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日本酒の矜持│甘味屋餡子

『葡萄酒』『麦酒』と続けば、公演タイトル的に『米酒』と書きたくなるが、国内で米を原料にした酒を『米酒』とは言わない。
『米酒』と書くと「みーちゅう/びーちゅう」と言って台湾で米を原材料にした蒸留酒となる。
蒸留酒だと寧ろ分類的にはウィスキーやブランデーに近い。
現代では主に料理酒や薬酒の材料として用いられるらしい。
まぁ、飲んだことも使ったこともないので文字情報の知識だけなのだが。

さて、日本酒には酒税法的な定義と地理的表示法的定義がある。
前者はアルコール度数や原材料に基づいた定義、後者はいわゆる名産品のようにその名称から産地や品質を特定できる名称に基づいた定義(意訳)である。
酒税法的には「アルコール度数22未満」で「米・米こうじ・水を原料として発酵させこしたもの」で、
そこに政令で指定されたものを加えて発酵させたもの、清酒・清酒かすを混ぜたものまでOK。
なので、この定義だけだと他の国の米を使って同じ製法で行えば「日本酒」となる。
しかし、地理的表示法的な定義だと違う。
日本酒は「原材料に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒である」と定義づけられている。
つまり国内で海外産の米を使って作ったり、海外で日本米を使って作っても定義上日本酒にはならないのだ。

米が変われば当然味は変わるが、国が変わればその国の環境によって発酵状況が変わり、最終的に味が変わるのだから日本酒とは呼べないということだ。
そして、さらに日本酒は米の削り方や材料の配合から『純米大吟醸酒』『大吟醸酒』『純米吟醸酒』『吟醸酒』『特別純米酒』『特別本醸造酒』『本醸造酒』『純米酒』に分けられる。
一般的には50%以上削られた芯の部分だけで作られた『純米大吟醸』だ一番高級とされる。

本番月に入り残る稽古も3週間、片手で数えられるくらいの回数しか残っていない。
今は各役者一度作ったキャラクターを見直す期間に入っている。
通しの時点でそれぞれ方向性は定まっていたが、追加されたセリフや実際に行ったやり取り、付いた演出の立ち位置から見える関係性からキャラクターを見直してみるのだ。
中にはそれまで作っていたキャラクターをほぼ壊して再構築しているような状態ににもなっている。
しかし、実際はただ再構築するのではなくただひたすら磨き上げている状態なのだ。

稽古も佳境を迎えつつある

多くの酒蔵が技術と創意を込めて自信作として、米を50%以上削り芯の部分だけで作った『純米大吟醸』を品評会に出す。
米を芯まで研ぎ澄ます技術、それを発酵させ清酒とする技術はその酒蔵の矜持とも言えるだろう。
今は稽古の中で役を研ぎ澄ましているのだ。
本番で自信を持って逸品をお見せするために。

文:甘味屋餡子(役者)https://twitter.com/raincloud_017


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🍺公演概要🍺

ケーキを海底のポストへ投函 vol.5『葡萄と麦と米と芋』作・演出=堀伸也

[ 日程 ]
Day1. 2024年3月22日(金)
 19:30 開場 / 20:00 開演
Day2. 2024年3月24日(日)
 14:30 開場 / 15:00 開演
(上演時間は約1時間を予定)

[ チケット ]
・一般:2,000円
・高校生以下:1,500円
・リピーター割:500円

[ 会場 ]
中板橋 新生館スタジオ
〒173-0016東京都板橋区中板橋19-6 ダイアパレス中板橋B1
(東武東上線 中板橋駅より徒歩二分)

名前のない演劇祭紫 参加作品

演劇企画集団「名前はない劇団」が主催・運営する演劇祭。第十五回目の開催となる今回は、北池袋・中板橋・池袋の3拠点での同時開催。13日間に渡り、68団体が公演を行う

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