思えばずっと寝不足だった

鳶が言った
ああ
あなたに休める場所などなく
ずっと飛んでいたのだと
ずっと揺れていたのだと


遠くの海は広かったか
大きな国はあったか
わたしはそれを知らない
わたしはそれを知らないから
わたしの知らない寝床を
あなたは夕立として教えてほしい

ゆれ て
ひとりと思い出した夜
落ちたあなたは早くなって
あなた
を忘れてしまう
そこに
そこにわたしはいるだろう
そこにわたしは広がっているだろう

思えばずっと寝不足だった

わたしはいう
ああ
もう二十年も生きてしまった
とおくからわたしが歩いてくる
そのなかを
鳶が飛ぶ

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