リンクの冒険

「ゼルダの伝説、35周年だってね」

『めでたや、めでたや』

「長いよねえ、歴史」

『長い！それはもう、ミドガルズオルム級に長い！」

「やめよう？ゼルダの歴史の長さを、違うゲームで比喩するの」

『じゃあ、リンクとガノンの因縁くらい長い』

「まんまだよ。それがゼルダの伝説だから」

『しかしガノンもしつこいよね、何回も何回もさあ』

「まあ、その戦いの歴史がゼルダの伝説だからね」

『なんかたまにはちょっと違う風味が欲しいよね』

「隠し味に七味を、みたいに言うなよ。違う風味って、例えば？」

『うーん、なんかたまにはガノン関係ない話とか』

「もうあるよ。夢を見る島とか、ムジュラの仮面とか」

『なにそれ？』

「なんで知らないんだよ。ゼルダ作品の中でも、かなり有名だよ？」

『ああ！はいはい、ムジュラね？あのちょっと苦味のある、大人な感じの』

「美味しい料理の紹介風に誤魔化すなよ。え？まさか、知らないの？」

『知ってるよ！あれでしょ？なんか、こう、ちょっとカフェインの強い…』

「だから何のレシピなんだよ。知らないの？ゼルダ語れないじゃん」

『知ってるよ！あれ、あの、ムジュラの島でしょ？』

「混ざってるよ。なんだよそれ、怖過ぎるわ」

『そう、怖いんだ。夢を見る島はゼルダ作品には珍しく、ホラーになってる』

「逆だよ！ホラー要素があったのは、ムジュラだから！」

『呪われた仮面が閉じ込められた卵を割る為に、仮面を集めるんだよね』

「さらに混ぜたな。混ぜ過ぎて原型無くなったよ」

『嵐の夜に何も考えずに漁に出たリンクは、雷に打たれて意識を失ってしまう』

「漁師か。いや、別にリンクは漁に出たワケじゃないから」

『そして流れ着いた島で怪しいお面屋に拾われて』

「混ざった！いま混ざったよ、また！」

『三日経つと巨大な卵からムジュラが生まれて世界が滅ぶから、7つの仮面を集めて月をぶつけて倒すんだよね』

「間違いまくりだよ！なんだよ、巨大なムジュラって！」

『で、倒すとゼルダ姫が鼻にキスしてくれるよ』

「それはマリオだよ！余計なモノまで混ぜてくるなよ！」

『だって、リンクの名前は他作品と様々な形で繋がる《リンクする》という所から来てるからね』

「……お前、全部知ってて、わざと間違えてるだろ」