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【DCCR】1-2-2_DCCRモデルのシート定義

DCCRモデルの各シートの定義を詳細に確認していきましょう。
そもそもExcelはシートに役割はなく自由に作成できるものでしたが、効率よくExcelを使用する方法として各シートを計算過程に沿って分割することが重要です。
さらにDCCRモデルを使用すると、シートを計算過程に沿って、かつシートを操作目的レベルに分解できるためExcelファイルをシンプルに作成・管理できるというものでした。

DCCRモデルではExcelのシートは計算過程に従って、データシート(Data sheet)、設定シート(Config sheet)、計算シート(Calculation sheet)、結果シート(Result sheet)に分類するものです。

データシートでは、システムなどからダウンロードしてきた加工元のデータを張り付けるだけのシートです。例えば、売上一覧、前年度会員名簿などです。
データシートは各データのまとまりごとに作成し、決して混ぜてはいけません。さらに、データシートに取り込む前に加工は不要です。システムが吐き出すデータをそのままデータシートに張り付けます。
こうすることで、システム間のインターフェイスをシンプルにすることができます。

次に設定シートには、このシート内にだけに影響する設定を加えるシートです。例えば、抽出カテゴリ一覧、今年度会員名簿などです。
設定シートを作る事により、FILTER()やIF()等で条件をシートで管理することができます。その結果、現在の設定値を一覧することもでき、条件の変更・追加も容易になります。

次に計算シートでは、データシートや設定シートを元に、計算処理を行うシートです。例えば、カテゴリ別売上集計、新規会員抽出などです。
計算シートは操作目的を明確にし、複雑な計算では複数の計算シートに計算過程を分割して行います。
またデータシートと設定シートでは、データを保持させるだけで一切の計算式は使用していません。計算シートでのみ計算をすることが許されます。こうすることにより、データシートは参照されるだけの存在、計算シートでのみデータの加工を行っているという役割を明確に分けることができます。
この結果、計算式が上書きされるなどの良くある事故が防止できるだけでなく、そもそもどこで何を計算しているのか分かりやすくなるため、Excelファイルの再利用性を高められます。

最後に結果シートでは、データシートや計算シートを元に、次の工程で使用しやすいデータの形に整えます。例えば、カテゴリ別売上集計(前年対比)や、新規会員システム取り込みデータなどです。
結果シートでは出力するデータを取捨選択するだけです。新たな計算を行わないことが計算シートとは異なります。
また、データシートや設定シートとは異なり、結果シートを他のシートから参照させてはいけません。この理由はシンプルで、出力結果に出したいデータや、表示形式、表現方法は特に変更されやすい項目だからです。このようにどのようなデータが入ってくるか分からないソースを元に計算をしてしまうと、後続の計算処理はいずれ壊れます。つまりExcelファイルの再利用性が下がってしまいます。
多少手間ではありますが、結果シートはかならず独立したものとすることは、Excelファイルの再利用性を高めるために必要なひと手間であると言えます。

以上のことから、効率よくExcelを使うためにDCCRモデルが有効です。DCCRモデルを利用することでExcelファイルを計算過程に沿って分割し、さらに操作目的ごとに細分化することができます。このことによりシートそのものや、シート間の関係をシンプルにすることができるからです。

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