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Grant Holmesの帰還


Grant Holmes

今回は僕がOAKファンになってからずっと推しているグラント・ホームズ投手の最近の活躍について少しでも多くの人に知ってもらいたくてnoteにします。
ホームズはロサンゼルス・ドジャースに2014年にドラフト1位指名(22巡目)で入団しました。高卒ながら100マイル近い速球と縦に割れるカーブの評価が高く、当時のプロスペクトランキングではコーリー・シーガー、フリオ・ウリアス、ジョク・ピーターソンに次いで球団4位でTOP100にも名を連ねる、まごう事なきTOPプロスペクトでした。

当時のプロスペクトランキング

2016年にジョシュ・レディック、リッチ・ヒルの見返りのメインピースとしてOAKに入団すると故障などを乗り越えながらAAAまで昇格しましたがラスベガスで防御率8点代と大きく苦しみメジャーに昇格しないまま2022年にリリースされてしまいます。その後ATLに拾われると2023年は防御率3.51、2024年はここまで1.61と成績を大きく改善し、念願のMLBデビューも近くなってきました。今回はそんなホームズの強みと今後の展望について書いていきます。

グラント・ホームズの強み

①大きく改善されたコマンド


まずホームズの強みとしてコマンドを取り上げたいと思います。

フォーシームのヒートマップ

速球を高めに制球できていることがわかります。OAK時代のホームズは速球をど真ん中に放り込み打たれるケースが多かったのでゾーンの上をつけるようになったのは好材料です。森本峻太氏の『野球データ革命』でも「空振りが奪いやすいという点でも、ピッチトンネルを作り変化球とコンビネーションを高めるという点でも、高めにフォーシームを投げ切るということは非常に重要」としており、実際ホームズのフォーシームもWhiff %が(空振り率)32.7 %とポール・スキーンズと同水準の数値を記録しています。ホームズは95マイルが平均と速球にスピードを持っており上記の改善が大きく作用した可能性が高いです。
変化球のコマンドはさらに秀逸です。

左がスライダー、右がカーブ

左がスライダー、右がカーブのマップになります。低めにきっちりと制球できていることがわかります。高めに速球、低めに変化球というセオリー通りにピッチトンネルに通せていることは現在のホームズの大きな強みと言えるでしょう。

②新球・縦スライダー

ここからは各球種の特徴について説明するのでマクロ的に見れるピッチングマップを下に貼ります。

ATL時代に新しく投げ始めたのがこのカッターとスライダーです。カッターとスライダーは多分投げ分けてないのでここではスライダーと統一させていただきます。
このスライダーは縦スライダーに分類され、文字通り普通のカッター、スライダーよりも鋭く縦に落ちるのが特徴的です。

お股ニキ氏は『ピッチングデザイン』において早く変化の比較的小さい「中間球」についてスラットやスプリットのような縦の変化量を出せる球種の重要性に着目しており、球速は速球の球速の90 %が理想としています。これに照らし合わせるとホームズの速球とスライダーの球速割合は91%とほぼ理想に近く、速球とのコンビネーションをうまく成立させている要因だと考えることができます。
このスライダーはxBAは0.99、Whiff %は52.4と絶対的な球種として機能しており、この球種の習得は2023以降のホームズが飛躍する最大の要因と捉えることができそうです。

③常に強みであり続けるカーブ


プロスペクト時代から注目されているカーブはいまもなお健在です。球速は83.7マイルとその速さと比べて縦変化が-8.7とこれもまた垂直方向への変化が強く、当初ATLが考えていた"death pitch"に近い球種だと言えるでしょう。

アナリストのEli Ben-Porat氏はこの球種について打球管理に優れていることが高評価の要因としています。

上グラフを見ていただければわかるようにIVBが-4を下回ると長打率が極端に低下します。ホームズのカーブもその通りxSLG.275と長打抑止に長けた球種となっています。
またこのカーブは②で取り上げた縦スライダーと横変化に大きな違いがなく打者としては最後の最後までどちらの球種か識別できない可能性が高いです。少し毛色は違いますがOAKのポール・ブラックバーンのカッターとスライダーの使い分けに近いと個人的には思いました。

昔最大の強みであったカーブが新球縦スライダーの威力を高めている可能性は非常に高いと考えられます。

第2のレイナルド・ロペスになれるか

以上のような強みを持つホームズですが、最近まではずっとクローザー起用がだったところが、ここ2登板は3イニング、4イニングとロングイニングが中心となり登板間隔も厳重に管理されています。

これは僕の願望も混みで取り上げますが、古参のATLファンの方も指摘されているとおり先発としての起用をATLが考えていると考えることもできます。実際今季のATLは長年リリーバーだったレイナルド・ロペスの先発転向に成功しており、その第2弾として長年先発プロスペクトとして期待されていたホームズに白羽の矢が立ったとしてもおかしい話ではありません。イニングを増やしてから速球のホップ量が減っているのはまっスラする球質と高めに集めるスタイルなだけに不安材料ではありますが本当に先発として見てみたいという気持ちは強いです。
アスレチックス時代の最後は打たれ続けたのもあり、マウンド上で苛立ちを隠せていなかったり(事実Prospect Liveにもそのようなレポートが書かれていた)OAKからリリースされてもATLのA +でも打たれたりと本人からすると不本意な時期が続いていたのは間違いありません。しかしそんな中でもOAKの番記者であるMelissa Lockard氏が「今まで見た中でも1番勤勉な選手の1人だった」と認めるように腐らずにやり続けていたようです。

28歳と少し遅くはなってしまいましたが、先発プロスペクトGrant Holmesは長い時を経て「帰ってきた」ことを少しでも多くの人に知ってもらいたいですし、1ファンとしてもとても感慨深いです。だからこそ本当にプロスペクトとしてだけでなくその先をさらに見てみたいと心の底から思っています。頑張れGrant Holmes


参考資料



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