価総額を大きく占有しているか。

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金融業界ではそれが起きていなくて、$2TのOpportunityがSoFiが狙っている規模で、金融業界のAamazon, Teslaになるという宣言から始まります。

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テックをベースとした総合金融サービスを目指しており、学生ローンのリファイナンスで橋頭保を築き、様々な他のサービスの展開を開始している段階。学生ローンのリファイナンス以外のLendingの中のサービス別売上比率が知りたいところであったが、その情報は見つかりませんでした。他のサービスの進捗が知りたかったのです。

少し疑問があって、会員数の伸び75%に対して今年の売上が38%しか伸びていないこと、今後の低金利時代に屋台骨であるリファイナンスサービスの需要がどれくらいあるのか、ということです。そもそも学生ローンを安く借りられる環境が長く続いたら、リファイナンスなんていらないじゃん?ってならないのか、と。

皆さんともいろいろ情報・意見交換したいです。もしよろしければTwitterにもフィードバックいただけると嬉しいです。

注意点ですが、こちらは記載しているようにSPAC上場を狙っている銘柄です。SPAC上場に関しては、当初は短期勢が非常に多い印象ですので、上場前後に大暴風雨が来ることも予想されます。もし投資を検討するにしても、SPAC投資であることをご認識の上で、検討されることをお勧めします。

SPACでの上場について、確認をしたい方は、合わせて以下もご覧いただけると嬉しいです。

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参考




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