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ワタクシ流☆絵解き館その191  砕ける波と山襞―こんないい絵が、ひっそりと飾られている③

美術館でも画廊でも個人の部屋でもない処に、つまりは誰でもがひょいと覗ける場所に、ひっそりと飾られているいい絵を見つけたい、という思いで尋ね歩き、巡り合うことができた絵を紹介する記事の第三回目。
このシリーズの決まりとして、場所は「とある田舎街の某処」(地方の小都市)ということにして明かさないでおく。
町角で見つけたいい絵と、今回は彫刻も。
自作の短歌を絵に添える。

小林和作 「海」 制作年不明

■ 歌一首
金管楽器のかがやき持ちし海光よ貨物船(タンカー)のゆく春の沖合ひ                                                                                                                           瀬戸風  凪
小林和作(1888ー1974)
幅広い題材を持つ。実作を眼にする機会の多い画家だ。海景も多く描いた。名をよく知られている画家で、「和作さん」と呼ぶファンが多い。

秦森康屯 「桜島」 施作年不明

■ 歌一首
頂(いただき)に立ちし歓喜を映しゐて天宆(てんきゅう)を雲は巡りゆくかも
                             
瀬戸風  凪
秦森康屯(1923ー1994) 
独立美術協会 関西独立賞、25年記念賞。のち団体を離れる。作品は抽象から具象に転じた。
この人の厚塗りの筆触の迫力には、絵の前で立ち止まる。写真図版が何も伝えていないことに気づかされる。実際に絵を見てからでないと語れない画家だ。
まとめて、秦森康屯絵画を見たことがあるが、この作品はまだマイルドな感覚のほうだ。

日野宏紀 「春のおとずれ」ブロンズ

■ 歌一首
それぞれが自分のライフスタイルの広告塔なり現代人とは
                     瀬戸風  凪
日野宏紀(1949ー活躍中)
二紀会会員、大谷美術館賞、文部大臣奨励賞受賞。
作品にそよ風が添っている。こんな女性と、どこかですれちがったことがあるような記憶とともに。

                     令和4年10月    瀬戸風  凪

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