サラットナさん 第十八章

怒涛のような新年の3日間となった。
洗い物、掃除、洗濯、ゴミ拾い、裏舞台は人間にとって大切な当たり前の繰り返し。

そんな忙しい中、宮司の奥様のお雑煮を頂いた。
とても透明なお汁から優しい香りが湯気とともにやってくる。あ〜旦那にも食べさせてあげたい。
至福の時間。

めちゃ怖いと巫女さんが話していた神主さんたちも交代で昼食のようだ。テキパキと巫女さんたちが配膳を行う。私にお雑煮のおかわりはいかがですか?と声もかけてくれる。ぜひ〜。と喜んでいると、神主さんから初めての正月奉仕はいかがですか?と聞かれた。

ともかく巫女さんたちが、スーパーで素敵でカッコよくてキビキビ勤務されて尊敬します。しかも今年の新人さんも可愛くて美人さんばかりですね。と答えたら、大笑いされた。何かおかしなことを言ったかな。ともかく怖くなくて良かった。

役員さんたちも交代でお昼を食べにくる。
「貝塚さん、外トイレも見てくれると助かるなぁ。巫女さんのサポートで忙しいところお願いできないかな。」と頼まれる。

外の様子がまったく分からなかったので、内心嬉しかった。早速、巫女長さんに伝えて外トイレのチェックにむかう。「明けましておめでとうございます」と声をかけながら人混みをぬけていく。

外トイレは、流石にすごい状態にはなっているけれど想像よりも綺麗だった。うふふ、日頃の思いが通じているのかな。丁寧に掃除する時間はないけど、このまま綺麗をキープオンと願った。

先ほどの役員さんは、甘酒を販売していた。
「貝塚さん、ご苦労様です。甘酒いかがですか?」
「すみません持ち合わせがないので大丈夫です。」
「ご馳走様しますよ。」
「まぁ、嬉しい。喜んで。」

また至福の時間。でもご参拝の人たちからさぼっているように見えちゃうかな?

「貝塚さん、お子さんは?」
とっさの質問に甘酒で火傷しそうになる。

「実は病気しちゃって、子どもいないんです。」
「それはすまない。貝塚さんっていつも元気で朗らかだから、男のお子さんがいるのかなと思ってね。」

以前はとても嫌いだったこの問いに、心穏やかに答えている私がいた。そうよ、人生色々、百人いたら百通りの人生があるもの。

「ご馳走様でした。美味しかったです。」
「またおいで。」と役員さんがひらひらと手をふる。陽気なおじさまだ。

中に戻る途中、お着物を素敵に凛と着こなして少し目立つカップルが目にはいった。ん?サラットナさん?

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