本当にあった怖い話“2月22日の怪奇ニャンニャン話”

それは2月22日の事でした。

私は午前中から、N社地下スタジオにて物撮りに立ち会っていました。
スタジオで作業をしていると、編集のN嬢がハッと気づいたように言いました。

「いま、ネコの鳴き声がしませんでしたか?」

その場にいた私とカメラマンH氏は、ここは地下スタジオだし、
そんな事はないだろうと相手にしませんでした。
しかし普段から捨て猫などを拾って来てしまうN嬢は、
敏感に反応しています。

「ほら! また聞こえた!」

さすがに私とH氏も気になりだし、スタジオのBGMになっていた
FMラジオのボリュームを下げました。

「ニャー」

確かに聞こえました。
しかし、何故地下スタジオで猫の鳴き声が?
隣のスタジオで猫の撮影を?
ところが猫の鳴き声は壁の向こうから聞こえます。

通風口か? それともビルのどこかの隙間から入り込んでしまったのか。

猫好きのN嬢はこれでは仕事にならないと、
とりあえず総務課に相談しに行きました。

N嬢が立ち去った刹那、H氏がふと漏らしました。

「俺、この前ネコ轢いちゃったんだよね。もう絶対避けられないタイミングでさ……」

嫌な話です。

話を聞きつけた総務課の女性達は、何を勘違いしたか
猫餌とカリカリを入れる紙皿を持って嬉々として集まってきました。

「ニャー」

しかし猫の鳴き声は壁の向こう。
いったいどうすればいいのか。
良く聞けばか細い声。子猫なのでしょう。

「このまま死なれても、死体が困るしねぇ」

H氏は残酷です。
しかし手の施しようが無い状況の中、
私は別の撮影の為、いったんN社を離れました。

4時間後、N社に戻ると、猫の鳴き声のせいで
大幅に送れた物撮りが丁度終わる所でした。

そしてN嬢は、私に衝撃の事実を話してくれました。

私が立ち去った後、N嬢と総務課はビルのメンテナンス会社を呼ぶ事を決定。いよいよ地下スタジオからの猫捜索が始まりました。

壁の向こうなのか。通風口なのか。
メンテ会社の人間が天井裏にまで入り込み、捜索を開始。
その結果、猫の声は壁の向こうから聞こえると判断。
壁を破らないと救出は不可能と、
壁に大穴を空ける許可を社長に申請。
さぁいよいよ壁を壊すぞ、という状況の中、
メンテ会社から派遣されたスタッフの、
比較的落ち着いて状況を見ていたリーダー格の人が言いました。

「ちょっといいですか」

配電盤を開けて周囲の様子を伺ったリーダーは、
落ち着き払って言ったそうです。

「隣の部屋の、ドアの開閉音ですね、コレは」

みんなで隣の部屋へ行き、ドアに油を注したら
子猫は消えたそうです。

化け猫には油を与えたらいいんですね。

おあとがよろしいようで。

mixi2006年3月1日の日記を再掲

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