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川柳についての雑感

こんにちは下刃屋子芥子です。

昨年の11月に川柳を書きはじめ、それまでは「現代川柳」というものに触れる機会がなかったがのですが、本業がブックデザイナーということもあり、装幀がとびきりかっこよかった、川合大祐さんの『リバー・ワールド』(デザインは吉岡秀典さん)に偶然出会い、そこから本格的に川柳に興味を持ちはじめました。
きっかけは忘れてしまったのですが、『リバー・ワールド』に出会う少し前から、川柳を書きはじめてはいました。

川合大祐 『リバー・ワールド』

一番最初に出会った句集が『リバー・ワールド』というのが、ある意味事故だったんだなと、今振り返ると思います。
普通の句集は1001句も収録しないし、あんなに分厚くない。
句集というメディアそのもので川柳性と過剰さを体現した、いわばメディアアートであり、コンセプチュアルアートだったわけです。
そんな規格外の句集を、無意識のうちにスタンダードだと認識していた。という良い意味でエラーがありました。句集を作るならあのくらい分厚くしたいな、とか…。ブックデザイナーとしてのフェティスズムとしては、ページ数の多い分厚い本は、それだけでかなり魅力的なんですよね。

それと、川柳人だからって、普通は毎日あんなにたくさんの句を投稿しない。ということにも気がつきました。
川合大祐さんという川柳人の過剰さがわかりはじめました。
本当にすごい人です。

出だしに戻るのですが、今まで川柳の句集に触れてこなかったので、少しづつ、色々な方の句集などを集め。鑑賞しております。そのなかで面白かったことなど、感想などを書いてみたいなと思いました。

暮田真名 『ぺら』

今回は暮田真名さんの『ぺら』の感想を少しだけ。
これはもう言わずもなが、みなさん注目されている暮田さんの作品ですので、いまさらレビューめいたことを書くのは無粋だろうと思います。

『はじめまして現代川柳』(書肆侃侃房)を読んで、気になった作家の句集から読んでみようと思いまして、一番ピンときたのが暮田真名さんでした。年代がそれほど遠くない、というのもあるのかもしれません。軽やかな身のこなしで行われる数々の悪戯。そんな印象でしょうか。自分にはない言葉のチョイスがたくさんあって、そこがかっこいいと思いました。

それで『ぺら』が面白いよ、と川合さんから聞いていたので、ネットで探して入手いたしました。収録された川柳については、やはり言わずもながでしょう。どれも大変素敵な川柳でした。
その上で、ひとつだけ感想を言わせていただきたいと思います。

「ぺらだけど、でかいじゃん!」

大きいとは聞いていたのですが、B1ですか? こんなに大きいとは思わなかったので、思わず「でかいんじゃん!」と言いましたし、笑いました。
これはやはり川合さんの過剰さに通じるものを感じざるを得なかったですね。川柳人は変な人が多い。変な人が多いのは良いことです。
デザイナーも変な人が多そうですが、オタクは多いかもしれないですね。
それでもビジネスとしてやっている以上、真人間として振る舞うことが求められますよね、当然。それだけだと息苦しさを感じてしまうタイプなので、安住の地を見つけた。ということかもしれません。

どちらもメディアとしての川柳性を考えているんだなと、とても感銘を受けました。そして、デザイナーとしてはその先を考えたくなる訳です。分厚い句集に、でっかいぺらの句集か… ならば私は何ができるかな… 過剰な句集…

妄想句集 『芳一』

考えました。

句集『芳一』

全身くまなく隅々に墨で川柳句を彫る。いや、彫らなくても良いですが、墨で書く場合はもって一日でしょう。そこは自己責任です。鬼にやられます。
耳に川柳を書き忘れると、鬼に耳だけ持っていかれちゃうんです。



いかがでしたか?

冗談はさておおき。
前回のエントリーを読んでくれた編集者の方が、「川柳のテイストからか、漫画家のあらゐけいいち風味を感じます」という感想をいただきました。
漫画家のあらゐけいいちさんを存じていなかったので、早速調べてみました…

絵が大変かわいくて、僕の好きなタイプの漫画家でした。
YouTubeもやられているのですが、それがとても川柳的、川柳性があるんですよね。大変感銘を受けましたし、おこがましいかもしれませんが、大変シンパシーを感じました。漫画ももちろんいいです。面白いです。いいです。
川柳人のみなさんにもおすすめです。

川柳初心者(モスキート級)ですので、この人の句集を読むといいよ。とか、川柳でなくてもおすすめの作家さんなど、教えていただけたら嬉しいです。

それではまた今度。

今日の川柳

肝心なことを忘れていました。
今日の川柳です。

うに状の気圧の谷を着るビョーク

食卓のG20 with タガメ

ひらがなのイオニザシオン漢文学

音素からモアレ呼び込む虹の泡


以下は、川合大祐さんの「織田無道」の句にレスをした句です。
レスに100%以上の句を返して下さるところも、過剰ですごいなと思いました。つられて連投していると、自分で一生懸命考えた句よりも面白い句ができていたり… お見事でした。また横から失礼したいと思います。

織田無道嘘でいいから蛸でいて

彼岸から黒い三連織田無道

創世記ワールズエンド織田無道

無制限無量大数織田無道

水質で色が変わるよ織田無道

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