サバゲー 4月2日(火)

安部公房の『壁』を読んだ。
生誕100周年らしく、本屋で販促されているのを見て、家に帰って過去の俺が買った壁を読んだ。

訳わからなすぎて、途中まで一部と二部が別の話だと気づけなかった。地の文がどちらも丁寧語だったし、砂漠を吸ったやつがその後影を喰われたとしても違和感はないから。編集した奴が悪い。

感想としては、何故かとても面白かった。どこが面白かったかと聞かれると、答えられない。どの話も、支離滅裂と言ってよい。論理的でないことは確か。物語が面白かったというよりは、その世界が独特で良い。登場人物や情景の描写が好み。

カルマ氏の犯罪、バベルの塔の狸どちらの主人公も、状況の悪さに比して楽観的で、されるがまま。単に諦めている訳でもなさそう。未知のことに対する恐怖がほとんどない様子。だから、どんなに話が突飛でも、そんな主人公を通して読んでるから案外呑み込めた。呑み込めたからといって、理解できたわけではないけど。言ってることはわかったよってだけ。

第三部の赤い繭は短編の集まりということもあって、普通のSFを読む感覚で楽しめた。特に最初の赤い繭が好き。

三部とも似たような作品な気がした。なんでだろう。脱力感?虚無感?不条理さ?

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