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奇怪なる百科事典

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作者が本で読んだり、聞きかじったりした、100%実生活では役に立たない知識の数々をまとめた、この世で最も使えない百科事典です。 更新頻度:不定期
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2023年2月の記事一覧

魅惑のマヤ・ブルー

 とある顔料の話をしよう。  メソアメリカに花開いたマヤ文明の遺跡には、素晴らしい壁画が何点も残されている。これらの遺物を語るうえで、避けて通れないのが、「青」の顔料だ。  そもそも、世界中の地域・時代において、「青」の顔料に何が使われているのか、というのは、非常に複雑な様相を見せる。  人類が初めて手にした顔料は、酸化鉄の「赤」であるというのが通説だ。日本でも最初に遺跡から出土するのは、ベンガラと呼ばれる酸化鉄を使った「赤」であり、縄文時代からみられる。  そのほか、黄