戸嶋祥郎とレイソル28の系譜
新シーズンに向けて活発な選手補強の結果、多くの選手を迎えての新しい船出となったレイソル。新戦力の顔と名前とプレースタイルを一致させる作業に苦悩すると同時に期待感の多いシーズンに胸を膨らまさせずにはいられないものです。
そんな多くの新戦力の中でひたすら凛とした空気を醸し出すとある選手が目に留まりとても印象に残りました。新潟から移籍してきたという彼はインタビューの受け答えも非常にしっかりしており彼の真摯にサッカーと向き合う気持ちが言葉の節々から伝わってきます。そうした佇まいの彼はどうやら新潟で存分に愛されそして大きく期待されていたようで新潟サポにとって非常に思い入れの強い選手であると見受けられ、移籍が決まった事により嘆きや落胆の感情からサチロスなる言葉が新潟方面からSNSを通して現在も留まることなく流れていることとなります。
さてそんな彼を追って年明けの日立台の練習場に足を運んでいる新潟サポもいると聞き非常に愛されているんだなと思う次第でありますが新シーズンのレイソルさんが彼に用意した番号は28。新潟サポさんにとって馴染みのある6や26でなく、それこそどこにでもあるような番号を着けることに少々気落ちされている方がいるかもしれませんがこの28という番号、他チームにとっては何の変哲もない番号でしょうがレイソルにとっては、まあなんというか色々と一味違った番号なのであります。
様々な個性28の系譜
僕がレイソルに興味を持ちだしてからの28を背負った選手は3人。しかし十年以上の月日の中においての3人という実は結構息の長い番号でありまして、そんな系譜をちょっと自分も思い出と共に振り返ろうかと思います。
玉田圭司 1999-2005
レイソルのきっかけがこの選手だったという往年のサポも多いのではないでしょうか。元日本代表で当時レイソルのエースであり超快速ドリブルでピッチを駆け抜けまた非常に端正なマスクも相まってズバ抜けて人気の高かった選手であります。
ただ2005年の降格により多くの選手とともに彼もまたレイソルを離れていく事となります。
※2020年現在 Vファーレン長崎所属
谷澤達也 2006-2007
そしてそんな玉田選手の番号を引き継いだのは彼、みんな大好きヤザーの登場です。波に乗ったときの彼は全く手を付けられず縦横無尽にピッチを駆け回り、またそんな選手によくありがちなとてもとても好不調の波が激しい選手であり不調の時はピッチにいるのかどうなのかすら不明なほど消える事の多い天才と天災のハイブリット化合物(天災やや多め)という何といいますか色々と困った選手でもありました。また想定のはるか斜め上を行く強烈なキャラクター属性持ちの選手でありこの件について気になった方は是非とも
「谷澤達也」「バカーズ」
で検索していただければと思います。色々ありすぎてここでは書ききれないくらいの数々のスケールの大きいエピソード満載で、ご存じない方はとりあえずFC東京時代の写真を載せますので写真で彼がどんなキャラでチームメイトからどんな扱いだったのかを少しでも察することができれば幸いです。
そんな彼が何と2008年チーム始動直前にジェフ千葉へ突如電撃移籍。2007年最終節磐田戦で当時監督であった石崎さんの突然のボランチ起用に大層不服だったのではないかというネタ憶測が飛び交うほど驚きでした。
しかし何の因果か現在その石さん率いる藤枝でまた一緒になるという不思議な巡りあわせ状態であり彼はまだまだ持ってる選手だと感心しております。
※2020年現在 藤枝MYFC所属
振り返ると一癖も二癖もある選手達でありヤザーのせいでネタ満載な空気となりましたが(全てヤザーのせいだもん、ぼくわるくないもん)、ちょっと空気を戻しましてここからが本題。こういった個性強めの番号を引き継いだ次のとある選手が柏の一時代を築く重要な選手となりレイソルの28という番号をとても重みのある番号にしてくれました。
栗澤僚一 2008-2018
2008年シーズン半ばにFC東京からやってきた栗澤僚一選手。習志野高校で玉田選手の二年後輩という縁もあり28を付けた彼なのですが、正直栗澤選手が移籍してきた当初こんなにレイソルで息の長い選手になるとは思っていませんでした。持ち前の気の利くプレーを発揮しその年天皇杯で決勝まで進み準優勝、ただ翌年チームの不調もありレイソル二度目の降格。レンタル移籍だったこともあり誰もがFC東京に戻るであろうと思っていたところ完全移籍でレイソルへ。この決断に自分も含めて救われたサポも多かったと思います。また2009年途中から就任したネルシーニョ監督のもとJ2優勝しJ1復帰。更にはその翌年からJ1優勝、天皇杯、ナビスコ杯と3年連続でリーグ主要タイトルを獲得し、柏の一時代を築く事となります。
自分的には何といっても相手チームのラフなクリアボールにいち早く対応する嗅覚の鋭さに日立台で毎度のように感心させられ、相手の山なりクリアボールの落下点にピッチ上の誰よりも早くポジショニングしてことごとくセカンドボールを拾いレイソルの波状攻撃を生み出すまさに縁の下の力持ちのような存在でした。そして中盤でのいぶし銀のプレーでチーム全体を落ち着かせ、ある時はあえて嫌われ役を買って出てチームを引き締め、10年近くも28という番号を背負いながらレイソル屋台骨の一角として大谷と共に近年のレイソルの歴史をなぞる存在となって行くのです。
そして2018年、レイソル降格と同時に引退となりましたが、トップチームコーチとして新たな形でレイソルと共に歩むことになり、そして彼の築いた功績は背番号28と共に非常に大きなものとなっていったのです。
2019シーズンの背番号28は空番となりました。少し寂しくもありましたが実感として28にふさわしい選手がその時見当たらなかったのも実は正直な気持ちです。
新たなる歴史のはじまり
そしてそんな番号を今年サチロー選手が背負ってくれます。新潟の皆さんがサチロー選手をとても愛しているように、レイソルサポも28という番号に対しとても深い愛情で見守っています。こうした番号にふさわしい選手であると新潟サポの方々は必ず思っているでしょうし、またレイソルサポも新たな28番が日立台で躍動する姿に自分を含めて期待に胸を躍らせているサポが多くいるという事も是非知っていただければと思います。
サチロー選手が新たなレイソルの28番としてふさわしい存在となりこれから新しい歴史を築いていく選手になっていく事をそして願わくば前任者のようなこだわりのある息の長い選手になって欲しいといちレイソルサポとして思う次第でございます。
※2月19日追記
新潟の早川選手リスペクトもあるとの事でサチロー選手の人柄が伺えます。この先も新しい28番の物語を紡いで欲しいですね。
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