またベランダに星が落ちていた。橙、紫、緑、今日は淡い青だった。優しく拾って引き出しにしまうと、次の日にはバラになっている。

集めたバラを花束にして君に届けようと思う。ぼくは家を出た。

街灯はなかった。バラが足元を照らしていて、透明な蝶が虹色の鱗粉を蒔きながら身を寄せた。バラは鱗粉を受けて銀河のように輝いた。

君の病院が見えた。


透明な窓からあなたの家が見える。金糸雀、柘榴、鶏頭、海色の点滴を受けて、私は少しずつ夜になる。

ベッドの上で祈る。涙が落ちて、また、あなたの家の庭が光る。

あなたが家を出るのが見えた。白衣の袖を千切って蝶にする。私が小さく囁くと、蝶から虹色が溢れだした。窓を通過して透明になる。

暗い天井を見ている。


こうして夜空は少しずつ澄んでいく。

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