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スマートマネーコンセプトSMC概要とトレード手法

この記事の無料PDF版はこちら(クリックするとPDFが開きます)https://drive.google.com/file/d/1Ui04BZ6nygBDbhU4s_ndPpIH2NEtBfUY/view?pli=1

SMC概要とトレード手法の解説書を元にした解説動画のURLリンクを掲載しますので、是非とも登録の程お願いいたします🥺


✅はじめに

外国為替市場(FX市場)は多数の銀行、機関投資家、資産運用会社、富裕層、個人投資家が、通貨の売買や交換を目的に参加している世界最大の金融市場であり、その規模は数千兆ドルにのぼる。米ドルは最も取引されている通貨であり、ユーロと日本円が2位と3位を占める。新規参入者が多いFX市場であるが、個人投資家の70%〜80%が通貨市場で損失を出していることが報告されている。
本レポートの目的は、スマートマネーコンセプト(以下SMC)を活用したFX市場における価格変動を理解し、個人トレーダー/個人投資家向けの収益性の高い取引戦略を確立することである。ここでは、主に機関投資家や銀行によってポジション構築されたスマートマネーの足跡を利用した取引戦略を考察する。また、個人トレーダーが使用するテクニカル分析方法については紹介することはせず、読者自身で基礎的な知識は身に着けて頂きたい。
著者は多くのトレード手法を試してきた中で、このSMC戦略が最も有用かつ収益性が高いと考えている。本レポートでは為替市場の導入、市場価格の動き、分析、リスク管理、資金管理などについて説明しており、当該レポート掲載のトレード手法はSMCと他の様々な手法を組み合わせたものである。SMCトレード手法を実践する前に、基礎的な内容やリスク管理をよく理解したうえで、デモ口座や最小LOTで練習することを推奨する。

✅SMC習得の前に必要な知識

筆者は、SMC内容が中級者・上級者レベルの内容だと考えている。以下トレードに関する基礎知識を前提として、SMCを学んでいただきたい。

🔴テクニカル分析

  • 高値/安値

  • ローソク足の理解

  • 通貨強弱

  • 通貨の相関

  • メジャー通貨の特徴

  • サポートとレジスタンス

  • トレンドライン

  • ヘッド・アンド・ショルダー

  • ペナント、フラッグ、ウェッジ

  • トライアングル

  • ダブルトップとダブルボトム

  • フィボナッチリトレースメント

🔴テクニカル分析

  • 経済指標(例:GDP、失業率、インフレ率)

  • 中央銀行の政策金利

  • 政治的および地政学的な出来事(例:選挙、自然災害、戦争)

  • 貿易バランスと国際金融の動向

  • 為替介入

  • 債務問題

  • インフレーションやデフレーション

  • 金融市場のリスクオン/リスクオフの動向

  • エネルギー価格の変動

  • 財政政策

  • 為替レートの歴史的な動向

✅SMC解説動画

インスタグラムかYoutubeにて以下の解説動画を適宜参照されたい。
1  SMCの全体像
https://www.instagram.com/reel/CponELHDFWp/
https://www.youtube.com/shorts/2kQlYs7xBFs
2  ストップ狩りの仕組み
https://www.instagram.com/reel/Cp9lG90jGEs/
https://www.youtube.com/shorts/pMr-sMVNScY
3  SMC目線の市場構造
https://www.instagram.com/reel/CqAOd2NjCwG/
https://www.youtube.com/shorts/E6jUeelfwac
4  市場における時間帯の癖
https://www.instagram.com/reel/CqCHygkjlAr/
https://youtube.com/shorts/LvKLVEi1gfw
5  FVG(Fair value gap)
https://www.instagram.com/reel/CqFcCIBjjNf/
https://youtube.com/shorts/F5g30dspAx8
6  オーダーブロック
https://www.instagram.com/reel/CqIAcQxjAyl/
https://youtube.com/shorts/pn8kKNtZeFc
7  信頼性の高いオーダーブロック
https://www.instagram.com/reel/CqKoBEDDhWf/
https://youtube.com/shorts/r3z8qnzExPk
8  マルチタイムフレームMTF分析
https://www.instagram.com/reel/CqNM6LqDBZ9/
https://youtube.com/shorts/mrlOlZLze08
9  SMC目線のローソク足
https://www.instagram.com/p/CqO6tQjDm-S/
https://youtube.com/shorts/AUIc-qDz9Ow
10  AMDサイクル
https://www.instagram.com/p/CqSUF2-jqqm/
https://www.youtube.com/shorts/QbZ1cZnNkLQ
11  トレンドフォローBOSエントリー
https://www.instagram.com/p/CqU4xvhj8QS/
https://www.youtube.com/shorts/6SFctPVm83A
12  トレンド転換CHoCHエントリー
https://www.instagram.com/p/CqXijVXDyuy/
https://www.youtube.com/shorts/LnnDs22sUBc
13ダブルコンファメーション
https://www.instagram.com/p/CqZ-ZPpjXOM/
https://www.youtube.com/shorts/tG5LV8BjtyE
14  オーダーブロックのMTF分析
https://www.instagram.com/p/CqcmBpMDFxf/
https://www.youtube.com/shorts/Ufdk-ial_sw
15  AMDサイクルエントリー
https://www.instagram.com/p/Cqe_yvKD-xY/
https://www.youtube.com/shorts/6wT3eUhrtYc
16  特定のローソク足エントリー
https://www.instagram.com/p/Cqg58-bjPdG/
https://www.youtube.com/shorts/IvbYo7IXdqY
17  上位足FVG内での短期足エントリー
https://www.instagram.com/p/CqkVF8ajx3Q/
https://www.youtube.com/shorts/SUh-2CfKj-Q
18  リスクリワード
https://www.instagram.com/p/Cqm4nFSjYw1/
https://www.youtube.com/shorts/_WQgW5-N9Rc
19  資金管理
https://www.instagram.com/p/CqpgeUpsfSg/
https://www.youtube.com/shorts/2XrTkMNU8cA
20  Tradingview-SMCインジケーター
https://www.instagram.com/p/CqsK8wmOOa8/
https://www.youtube.com/shorts/tZqsU6nRhjA
21  Tradingview-MTFのFVGインジケーター
https://www.instagram.com/p/CqsLs3gOwwv/
https://www.youtube.com/shorts/Tt9m5eszokA
22  Tradingview-各市場の時間帯
https://www.instagram.com/p/CqumB9WNqwK/
https://www.youtube.com/shorts/n1MZoz3NNeo
23  Tradingview-SMC目線のローソク足
https://www.instagram.com/p/CqumVfgru4L/
https://www.youtube.com/shorts/aR6Lo3lgGQo
24  無料MT5ツール/インジケーター
https://www.instagram.com/p/CqwO2CGNX0K/
https://www.youtube.com/shorts/gdZtNOHd-T8
25  金(Gold)トレード
https://www.instagram.com/p/CqwPQnasY2e/
https://www.youtube.com/shorts/QC5X-29t4bM


✅スマートマネー

スマートマネーとは、中央銀行、大手銀行、ヘッジファンド、投資顧問会社などの機関投資家が行う投資を指す言葉である。これらの投資家は多額の取引資金を持ち、市場を動かす資金を有しておりマーケットメーカーとも呼ばれる。中央銀行、ヘッジファンド、大手企業、インターバンク、バンク・オブ・アメリカ、バークレイズ、ゴールドマン・サックス、HSBC、シティグループ、UBS、大手保険会社などがスマートマネーを支える一例である。銀行は最も取引量の多いスマートマネートレーダーであり、市場全体の60%以上を占めている。彼らは深い情報、知識、プロフェッショナルなチームを組んでおり、持続的に利益を得ている。スマートマネートレーダーは、個人トレーダーとは異なる方法で取引を行う。個人トレーダーは主にブレイクアウト手法で取引しトレンドを追うことが多いのに対し、スマートマネートレーダーは個人トレーダーとは逆にストップ狩りをするような取引をすることが多い。スマートマネートレードは機関投資家等が取引する市場構造、需要と供給の概念、オーダーフロー分析に主に焦点を合わせており、機密性の高い戦略の一つであるため大手機関や銀行は決してその戦略を明らかにしない。

✅スマートマネーによるストップ狩りと流動性

機関投資家等の大口トレーダーや彼らの採用するAI/アルゴリズムが、個人トレーダーの損切り注文が溜まっていそうな価格帯まで操作して、損切りを誘発させる。必ずスマートマネーによるストップ狩りと断言はできないが、チャート上にはその痕跡が反映される。SMCはこれらのストップ狩りを読み解き、トレードに活かすことができる。個人トレーダーの立場からすると嫌がらせであるが、機関投資家等からすると流動性を得る(Liquidity Grab)ためにストップ狩りを実行する。買い手には売り手が必要であり、機関投資家等になると自身のエントリーだけでは約定成立できず、持ちたいポジションを特定の価格で約定することが難しい。取りたいポジションが大きいほど、自身で徐々に価格を釣り上げることになり、不利な価格で約定することになる(図1)。従って、流動性を確保する観点から、機関投資家等のストップ狩りは合理的なやり方である。

図1:機関投資家等の大口が取るポジションのイメージ

多くの個人トレーダーがチャートパターン(ダブルトップ/ボトム、ヘッド&ショルダー、フラッグ、ウェッジなど)手法を利用するなか、機関投資家等のAI/アルゴリズムはこれらのチャート形状を囲むストップロスを誘発するようプログラムされている。我々個人トレーダーは大口の機関投資家等のような取引をするのではなく、SMCトレードでは別の視点からマーケットを考察し、単に彼らのアルゴリズムに従うことで優位性のあるポジションでエントリーすることが可能となる。機関投資家等の大口によるストップ狩りは以下の流れを辿る(図2)。

  • 意識されるトレンドラインやレジスタンス・サポートラインに個人トレーダーの注文が集まる。

  • 大口にとって都合の良い価格帯に向けて売り崩され、価格が操作される。

  • 個人トレーダーのストップロスを巻き込み、目標価格に向けて市場を動かして流動性を作る。

  • 大口が本命のスマートマネーを大量に入れる。

  • スマートマネーが入った価格帯がオーダーブロックとなる。

  • このオーダーブロックは反発し易い価格帯であり、SMCトレードのエントリー場所の1つとなる。

  1. ストップ狩りに使用した売り注文がオーダーブロックで決済され(買い注文)やすいため(ミチゲーション-mitigation)。

  2.  個人トレーダーがブレイク狙いの売り注文した後、(損切りできず)再度オーダーブロックに戻した時点では、ブレイクイーブンの価格帯となり決済(買い注文)されやすいため。

  3. 機関投資家等がストップ狩りをして得たポジションの価格帯であるオーダーブロックを割らせたくない思惑があるため、買い注文が入りやすいため。

図2:機関投資家等の大口によるストップ狩りの流れ

代表的なストップ狩りのチャートの形は、以下のような形を取ることが多い。

図3:ストップ狩り(Liquidity モデル)


✅市場サイクル

市場は蓄積段階、マークアップ段階、分配段階、マークダウン段階の4つの段階に分けられる(図4)。これら段階は全ての市場で共通する一般的なサイクルであり、市場は価格上昇、高値ピーク、価格下落、底到達など一般的なサイクルを辿る。スマートマネーは市場の蓄積段階でポジション構築を行い、この段階では市場は大幅な値動きをする(ストップ狩り等)。一方、分配段階とマークアップ段階の最終段階では、市場全体のセンチメントが動くため、スマートマネーは売却される。これは市場がサイクルを逆転し、価格が変動することを意味する。

🔴蓄積段階(Accumulation Phase)は、市場サイクルの最初の段階であり、価格が最も低い水準にある段階である。この段階では機関投資家等のスマートマネーが市場の注文やポジションを吸収する。スマートマネーは市場が底を打った際、なるべく価格を動かさないように購入を開始する。この段階では市場センチメントは「ベア」であり、個人トレーダーは売り始めるが、スマートマネーは購入を開始する。(ストップ狩りを利用される)

🔴マークアップ段階(Mark-up Phase)は通常、蓄積段階の後に発生し、スマートマネーが市場で十分な注文を蓄積した後に発生する。この段階で価格は急速に上昇し長期的な上昇トレンドに移行する。その際、市場構造は高値を付け始め、押し安値を付けながら上昇を続け、市場センチメントは「ブル」からユーフォリック(陶酔)に変わる。

  1. Upside break  スマートマネートレーダーが蓄積段階でポジションを仕込んだ結果(ストップ狩りをしながら)、価格が急上昇し蓄積段階のレジスタンスラインを突破する。

  2. Jump the creek 上昇トレンドのブレイクアウト直後に発生する押し目である。この段階では、個人トレーダーが利確等でポジション売却するポイントであり、一時的に価格が下落する可能性があるが、最終的には上昇することが多い。個人トレーダーは利益を伸ばすことができず、早まった利確がされやすい場所である。

  3. Re – Accumulation マークアップ段階の途中、蓄積段階と同様にレンジを刻む。ここでは、スマートマネートレーダーが上昇トレンド内でポジション構築するとされており、Re – Accumulationのレジスタンスラインを突破後は上昇を続ける。

🔴分配段階(Distribution Phase)は通常、マークアップ段階の後に現れ、一定期間価格が範囲内に収まって安定した時期である。この段階では、スマートマネートレーダーは価格を下げすぎずにポジション解消するフェーズである。価格は安定し、市場の「ブル」気配が混ざったセンチメントとなる。

🔴マークダウン段階(Mark-down Phase)では、市場は完全に「ベア」に支配される。これは分配段階の後に起こる最後のフェーズで、価格が大幅に下落する。スマートマネーは自分たちのポジションから利益を得て大量に売り、価格を急落させる。このフェーズの市場構造は、高値が切り下がり、安値も下がる傾向にある。個人トレーダーの大多数は市場の早い段階で売却を試みるが、スマートマネーは底値で買いたいと考えているため、このフェーズは新しい蓄積フェーズの始まりを示す。

マークアップ段階と同様に、下降トレンド中に下記フェーズが現れる。

  1. Down side break

  2. Break the ice down side

  3. re-distribution

図4:Richard Wyckoff’s蓄積段階から分配段階まで市場構造

URL:Richard Wyckoff’s Accumulation and Distribution Phase
http://tradingcoach.co.in/richard-wyckoff-accumulation-distribution-phase/
http://tradingcoach.co.in/richard-wyckoff-mark-up-mark-down/

図5:市場の買いモデル(ICT:innner circle trader model)

<図5・図6 ICT innner circle trader model 省略用語>
URL:https://theproptrader.co/ict-smart-money/

  • HTF – High Time Frame

  • POI – Point of Interest

  • SMR – Smart Money Reversal

  • LOKZ – London Kill Zone

  • NYKZ – New York Kill Zone


✅市場の構造

市場構造は、外国為替市場において最も重要な要素である。市場はフラクタル構造を取り、時間枠ごとに変化することが多い。市場構造は4つの基本的な動きで構成されている。上昇トレンド発生時の高値圏(hh)/安値圏(hl)と下降トレンド発生時の高値圏(lh)/安値圏(ll)の4つが相場のスイングポイントである。相場がレンジ化する際は、等高値(eh)/等安値(el)を形成している場合である。強気、弱気、横ばいの3つが相場のトレンドである。
強気のトレンドは、高値と安値の上昇で表される(BOS)ことが多い。このトレンドは安値を更新する(CHoCH)まで継続し、高値更新に失敗すると弱まり始める。高値更新に失敗すると弱まり始めるのである。一方、弱気トレンドは、高値と安値の切り下げ(BOS)で表現され、価格が安値を更新しない限り継続する。横ばいトレンドは、高値と安値が同じで高値と安値が等しく、底値圏に入るか、あるいは底値圏に入るまで、一定期間停滞する。

図7:市場構造のトレンド相場とレンジ相場
省略用語 BOS:Breake of Structure CHoCH:Change of Character
<トレンド発生時> higher high (hh) higher low (hl) lower high (lh) lower low (ll)
<レンジ相場> equal high (eh) equal lows (el)

✅各市場の値動きの癖

メジャーな4市場だけではなく、もう少し時間帯を細かくして時間帯を区切るとトレードに活かすことができる。東京/欧州/NY市場の切替わりだけでなく、影響が大きい米国株の動向・NYカットオプション・ロンドンフィックスも意識すべきである。通貨ペアにもよるが、1日の枠で見ると時間帯によって値動きの癖がある(図8)。

図8:代表的な日本時間と各市場の値動きの癖

🔴通貨強弱

各通貨の強弱を確認することでスマートマネー流入や市場ごとの癖を見抜けるヒントとなる。サイトで短期間・長期間で各通貨の強弱を確認することができる。特にポンド通貨や金(ゴールド)はスマートマネーによるストップ狩りが多く、値動きが激しい。
FX-labo通貨強弱チャート(URL:https://fx-labo.app/strength/?t=today

図9:FX-labo通貨強弱チャート

以下は2023年4月ロンドン市場15時からNY市場3時までのメジャー通貨の強弱である(図10)。月間・週間、特定の時間帯における通貨の癖を見抜き、トレードする通貨ペアのエントリー材料とすることができる。Mataf
URL:https://www.mataf.net/en/forex/tools/currency-index

図10:Mataf通貨強弱と時間帯
図11:東京‐欧州‐NYで見る構造

🔴Kill zone

アジア/ロンドン開始/ニューヨーク/ロンドン終了4つのKill zoneがある。Kill zoneではスマートマネーが入りやすいためボラリティが増加する。特にロンドン/ニューヨーク市場開始時の前後では、大きな切り替えし(ストップ狩り)が見られることがある。
<Killzone(日本時間)>
※付録-無料TraidingviewインジケーターICTのKillzoneも参照。

  • アジア時刻11:00~14:00

  • ロンドン開始16:00~19:00

  • ニューヨーク開始21:00~24:00

  • ロンドン終了24:01~26:00

図12:ロンドン市場のストップ狩りとロンドン/NYのAMD(蓄積-操作-分配)サイクル

🔴東京時間

クロス円やオセアニア通貨(AUD/NZD)が活発になる。オセアニア時間はレンジが多いが、東証開始から仲値までは大きく動く日も多い(特にゴトー日)。仲値9:55後は一気に値動きがなくなりレンジを刻みながら方向性を持って動きやすい。後場で日銀の介入があると日経225やドル円も上昇に転ずることもある。(基本的に日経225とドル円は正の相関)。仲値は金融機関が外国為替取引をする際の基準レートを指し、金融機関が毎朝9時55分の為替レートを参考に決定する。企業の銀行資金決済(スマートマネー)が多くなるため、実需のドル需要が多くなる傾向があるため、東京時間の仲値(9:55)にかけて大口取引が活発になり、ドル円を中心に短期トレンドができやすい。

図13:東京仲値の特徴的な値動き

🔴欧州時間

欧州通貨のEUR/GBP/CHFが活発になる。欧州参入後はボラリティが急上昇し、機関投資家などのスマートマネーにより、東京時間の高値・安値付近に溜まっているストップが狩り取られることが多い。

図14:欧州時間の特徴的な値動き
図15:ストップ狩り時、時間軸を変えてみると長い髭をつけることがある

🔴ニューヨーク時間

NYダウの動向が為替にも影響するため、米国勢の参入時はボラリティが高まる。NY市場の特徴はトレンド方向に動きやすい。但し、NYカットオプションやロンドンフィキシングを機に反転することも多い。重要指標でも大きく値動きができる時間帯である。

図16:ニューヨーク時間の特徴的な値動き

🔴週明け・週末の値動き

週明け月曜は最もボラティリティが低い。特に月曜は重要指標が少なく、機関投資家等の大口も様子を見てから動き出す傾向がある。月曜のアジア市場はレンジ傾向が強く、トレードを控える人も多い。

図17:ドル円の曜日別ボラリティ(2023年2月時点過去10週間の動き)

金曜のNY時間は週足の確定足が決まる。週またぎのリスクを避けるポジション解消が起こりやすい(利食いが入りやすい)。

図18:週末金曜日の利食いと週足ローソク確定


✅スマートマネーが入り易いタイミング

🔴NYカットオプション時刻

米国ニューヨーク市場でのFXオプション取引の権利行使締切り時間である(夏23時/冬24時)。多くの大手銀行等(スマートマネー)はNYオプションカットまでに自分が設定している価格まで相場レートを動かそうとするため、流動性が顕著に表れ大きく相場が時間帯となる。

図19:NYカットオプション前後の値動き
  • NYオプションカット時刻に向けて価格が吸い寄せられる

  • オプション消失して影響が無くなる事で値動きが加速する

Forexloveで毎日の取引量を確認可能である。
URL:https://www.forexlive.com/Orders/

図20:NYカットオプション量

🔴ロンドンフィキシング

ロンドンフィックスとは東京時間9時55分の仲値に相当する時間で、その日の対顧客向けの基準レート(両替レート/企業との取引レート)を決める時間である(夏24時/冬25時)。特に月末月初はユーロドルやユーロポンドが大きく動きやすい。ロンドンフィックスに向けて一気に値動きが加速するケースが見られる。URL:https://xn--fx-xt3c.jp/

図21:ロンドンフィキシングの値動き
  • NY時間は基本的にはトレンドフォローが機能しやすい。

  • ロンドン時間はトレンドフォロー+ブレイク狙いが機能しやすい


🔴スマートマネーが入りにくいタイミング

機関投資家などは1秒に数千回ものAIを駆使したアルゴリズム取引をしている。特に要人発言や重要指標では活発にアルゴリズム取引が実施される。一方、市場に参加しない時期にはスマートマネーが入らず、レンジ相場になりやすくボラリティも低下する。スマートマネーの値動きを読み取ってトレードに活かすSMCでは、トレードを控えた方が無難である。

<市場が動きにくいタイミング>

  • アメリカの祝日

  • クリスマス休暇

  • 年末年始休暇

  • サマー休暇(夏枯れ相場)

  • FOMC直前(発言や結果を待って取引開始する)


✅不均衡・インバランス

インバランスや需給の不均衡とは市場における歪みである。スマートマネーの売買注文が大量に発生し、買い手と売り手の注文が一致せず、市場に不均衡が残り、価格が急激に上昇または下降する場合によく発生する。市場の不均衡は機関投資家等のマーケットメーカーやスマートマネーが大量の注文を市場に出してポジションを売買し、需要や供給がないまま放置された場合に生じる。その際、チャート上ではFVG(Fair Value Gap)別名Hidden Gapが発生しやすく、スマートマネーで市場が動いた痕跡を辿ることができる。FVGとはローソク足3本のうち真ん中の足の値幅の中で左右の足と被らない価格帯を指す(図22)。2本目足が大陽線/大陰線となることが多く、その左右の足と価格が被らないため、レンジ相場では出現しにくい一方で、トレンド相場の中で出現しやすい。

図22:Fair Value Gap(Hidden Gap)

✅FVG(Fair Value Gap)

取引成立は売る量と買う量が同じとなる。しかし、特定の価格で売る量が足らず、それでもロングしたい人がいる場合、次に高い価格で売る人を見つけて価格が上がる。従って、FVGの価格帯では需要と供給が不均等状態であり、スマートマネーが流入した可能性がチャート上で把握できる。ただし、FVGで不均衡が発生しても、相場の不均衡は平衡状態に戻ろうとFVGを埋める動きをする(図23・24)。またFVGは価格帯別の取引量(売り買い成立)が小さく不均衡な状態であることが分かる(図25)。
※付録-無料Traidingviewインジケーター「フェアバリューギャップ」も参照されたい。
<FVGの性質>

  1. FVGを埋めに行く動きをする。

  2. Gapを埋めた後、トレンド方向に動きやすい。トレンド押し目/戻り目の目安と考えることが出来る。

  3. Gapを埋めた後はその性質を無くす。FVGが発生した価格帯は再度FVGが生じやすい。

図23:Fair Value Gapの性質
図24:需給の不均衡とFair Value Gap


図25:需給の不均衡とFair Value Gap

上図:市場の不均衡が発生した直後では、FVG価格帯は取引量が少ない。
下図:時間の経過とともに、徐々に差が小さくなってボリュームのバランスが修正される。

✅オーダーブロック

FX市場でも需要と供給は最も主要な概念であり、売り手と買い手の間をつなぐものである。言い換えると、供給はアクセス可能な量、需要は欲しがる量と表現することができる。そのため、供給ゾーン(Supply zone)は売るときに、需要ゾーン(Demand zone)は買うときに使われることが多い(図26)。需要ゾーンは買い圧力が高まり相場が上昇する需要の領域、供給ゾーンは相場が下落することが予想される供給の領域である。需給ゾーンから離れたところで価格がより劇的に動くということは、そのゾーンのバランスが崩れ、そこでスマートマネーからの注文が実行されたことになりゾーンがより強固になる。良い需給ゾーンを見つけるには、大きな値動きを探すことが非常に重要である。スマートマネーが取引することと同様に、供給ゾーンでは高い価格で売り、需要ゾーンでは低い価格で買うことになるため、これらのゾーンは非常に重要となる。

図26:Supply & Demand Zones (Bikesh Maskey, 2021)

相場が下落することが予想される供給の領域である供給 ゾーン(Supply zone)及び、買い圧力が高まり相場が上昇する需要の領域である需要ゾーン(Demand zone)はオーダーブロックと呼ばれる。オーダーブロックの価格帯は、オーダー(注文)が多く集まっているブロック(価格帯)であり、市場を動かすお金スマートマネー(流動性)が多く溜まっている価格帯で、精度の高いサポート・レジスタンスゾーンである(図27)。

図27:オーダーブロックのイメージ図

また相場のトレンド方向によって、オーダーブロックの強弱が変わる。加えて、上位足のトレンド方向やオーダーブロックの位置、流動性、時間帯、ローソク足のプライスアクション等によってオーダーブロックの信頼性は変化する(図28・図29)。
<オーダーブロックの種類>

  • OB with FVG:FVGを伴う大口スマートマネー流入があったと思われるもの。

  • ブレイカー・ブロック:元々は売りのOBが買いのOBとなりレジサポ転換したもの

  • プロパルジョン・ブロック:以前のOBと一部重なるもの。押しや戻りが強いトレンドでよく見られる。

図28:BOS/CHoCHとオーダーブロック強弱の関係
図29:信頼度の高いオーダーブロックの種類

その他、スマートマネーによるストップ狩り(Liquidity Grab)が発生を伴うオーダーブロック(図30)やキリ番を跨ぐオーダーブロック(図31)は機能しやすい。

図30:スマートマネーによるLiquidity Grabを伴うオーダーブロック(≒OB with FVG)
図31:ドル円のキリ番135円を跨ぐオーダーブロック

オーダーブロックの引き方に定義はない。一般的には直近の高値・安値の山に沿ってオーダーブロックを引く(図32)。

図32:価格帯とローソク足1本で引くオーダーブロック

※付録-無料Traidingviewインジケーター「オーダーブロック」も参照されたい。

✅マルチタイムフレーム分析とフラクタル構造

市場構造は時間軸を変えるとフラクタル構造になることがあり、同じ市場内には複数のトレンドが存在することがある(図33)。長い時間軸はトレンドを生み出し、短い時間軸はFX市場への優位性のあるエントリーを得るために使用される。マルチタイムフレーム分析は、複数の時間枠でチャートを分析することであり、比率は1:4または1:6の割合で時間枠を切り替えることが推奨される(図34)。これにより小さな動きをカバーし、マーケットで優位性のあるピンポイントなエントリーをすることが可能である(図35)。1時間足で分析する場合は10/15分足に切り替えて分析することができ、日足で分析する場合は4/6時間足で分析することが理想的である。より長い時間枠がトレンドを作り、トレンドの反転はより短い時間枠から開始されるため、より長い時間枠の反転を生み出す方向に成長する。

図33:フラクタル構造 (Bikesh Maskey, 2021)
図34:マルチタイムフレーム分析の時間軸
図35:マルチタイムフレーム分析


✅特徴的なローソク足

形成されるローソク足の実体の大きさ・割合、髭の長さやローソク足の組合せ、時間軸を変えた際のチャートパターン等から強気/弱気相場を把握することができる(図36〜図40)。これらのローソク足から、機関投資家等によるスマートマネーのストップ狩りが入ったことを見つけ出すヒントとなることがある。
※付録-無料Traidingviewインジケーター「ストップ狩り関連」も参照されたい。
※付録-無料Traidingviewインジケーター「プライスアクション」も参照されたい。

図36:ローソク足の髭と強弱関係
図37:ローソク足:Railway tracks
図38:ローソク足:はらみ足
図39:短期ローソク足で確認されることのあるチャートパターン
図40:包み足と騙し/フェイク

ローソク足から機関投資家等によるスマートマネーのストップ狩りが入ったことを見つけ出すヒントとなることがある。例えば、機関投資家等のスマートマネーによるストップ狩り(Liquidity Grab)が入った足でのオーダーブロックはFVGが生じやすく、信頼度の高いOB with FVGとなりやすいことは述べた。その際、意識されるラインを割った後に長い髭を付けて勢いよくで戻し、時間軸を変えてローソク足を観察すると包み足となっていることがある(図38)。
またマルチタイムフレーム分析に加え、前述の「図5:市場の買いモデル(ICT:innner circle trader model)」が含まれるようなアルゴリズムを伴うAlgoローソク足から、スマートマネーが流入した可能性を察知することができる(図41)。

図41:SMC視点のローソク足
図42:ICTのAMDサイクル視点のAlgoローソク足

これら特徴的なローソク足に加え、マルチタイムフレーム分析を加えると精度の高いエントリー場所を見つけ出すことに繋がる(図43)。

図43:マルチタイムフレーム分析とAlgoローソク足


✅スマートマネートレード

前述の市場構造、時間帯、FVG、オーダーブロック、マルチタイムフレーム分析、ローソク足などを踏まえ、マーケットメーカーであるスマートマネーを読み取ったSMCトレード戦略を以下に記述する。

🔴トレンドフォロー

オーダーブロック(供給 ゾーンと需要ゾーン)を元に、市場が上昇トレンドで動いている場合、価格は一定期間レンジなど保ち合いを推移し、その後再び上昇し、需要ゾーンのオーダーブロックを形成する。価格がこのエリアに戻ってくると、買いポジションを入れ、押し目を狙ったエントリーをする。一方、下降トレンドでは価格が下落し、一定期間レンジなど保ち合いを形成し、さらに下落後に供給 ゾーンのオーダーブロックを作るときに、戻り目エントリーをする。これらRally-Base-Rallyは上昇トレンドの継続パターン、Drop-BaseDropは下降トレンドの継続パターンである。

図44:トレンドフォロー:Rally-Base-RallyとDrop-BaseDrop

また、前述のミチゲーション(図2:機関投資家等の大口によるストップ狩りの流れ)を狙ったスマートマネー決済に沿ったトレンドフォロー戦略がある(図45)。これらの流れは「スマートマネーによるストップ狩りと流動性」の章を参照されたい。

図45:スマートマネーによるミチゲーションを狙ったトレンドフォロー

また、ロンドン市場とNY市場では頻繁にストップ狩りが発生する。ここのストップ狩りがトレンド方向に沿った押し目・戻り目となることも多く、オーダーブロックまで価格を戻すタイミングと重なると綺麗なエントリーとなることがある(図46・図47)。

図46:AMDサイクルのストップ狩りがオーダーブロックで押し目とあることがある
図47:ストップ狩りのタイミングが押し目になることがある

🔴トレンド転換

相場は長い時間枠でトレンド転換を達成するために、短い時間枠でトレンドを変える必要がある。強気トレンドの場合は市場が高値と安値を更新しているとき、市場は長い時間枠でトレンド転換するために、新しい安値(高値)を付ける必要がある(CHoCH)。その際、下落した後に一定期間底値圏で推移した場合に新たなオーダーブロック(供給ゾーン)が形成される。そのオーダーブロックに再度戻ってきたときが、トレンド転換を狙ったエントリー場所になる(図48)。トレンド転換の直前、安値(高値)更新が止まり一度直近のオーダーブロックで反発したことでCHoCHが確認できなくとも、再度CHoCHを確認してからエントリーする方が勝率は高まる(FLIP)。

図48:トレンド転換エントリー(CHoCHとFLIP)

🔴短期足の確認/ダブルコンファメーション

前述のマルチタイムフレーム分析を踏まえ、短期足まで落とし込むことで、さらにエントリー精度を挙げた優位性のある場所で選定することができる(図49/50/51)。マルチタイムフレーム分析の際の時間軸は、自身のトレードスタイルに合わせ「図34:マルチタイムフレーム分析の時間軸」を参照されたい。

図49:マルチタイムフレーム分析 短期的なトレンド
図50:マルチタイムフレーム分析 上位足からエントリー足までのオーダーブロック
図51:マルチタイムフレーム分析 FLIP in FLIPとDouble Confirmation


🔴エントリー基準を定める

SMCのエントリーは基本的にはオーダーブロックを背にしたうえで、エントリーを試みる。その際、更にエントリー精度を上げるためのアイデアをいくつか以下に掲載する。損切りに関しては、以下「資金管理」の章を参照されたい。

①マルチタイムフレーム分析で短期足オーダーブロックでエントリー
上位足-中位足-下位足の各々のオーダーブロックまで絞り込んで、下位足でCHoCHを確認後のオーダーブロックでエントリーする。

図52:上位足-中位足-下位足の各々オーダーブロックまで確認

②特定のローソク足でエントリー
前述の「特徴的なローソク足」で述べたようなローソク足でエントリーする。

図53:オーダーブロック内で特定のローソク足でエントリー(例示はキーリバーサル包み足)

③下位足フェイクブレイク足でエントリー
オーダーブロック内で、下位足レンジや保ち合いFakeブレイクを確認してエントリーする。時間軸を変えると、髭の長いローソク足となることがある。またストップ狩りが頻発するロンドン市場/NY市場前後の時間の癖を利用できる。

図54:オーダーブロック内でFakeブレイク確認してエントリー

④FVG発生を伴った足でエントリー
オーダーブロックでエントリー方向にFVG確定した(短期足)ローソク足でエントリーする。スマートマネーによるミチゲーションであれば、FVGを伴うローソク足が発生しやすいことを利用したエントリーである。

図55:オーダーブロック内でFVG確定でエントリー

⑤オーダーブロック反発でエントリー
最もシンプルな考えはオーダーブロックにタッチした後、反発を確認してエントリーすることである。「オーダーブロック」の章で述べた信頼度の非常に高いオーダーブロックであれば、複雑に考えずにシンプルにエントリーすることも優位性があるエントリーとなる。

図56:オーダーブロックのタッチでエントリー

⑥Fiboリトレースメント利用でエントリー
オーダーブロックで反発後、CHoCH達成した際の安値(高値)を結ぶFiboリトレースメントを参考にエントリーする。

図57:Fiboリトレースメントを利用したエントリー


🔴上位足FVG内で短期足エントリー

前述の通りFVGの価格帯では需給の不均衡が発生しており、ここのギャップは埋める性質がある。この上位足にけるFVGが埋まることを前提として、短期足でエントリーするトレード戦略がある(図58)。上位足FVG内で短期的なトレンドを取る手法であり、FVGが埋まった際に利確する。但し、大きな目線では逆のトレンドであることが多く、OB with FVGでは反発しやすい価格帯であることには注意が必要である(図59)。

図58:上位足FVG内で短期足エントリー
図59:FVG発生の価格帯は再度FVGが発生し易い、大きな目線でトレンド方向に動き易い


✅資金管理

資金管理とは投資やトレードで使う資金を適切に管理することであり、手法を学ぶ前に必ず身につけなければならない最重要な内容である。特にFXではレバレッジを使って取引することや、多くの取引回数をこなすため、資金管理を無視すると大きな損失を被り、取引を続けられなくなる可能性が高くなる。FX取引は頻繁に行われるため、1回あたりのリスクを一定に保つ必要がある。
<損失を一定にする方法>

手順1: 許容損失率を決める
一般的に1回のトレード損失パーセントは2%以内に抑えることが推奨される。余程、自身が信頼するサインが重なることがあり自信がある場合に5%等とすることも可能である。ここでは1回のトレードで損失2%の想定で例示する。
手順2: 損切り位置を決める
SMCトレードにおいて、損切り場所に絶対的な決まりはない。一般的にはオーダーブロックを割った際に損切り、直近高値/安値で損切りを設定場所とすることが多い。
手順3: 最適なロット数を計算する
クロス円LOT数=軍資金×2% ÷ 損切り幅(PIPs)÷ 100(円)
クロス円以外LOT数=軍資金×2% ÷ 損切り幅(PIPs)÷ 円換算(円)
計算式を覚える必要はなく、サイトを使用し計算可能である。
以下、総資金10万円、許容損失2%、ドル円、損切り幅20PIPを例示する。
Position Size Calculator:
URL:https://www.babypips.com/tools/position-size-calculator

手順4: 計算したLOT数でトレードする
MT5では資金管理ツールを用いて自身が設定した許容リスク%で損失を一定にすることができる取引補助ツールがある。以下例示のMT5ツールは無料である。
Mercurial Position Sizing Risk Planner
(URL:https://www.mql5.com/ja/market/product/63373?source=Site+Market+MT5+Utility+Free+Rating006

Quick Trade MT5
(URL:https://www.mql5.com/ja/market/product/57613?source=Site+Market+MT5+Utility+Free+Search+Rating006%3aquick)

※付録-無料Metatrader5ツールとインジケーターも参照されたい。

図60:MT5の損失%を設定できる注文補助ツール

<ハイレバレッジ戦略>
トレードを始める際に軍資金が少ない場合には、高いレバレッジを掛けた取引をすることは有効な手段である。始めに大きな資金でトレードを開始するのではなく、軍資金を細かく複数回に分けて入金し、ハイレバレッジで取組むことも有効である。国内業者では25倍程度であるが、海外では数百倍以上のレバレッジを掛けられるため、少額からリスクを取って勝負したい場合は、海外取引所が必要となる。
生活に支障がない余剰資金であることが大前提であるが、例えば軍資金10万円でスタートする場合、1万円を10回に分けて入金して最大10回ゼロロスカットできるようにする。ハイレバレッジで1回の損切りで1万円をゼロカットに設定し、強気に勝負することも手段である。その際、自身で1万円ゼロカットとなるように算出した損切り設定が必要である。ハイレバレッジであれば直ぐに原資が数倍になることがあるため、一度原資を抜いて、その増えた金額だけで同じハイレバレッジ戦略にてトレードを繰り返すと資金が一気に増える。ある程度資金が増えた後、上記のような損失許容%を設定して安定的なトレードに切り替えることを勧める。当然ハイリスクとなるため、余剰資金の内さらに無くなっても問題ない程度の金額で開始することが望ましい。

図61:原資10万円でハイレバレッジでトレードした際の例示

✅リスクリワード比

リスクリワードとは損失と利益の幅のことである。もし損切り幅が20PIPs、利確幅が100PIPsであれば、リスクリワード比は1:5(損失:利益)となる。リスクリワード比とは、利確と損切りのバランス比率である。一般的には最適なリスクリワード比は2.5〜3.0程度とされており、以下が勝率に対して最低限必要なリスクリワード比である(図62)。仮に勝率が50%を割っていたとしても、リスクリワード比次第で利益を得ることが可能である。

図62:勝率に対する必要最低限のリスクリワード比

また以下に1回のトレードでの許容損失率を2%とした場合の破産確立表を記載する。勝率が80%の手法としてもリスクリワード比0.2%のトレードを続けると、破産確立は100%であることが示される。反対にリスクリワード比が高くとも勝率とのバランスが悪い場合には同じく破産確立は高い(図63)。
破産確率を下げるためには、1)勝率を上げる、2)リスクリワード比を上げる、3)許容損失率を低くすることが必要になる。しかし、勝率が高い程リスクリワード比は低くなり、勝率が低い程リスクリワード比は高くなる。つまり、SMCトレード手法に限らず、どのような手法であろうが、リスクリワードを考えず資金管理を徹底できないトレーダーは負けてしまう。これこそが、大多数のトレーダーが損失を被り続けられなくなり退場してしまう最大の理由である。

図63:リスクにさらす資金割合2%の破産確率表

✅結論

当該レポートは利益を出し続けているトレーダーが提供する戦略に基づいており、インターネット上にある情報や著者の経験を元にSMCトレード手法を纏めたものである。新規FXトレーダーの98%が2年以内に退場すると言われる程の厳しい世界である。SMCトレード手法に限らず、必ず資金管理を徹底された上で取組んでもらうことを願う。また、SMCは個人トレーダーのストップ狩りをするアルゴリズムでトレードするような機関投資家等のスマートマネーの動向を読み解くものであるため、個人トレーダーのエントリー・損切り場所を理解することが大前提である。その一般的な教科書通りの考えを身に着けたうえで、さらにもう一段レベルを上げる際に当該レポートが役立つことを願う。

★付録★(2023年5月5日 第2.0版時点)

✅FXトレードでの便利サイト

  1. FX‐Lab:通貨強弱                       https://fx-labo.app/strength/?t=tokyo

  2. Mataf:通貨強弱、相関、ボラリティ https://www.mataf.net/en/forex/tools/currency-index

  3. Action Forex:ボラリティ  https://www.actionforex.com/markets/volatility-charts/

  4. Foexlive:NYオプションカット https://www.forexlive.com/Orders/

  5. Oandaラボ:openオーダーとポジション https://www.oanda.jp/lab-education/oanda_lab/oanda_rab/open_position/

  6. いなごフライヤー :スマートマネーhttps://inagoflyer.appspot.com/fmac

  7. Fred:10年債と2年債の利回り差 https://fred.stlouisfed.org/tags/series?ob=pv

  8. Investing.com:経済指標 https://jp.investing.com/economic-calendar/

  9. 世界の株価:https://sekai-kabuka.com/

  10. FRBバランスシートhttps://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/bst_recenttrends.htm

✅無料Traidingviewインジケーター

  • オーダーブロック

  1. Order Block Finder (Experimental)https://www.tradingview.com/script/R8g2YHdg-Order-Block-Finder-Experimental/

  2. Smart Money Concepts [LuxAlgo] https://www.tradingview.com/script/CnB3fSph-Smart-Money-Concepts-LuxAlgo/

  3. Order Block Detector [LuxAlgo] https://www.tradingview.com/script/KvGhxGxY-Order-Block-Detector-LuxAlgo/

  4. Liquidity Heatmap (Nephew_Sam_) https://www.tradingview.com/script/A4HGnlGH-Liquidity-Heatmap-Nephew-Sam/

  5. pMarket Structure Break & Order Block by EmreKb https://www.tradingview.com/script/DkE7UniD/

  • フェアバリューギャップ

  1. Fractal Break Imbalance / Fair Value Gap (FVG) / Liquidity Void https://www.tradingview.com/script/q67i2j7X-Fractal-Break-Imbalance-Fair-Value-Gap-FVG-Liquidity-Void/

  2. Fair Value Gap        https://www.tradingview.com/script/erbzoVY8-Fair-Value-Gap/

  3. Fair Value Gap [LuxAlgo]   https://www.tradingview.com/script/jWY4Uiez-Fair-Value-Gap-LuxAlgo/

  4. Imbalance Detector [LuxAlgo] https://www.tradingview.com/script/C0cC294Q-Imbalance-Detector-LuxAlgo/

  • ICTのKillzoneと時間帯

  1. ICT Killzones [LuxAlgo]   https://www.tradingview.com/script/bmFFb5Rt-ICT-Killzones-LuxAlgo/

  2. ICT Everything      https://www.tradingview.com/script/T6KkMfK6-ICT-Everything/

  3. ICT Killzone Boxes    https://www.tradingview.com/script/MSeLR1Nk-ICT-Killzone-Boxes/

  4. Daily Profile (Nephew_Sam_) https://www.tradingview.com/script/ZnyqUIJp-Daily-Profile-Nephew-Sam/

  5. AsianRange and KillZones   https://www.tradingview.com/script/Lv1vtXa7-AsianRange-and-KillZones/

  6. Market Sessions - By Leviathan https://www.tradingview.com/script/hNpilzEG-Market-Sessions-By-Leviathan/

  • ストップ狩り関連

  1. Relative Volume                 https://www.tradingview.com/script/rZpNXicF-Relative-Volume/

  2. False Breakout (Expo)     https://www.tradingview.com/script/vz0bVIJo-False-Breakout-Expo/

  3. Fakey pattern (Inside Bar False Breakout)  https://www.tradingview.com/script/NL9oFjOx-Fakey-pattern-Inside-Bar-False-Breakout/

  • プライスアクション

  1. Bull/Bear Engulf High Low Lookup  https://www.tradingview.com/script/aVo3U3in-Bull-Bear-Engulf-High-Low-Lookup/

  2. Liquidity Engulfing Candles [upslidedown] https://www.tradingview.com/script/QpnPfNK6-Liquidity-Engulfing-Candles-upslidedown/

  3. Hammer Scanner v1     https://www.tradingview.com/script/9wI7e8Gu-Hammer-Scanner-v1/

  4. Price Action Doji Harami v0.2 by JustUncleL  https://www.tradingview.com/script/Z8Gzvss8-Price-Action-Doji-Harami-v0-2-by-JustUncleL/

✅無料Metatrader5ツールとインジケーター

  • 注文補助ツール

  1. Mercurial Position Sizing Risk Planner https://www.mql5.com/ja/market/product/63373?source=Site+Market+MT5+Utility+Free+Rating006

  2. Mercurial Position Sizing Risk Planner https://www.mql5.com/ja/market/product/57613?source=Site+Market+MT5+Utility+Free+Search+Rating006%3aquick

  • リアルタイム通貨スプレッド表示

  1. Custom Spread Indicator MT5 https://www.mql5.com/ja/market/product/56849?source=Site+Market+MT5+Indicator+Free+Search+Rating006%3aspread

  • ローソク足確定カウントダウン

  1. Candle Timer Countdown https://www.mql5.com/ja/market/product/62450?source=Site+Market+MT5+Indicator+Free+Search+Rating006%3atimer

  2. Blahtech Candle Timer MT5 https://www.mql5.com/ja/market/product/37577?source=Site+Market+MT5+Indicator+Free+Search+Rating006%3atimer

  • 通貨ペアと時間足の表示

  1. Mi_Symbols   https://minagachi.com/mt5-mi_symbols

  2. ABC-Price-Currency-Date                 https://opty-life.com/fx/abc-price-currency-date-mt5/

  • アラート

  1. key trend alert MT5          https://www.fxnav.net/mt4navi/trendline_alert/

  • 通貨ペア切替え

  1. Timeframe and symbol changer for https://www.forexfactory.com/thread/775659-timeframe-and-symbol-changer-for-mt5?page=3

  2. Chart Symbol Changer for https://www.mql5.com/en/market/product/75330?source=External

  • SMC関連インジケーター

  1. Order Block Locator   https://www.mql5.com/ja/market/product/72148?source=Site+Market+MT5+Indicator+Free+Search+Rating006%3aorder+block

  2. Fair Value Gaps     https://www.mql5.com/ja/market/product/91739?source=Site+Market+MT5+Indicator+New+Search+Rating006%3afair

  3. マルチタイムフレームFVG               https://technical-indicators.com/archives/31194

  4. PZ Sandwich Bars MT5  https://www.mql5.com/ja/market/product/17355?source=Site+Market+MT5+Indicator+Free+Search+Rating006%3asandwich

  5. Swiss InsideOutsideBar https://www.mql5.com/ja/market/product/35225?source=Site+Market+MT5+Indicator+Free+Search+Rating006%3aswiss

※基本的にSMC関連情報は英語が原文となる。日本語に翻訳する際、以下のようなサイトを用いることで、精度の高い翻訳をすることができる。
DeepL:https://www.deepl.com/ja/translator
Chat-GPT:https://chat.openai.com/
インスタ投稿:Chat-GPTで海外SMCを学ぶ‗https://www.instagram.com/p/CpcMjbBPqr0/

✅海外のSMC自動売買EA

SMCを元としているICT概念のトレード手法である。
※こちらのEAを推奨するものではない。
URL:
https://www.mql5.com/en/blogs/post/750916 
https://www.mql5.com/en/users/fxperk/seller
説明動画:https://youtu.be/Qvx0xm8SLj4

🔴トレード時間
どの時間帯でも機能するが、特にロンドンKillzoneとニューヨークKillzoneが機能しやすい。

図64:SMCの海外-自動売買EA

🔴トレードルールの概要

  1. ロンドン/ニューヨークのセッション開始後、最初の3時間のみ

  2. 通貨ペアはEUR/USDとGBP/USD、AUD/USDが推奨される

  3. FVGを伴うオーダーブロック発生後、Fiboリトレースメント50%か70.5%でエントリー(FVGが伴わないCHoCHやBOSではエントリーしない)

  4. 前日の安値/高値PDL/PDHの下/上で価格が推移する場合にはトレードしない。他のPDL/PDHがあると、その価格帯に注文が集まっており急な価格変動になり易い。レンジ等のequal high(eh)やequal low(el)でトレードしない。※PDH – Previous Daily High、 PDL – Previous Daily Low

  5. トレンド相場よりレンジ相場で機能しやすい

  6. 重要指標の前にはトレードしない

  7. 予め定めたリスクリワード比RRで3Rのトレードを達成した日は、その日のトレードを終える。

  8. 予め定めたリスクリワード比RRで6Rのトレードを達成した週は、その週のトレードを終える。

  9. トレード1回あたりの許容損失率1%とした場合、1か月の目標はRR1:20で月利20%としている。

  10. 何があっても資金管理は徹底する。決して損切りラインをエントリー後に動かさない。

  11. 目標の利食いラインより前に、利益確定してはならない。

  12. このトレードを実践する上で、他トレーダーの意見に左右されてはならない。

  13. 感情的なトレードをせず、冷静でない場合はトレードを中断する。


🔴AUD/USDの1分足トレード例(FVGからエントリー)

図65:AUD/USDの1分足トレード例
  1. PDH-manipulationの場所を狙う

  2. DXY米ドルインデックスで意識される場所でないことを確認

  3. 1分足/5分足でFVGを伴ったBOS(CHoCH)が発生するまで待つ

  4. エントリー前にオーダーブロックを確認

  5. 安値とオーダーブロックを結ぶFibo50%の戻り目でShortエントリー

  6. manipulationのswing high(sh)先端に損切りラインを設定

  7. リスクリワード比RRは1:3

  8. このEAは損切り・利確ラインに達し次第、ポジション決済される


🔴EUR/USDの5分足トレード例(FIBO 70.5%の戻り目エントリー)

  1. PDH-manipulationの場所を狙う

  2. 5分足でFVGを伴ったBOS(CHoCH)が発生するまで待つ

  3. エントリー前にオーダーブロックを確認

  4. 安値とオーダーブロックを結ぶFibo70.5%の戻り目でLongエントリー

  5. スマートマネーによるストップ狩り(Liquidity Grab)があった先端に損切りラインを設定

  6. リスクリワード比RRは1:3

  7. このEAは損切り・利確ラインに達し次第、ポジション決済される

図66:EUR/USDの5分足トレード例(FIBO 70.5%)

🔴EUR/USDの5分足トレード例(オーダーブロックでエントリー)

  1. PDH-manipulationの場所を狙う

  2. 5分足でFVGを伴うBOS(CHoCH)が発生するまで待つ

  3. エントリー前にオーダーブロックを確認

  4. 高値とオーダーブロックを結ぶFibo50%以上の戻り目があり、オーダーブロックをタッチ確認でエントリー

  5. スマートマネーによるストップ狩り(Liquidity Grab)があった先端に損切りラインを設定

  6. リスクリワード比RRは1:3

  7. このEAは損切り・利確ラインに達し次第、ポジション決済される

図67:EUR/USDの5分足トレード例(オーダーブロック反発エントリー)
図68:米ドルインデックス1時間足を観測し、FVGを確認
図69:equal highではエントリーしない

🔴資金管理

  1. このシステムでは1回のトレード当たりの許容損失率は1%を推奨している。(EA開発者は0.5%に設定)

  2. 初心者は0.25%から始めるとよい。

  3. 損切り幅の最大は20PIPsとする。

  4. 日次目標3R-1トレードの許容損失率0.5%のため1.5%のリスク

  5. 週次目標6R-1トレードの許容損失率0.5%のため3%のリスク

  6. 月次目標20R-1トレードの許容損失率0.5%のため10%のリスク

  7. 常にリスクリワード比RRは1:3以上に設定する。10回に3回の勝率で利益を残すことができる。

  8. 価格が思惑通りに動いたのち、部分利確を実行して残りは建値に損切りラインを設置することも可能である。

  9. 1回のトレードでRR1:2.5を達成するためには、33%の勝率が必要

  10. 日次目標3Rを達成した日は、それ以上のトレードはしない

  11. 週次目標6Rを達成した週は、それ以上のトレードはしない

  12. 開発者は各通貨ペアで少なくとも200回以上のバックテストをすることを推奨している。

図70:リスクリワード比RRに対して必要な勝率


✅引用文献とサイト

✅免責事項

この為替トレード手法に関するレポートは、筆者が実践している手法を紹介するものであり、特定の投資成果を保証するものではありません。為替取引はリスクが伴います。過去のデータや統計は将来の利益を保証するものではありません。また、筆者は投資の専門家ではありません。したがって、投資に関する最終的な判断は読者自身が行う必要があります。
筆者は、この為替トレード手法に関するレポートの情報の正確性や完全性について、いかなる保証も行いません。筆者は、このレポートの内容に基づいて行われた投資によって生じた損失について、一切の責任を負いません。読者は、自己の判断で情報を活用し、投資に関する決定を行うことを推奨します。
このレポートの内容は筆者の個人的な見解に基づいており、特定の投資戦略を勧めるものではありません。読者がこのレポートに基づいて投資を行う場合は、自己のリスクと責任において行ってください。投資・投機はいかなる場合においても「自己責任」です。投資判断の最終的な決定は皆様ご自身の「自己責任」の元行うものとし、投資資産のいかなる損失等が発生しても著者は責任を負うことはできません。

✅著作権と連絡先

このレポートの著作権は著者に帰属します。当該レポート内容を引用する場合は、著者の許可が必要です。また、引用する際には引用元を明記する必要があります。レポート内容を無断で複製、再配布、または商業目的で使用することはできません。著作権に関する詳細については、著者にお問い合わせください。
連絡先:インスタグラムDM  @porepore_invest(ふぁじお) 
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