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奇怪なる百科事典

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作者が本で読んだり、聞きかじったりした、100%実生活では役に立たない知識の数々をまとめた、この世で最も使えない百科事典です。 更新頻度:不定期
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#雑記

はじめに・目次

はじめに 強欲な人間であることに関しては自信がある。食欲と睡眠欲は人一倍だし、知識欲と好奇心は半ば化け物じみている。創作というアウトプットを好む以上、インプットに血眼になるのは自然な流れと言えよう。  そのような事情もあって、しばらく前から、何かに使えそうな知識を丈夫な手帳に書き込んでいる。  本を読んでいて出くわしたもの、聞きかじったものなど、雑多なあれこれを蓄えるのは、蒐集趣味も満たしてくれる。有意義な作業なのだが、一項目数行程度で済んでしまうこともあるため、なかなかペ

魅惑のマヤ・ブルー

 とある顔料の話をしよう。  メソアメリカに花開いたマヤ文明の遺跡には、素晴らしい壁画が何点も残されている。これらの遺物を語るうえで、避けて通れないのが、「青」の顔料だ。  そもそも、世界中の地域・時代において、「青」の顔料に何が使われているのか、というのは、非常に複雑な様相を見せる。  人類が初めて手にした顔料は、酸化鉄の「赤」であるというのが通説だ。日本でも最初に遺跡から出土するのは、ベンガラと呼ばれる酸化鉄を使った「赤」であり、縄文時代からみられる。  そのほか、黄