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ワタクシ流☆絵解き館その163 青木繁迷路💡これがヒントを与えた絵?
筆者なりの、青木繁の絵の着想に影響した作品探しは、この絵解きシリーズで何本も記事にしてきたが、尽きない面白さがある。どこまで掘っても、まだまだ根っこに届かない教養の深さが、青木繁にはあるからだ。
今回は、筆者の解釈ではなく、美術史の学者先生たちの指摘による、青木の諸作品との類似点が見られ作画のヒントになったという作品のうち、ぜひ紹介したいものをピックアップした。
■「海の幸」の着想に影響した絵として
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◎ 長田謙一氏「再考・青木繁「海の幸」ゼ ツェッシオン/日露戦争」(2007年)の指摘
長田謙一氏は、システムデザイン研究を専門とする大学の先生。日露戦争と「海の幸」の関わりについては、『戦争と表象/美術20世紀以後記録集 : 国際シンポジウム』として、2007年に出版されている。
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上のホードラーの絵の槍が作る三角形と、「海の幸」の銛が作る三角形の構図の類似を述べている。
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また、人物の横並びの構図と、とくに中央の人物たち姿の類似を述べている。
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■「大穴牟知命」の着想に影響した絵として
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◎ 鐸木道剛氏「青木作品の図柄の源ふたつ」(1988年の論考)の指摘
銅木道剛氏は、イコンや修道院・聖道院壁画などの研究を専門とする大学の先生。ミュシャの絵の装飾性を学んでいる青木が、目に止めたであろう作品として挙げている。
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◎ 国際シンポジウム(於・2016年5月8日 神奈川県立近代美術館)での 稲賀繁美氏「美術の19世紀―ドイツと日本」の指摘
稲賀繁美氏(男性)は、比較文学、比較文化 、文化交渉史を専門とする大学の先生。
オーギュスタン・テオデュール・リボーは、1823年 - 1891年。フランスの画家である。レジオンドヌール勲章ももらっている当時の大家。
この絵の主題は、ふつう「善きサマリア人」の名で、レンブラントやドラクロワなど多くの画家が作品にしている。青木が影響を受けている画家として名の挙がるジョージ・フレデリック・ワッツにもこの主題の絵がある。
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ただし、稲賀繁美氏は「類似の限界―影響か否かの判断基準をめぐって」(山田奨治編『模倣と創造のダイナミズム』 勉誠出版社 2003年2月20日)の中で、こうも述べている。
なまじっか歴史的背景への理解があるため 、テオデュール・リボーの『良きサマリテ人』が、青木繁の『大穴牟知命』に似ているとは思えない、といった判断も登場する。
青木繁の『大穴牟知命』の 仰向けの人体が、こちらに顔を向けて両面一杯に横たわり、その背後に介護の人々が覗きき込むという画面構成は酷似しているのだが、一方はキリスト教世界の宗教画であり、もういっぽうは極東日本の古事記を題材とする神話画で、主題に拘泥するかぎり、類似性を説得するのは難しい。
ましてや教条的なカトリック信者や神道教徒には、教義的な立場から、類似を云々することそのものを冒漬とみる筋さえありえよう。
◎丹尾安典氏の「サロン絵画と明治期の洋画界」(1990年 「アルゼンチン国立美術館展」カタログ所収論考)での指摘
丹尾安典氏は、大学の西洋美術史の先生。戦争と美術のかかわりについての著作等がある。上記の論考の中で、「大穴牟知命」は、フランス官展絵画からの影響を窺わせると指摘している。
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■ 「わだつみのいろこの宮」の着想に影響した絵として
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◎ 海野弘氏「日本のアールヌーヴォー」( 青土社 1988年 )の指摘
海野弘氏は、『地下都市への旅』( 1980年 青土社 ) 『世紀末の街角』( 1981年 中央公論社/中公新書 )など多数の著作を持つ文明・文化・社会評論家。
この絵について、「豊玉姫も本性は水蛇である」と述べ、下のクリムトの絵を挙げている。
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◎ 三鷹の森ジブリ美術館 (2013年) 企画展示「挿絵が僕らにくれたもの展」での指摘
トーマス・アームストロングは英国の画家。美術館での教育普及活動にも携わった。
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令和4年7月 瀬戸風 凪
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