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【DCCR】1-1-4_シート構造をシンプルに保つことで、構造を理解しやすくなる

Excelファイルは自由にシートを作成できます。そしてシート内も自由にセルを利用できます。

Excelの自由さというのは、データを好きなセルに配置でき、計算式も好きな箇所に書くことができ、そして何枚でも好きにシートを分けることができるという点です。この自由度のせいでExcelファイルは混沌を孕み、秘伝のタレと呼ばれるような誰も自分も分からないExcelファイルになってしまいます。

これは紙のメモに似ていると思いませんか。少し前までは打ち合わせで紙とペンを持ち込み、メモを取る人が多かったと思います。一枚の紙に複数の議題や重要な発言、決定事項、次に自分がやるべきことを書いていました。時には一枚の紙に複数の打ち合わせや、それ以外のメモも書くことがあったのではないでしょうか。

ところで、そのような複雑なメモをそのまま他者に見せて、重要なことを全て伝えることが出来るでしょうか。恐らく数ヶ月後の自分自身でさえ分からないことが多いでしょう。メモが分かりにくい原因はデータを構造化できていないからです。

メモにおいてデータを構造化するとは、決まった位置に決まった情報が入るようにルールを決めることです。例えばメモの日付は紙面右上、タイトルは大きめの文字で左上に書く。残りの紙面を右側30%と下側20%で分割し、議事や思考の過程は左側の大きいエリアに書き、各議論の気づきや重要な事項は右側のエリアに書き、全体の結論を下側のエリアに書く。こうすることで結論や重要ポイントを追いやすいだけでなく、それに関連した議論がどこにあるのか詳細を確認することもできます。こういったノート術は巷に溢れていますが、Excelにおいてはまだありませんでした。

さてExcelにおいてのノート術、つまり情報の構造化を行う方法は『計算過程にそってシートを分けること』です。シートごとに決められた役割を与えることにより、シートの中身を隅々まで見なくても全体像をつかむことができるようになります。
これはまさに先の例のメモのノート術と同じ効果を得られます。シートごとに役割が整理されているなら疑問点や関心ごとに合わせてそのシートを見ればよいだけとなります。例えば計算元となるデータが気になるなら、データを入れるだけに用意したシートを見に行けば良いだけです。そこから集計しているシートを用意し、その計算ロジックが気になるならそのシートだけを見に行けば良くなります。

計算過程に沿ってシートを分けることによってシート構造がシンプルになります。なぜならルールを設けることにより自由度を捨てて、そのシートに求める役割が固定されるからです。
シート構造がシンプルになるということは、その構造を変更しやすくなるというメリットもあります。データをシートごとに管理することによって、データの追加、変更が容易になるだけでなく、新しい種類のデータを追加することも簡単にできます。
さらに追加したデータを元に計算を変更することも簡単です。新しい種類のデータを新しいシートに追加しただけでは既存の計算に全く影響を及ぼしません。なので安心して新しい処理を既存の計算用シートに追加するか、新しい計算シートを作って計算していくということができます。

最後に計算過程に沿ってシートを分けることによって、誰もが分かりやすいExcelシートになります。Excelファイルを作成した後の鬼門は、ファイルの引継ぎと変更です。複雑なExcelファイルであればこれらが難しくなり、その結果同じような結果を得るためのファイルを再度作り直すことになったり、ファイルを作成するのと同じくらいの時間をかけて構造を理解することになってしまいます。
ここまで説明した通りExcelファイルを計算過程に沿ってシートを分けることにより、シート構造がシンプルになります。それは自分だけでなく他者も、そして1年後の自分自身にも分かりやすいExcelファイルになるということです。
この結果Excelファイルの構造が理解しやすくなり、Excelファイルの引継ぎが容易になるだけでなく、後からの修正も楽に安全に行えます。

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