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和歌山ラーメンを食べに行こう(熊本~新門司港)

 行ったことの無い土地で、見たことない景色を見て、食べたことの無いものを食べる。新鮮な体験というのは人類が求め続けるべき嗜好である。学生の夏休みというのは長い。2ヶ月近くある。僕はその夏休みのほとんどを帰省して実家で過ごしていた。今のご時世に帰省できたのは良いことだし、今後はこんなに長く実家に居る事も無くなるだろうからそれはそれで良い過ごし方だった。今年は東京五輪があったし、去年は試合数の少なかった夏の甲子園もフル行われ、ぼ~っと見ていた。

 そして9月になって帰省を終えた。何かしたくなった。最後の長い夏休みだ。「和歌山ラーメンが食べたい」なんとなくそう思った。和歌山には行ったことが無いし、和歌山ラーメンも知らない。でも、そう思ってしまったから仕方ない。そそくさと準備をして行くことにした。お金が無いわけでは無いが(まあ無いのだが)出来れば貧乏旅が良い。そこで計画としては住んでいる熊本~新門司港を自転車で自走し、新門司~泉大津港(大阪)を結ぶ阪九フェリーを利用。そして和歌山まで自転車で走りその日の便でトンボ返り。余裕があれば帰りの新門司~自宅も自走。これなら、かなり安く移動できる。とりあえずこのプランに決めた。

 今回使用する自転車はアルミの軽量ロード。エアロカーボンも持っているけどアルミの方が旅には何かと都合が良いだろう。特に輪行の可能性があるなら。持ち物としては以下の通り

・サイクルウェア(半袖)×1
・レーパン×1
・アームカバー(日焼け対策)
・防水ジレ(半袖)
・ボトル×1
・輪行袋
・サンダル
・Tシャツ&ハーフパンツ
・下着、靴下×1
・その他(サドルバッグや財布、鍵、モバイルバッテリーなど)

 今回は荷物は全てバイクパッキングした。以前リュックを背負ってロングライドしたところ、肩が頗る痛くなったので出来ればバイクパッキングで完結したい。大き目のサドルバッグに荷物を入れてトップチューブの小さいバッグに財布やバッテリーなど貴重品を入れた。また、基本市街地を通るルートの為、補給には困らないのでボトルは1本のみで空いたボトルケージには輪行袋を押し込んでいる。この荷物の中で特に活躍するのはサンダルだ。サンダルと言ってもクロックスみたいのではなく普通のシューズ。自転車に乗る際にはビンディングシューズを履いているのでフェリー内や輪行の際の履物が必要となる。とにかく荷物を小さくすることが重要な自転車旅においてこのセカンドシューズ問題は死活問題だが、僕の今のところの最適解はこのTESLA(テスラ)というメーカーの折りたためるシューズだ。僕の使うモデルは二つ折りが可能。二足それぞれを二つ折りにするとちょうどサドルバッグの最深部を埋めてくれてちょうど良い。軽いし、裸足でも履ける。

着替えは基本的に1着ずつ。どこかで洗う。

 そして事前準備としてはフェリーの予約だ。阪九フェリーはネットで予約すると少し安い。自転車積載ももちろん可能。今回は洋室(ドミトリー形式の相部屋)を往復共に利用。相部屋だが、今回の行程ではいずれも1人使用だった。今のご時世だから空いているのか、阪九側で分散させているのか、普段からこうなのかは分からないけど快適に過ごせる。
さて、いよいよ出発。

 9/24の早朝。まだまだ暑い熊本だがこの時間は少しの涼しさを匂わせる。僕は早朝や夕暮れの涼しさに「夏」を感じ、昼間の太陽の暖かさに「冬」を感じる。暑くなる前に距離を稼ごうと意気込んでスタート。基本的には3号線を北上する。序盤はサイコンと睨めっこしながらフェリーの時間を逆算しつつ走る。一つ目の峠である小栗峠を余裕で通過。八女に入る。この時点でほぼノンストップで走っていたのでかなり時間的余裕が出来、ここからはのんびり走る事が出来た。基本的には補給は自販機のみで済ませる。160km程度の低強度なので脱水に気を付けながら昼飯を摂ればハンガーノックは大丈夫だろう。

 久留米を過ぎて今ルート最難関の八丁トンネルを前に昼飯。うどんを頂く。この時で10時半くらい。久留米ラーメンはまだ開いて無かった。今回は常に向かい風だった。本当だよ。特に久留米に入ってから正面から受ける感じ。しかしこの時期の向かい風は悪い事だけではない。涼しい。とにかく、九州はまだまだ暑すぎる。

 最難関の八丁トンネルへ。何が難関かというと、まず今ルートでの最高標高になる。とは言っても200mくらいなので登りは大したことない。問題はトンネル内。長さが4kmあり、車も多い。歩道はあるが狭い。特に久留米側から見て左の歩道は通れないだろう。右は少し高くなっていて柵がある。一応車道も抜ける事が出来るようだが自転車は柵のある歩道をゆっくり行くと良いだろう。トラックがビュンビュン通過する中ゆっくり通過。大きなサドルバッグがあると自転車が安定しないので怖い。なんとか出口が見えた。自ずと速度が上がる。と、出口は階段になっていた!入口はスロープだったのだが。。少し離れてスロープもあったが階段を担いで降りる。まあ、厳密には逆走なので、慎重に通るべきだな。と。ここからはアップダウンを繰り返しながら新門司港まで。少し脚が重くなってきたが水だけを補給して回し続ける。

到着!距離:157km 走行時間は6時間半くらい。経過時間は9時間8分

 想定より早めに到着したのでターミナルで1時間ほど休む。自転車は輪行袋に入れれば船舶内に無料で持ち込めるが面倒なのでそのまま積載してもらう。特に現地に降り立ってすぐに走りたい場合は楽。

 フェリー乗り込みの時間になってから所定の場所へ行くとバイカーが。他愛のない話をする。特にバイカーのオジサンは若者の貧乏自転車旅とかを応援してくれるので、毎回同じような話しかしないが気持ちは晴れやかだ。阪九フェリーは初めて。阪急フェリーと思っていたくらいだ。瀬戸内海は内海なので揺れる事もほぼない。船上でのディナーや露天風呂などを満喫しこの日は終了。明日はいよいよ和歌山ラーメンだ。そういえばこれが目的だった。。

続く

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