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相思相愛で1年間を締めくくる


「姉妹レベルで相性いいね。」

と、とある見える方に言われた私たちが出逢ったのは今年の1月でした。

正しくは、再会です。
私たちは同級生でした。学生当時はあまり一緒にいたことはなく、お互いについての印象も、クラスの中でこういう存在だったな〜という程度でした。

そして今年に入って働き始めた場所に、彼女がいました。


元気で真面目、あるひとりのアイドルが大好き。私は彼女に対してそんなイメージを持っていましたが、約10年振りに再会した社会人の彼女は、元気さよりも穏やかさと優しさが印象的な人になっていました。

あれ?こんな感じの子だったかな?と思いながらも、仕事を始めたばかりの私はとても気を配ってくれる彼女の優しさに助けられていました。

が、私はすぐに気づいてしまったのです。
私がなんとなく記憶していた彼女の元気さも、健在だということに。

彼女の大好きなアイドルの話を振った時、笑顔のレベルが変わりました。顔がぱあっと明るくなったんです。それならばとその話題について掘り下げていくと、次第に声も大きくなり、その印象は元気っ子そのもの。

ああ、やっぱり。職場だから少し控えめに見えてただけだな。たぶん、私たちは気が合う。推しを語る彼女の笑顔を見て、そう確信しました。


私たちは推す人は違えど、それぞれに推しがいます。推しグループがあります。オタクによるかもしれませんが、推しは同じでなくても、オタクとオタクは分かり合えるのです。

推しへの気持ちを語る度、「うわー、その気持ち分かるー。」となるのです。お互いの推しは違えど、違うからこそ、相手の推しの話を聞きます。自分が聞いてもらったら、それでおたくの推しはどんな感じ?と聞き返します。

相手の推しについて聞くことにより、自分の知らない世界を知りながらも、推しという存在の偉大さにしみじみする。私たちはお互いにそれを楽しいと思える人なんだと思います。

彼女の推しについての記事を見つけると読んでしまうし、すぐにシェアします。なるほど、彼女が言ってたこの人の凄みはこういうところね。と思ったりするんです。

彼女は彼女で、BTSのオンラインコンサートを一緒に観てくれました。私がひとりで観るのは寂しいから一緒に観て〜とダメ元で伝えると、いいの?観たい!と言って、本当に来てくれました。

彼女は私より根っからのオタク気質なので、私より叫んでいました。彼女が居てくれたおかげで、コンサートの楽しさは何倍にもなりました。
ああ、書きながら思い出すと楽しさが蘇る。


私たちは、愉快なオタク心だけではなく、悩みも共有してきました。

漠然とした将来への不安、周囲のことばを受けて生まれる焦燥感、方向を定められない自分自身へのモヤモヤ、不透明な社会への不信感。

コロナ禍で緊急事態宣言下の街の雰囲気が、その閉塞感を加速させる時期もありました。

元々悩んでいることを悩んでいるとあまり口にできない私は、夏が終わる頃までその気持ちをひとりで抱えていました。

そしてそのピークを少し超えた秋の始まり辺りにやっと悩みを共有した時、彼女も同じように悩んでいたことを知りました。「なーんだ、ひとりじゃなかったんだ。」と思えて少し気が楽になったことを覚えています。

彼女も同じようにひとりで悩む夜があったことが分かって、いま、私たちがひとりじゃなくて良かったなあ。と思いました。



そんなこんなで、
″仲良し″をしてきた私たちの1年間。

30歳を目前にしたふたりが、「え、私たち明日も会うじゃん!仲良し〜」と言い合うなんて、側から見るとちょっと幼稚すぎて呆れられるかもしれません。同じ日に有給を取れたら、飛び跳ねて喜んでハイタッチしてるなんて。

ひたすらメッセージを送り合うようなことはしないけれど、一緒にいると、それはそれは心が平和です。


似ているようで違う。違うようで似ている。
きっと私たちはそんな感じ。

以前、マックポテトの話を書きましたが、まさにそれです。私たちは相性がいい。好きなクッキーの味が違うから取り合いにならない。


「そんなに気が合うなら、10代の頃から仲良かったらもっと楽しい時間を過ごせてきたのに勿体ないなあ。」と、私の母が言いました。

その発想は1ミリもありませんでした。
基本的に私が過去を悔やむことを好まないからなのかもしれませんが、今だからこそ、この時期に再会できたからこそ仲良くなれたのではないか、と私は思っています。私も立派にオタクになった今だからこそ。

人と人は、必ずしも出逢うべきタイミングで出逢えるとは限らない。でも、そういうタイミングで出逢える人とはご縁があるんだと思います。


私は、彼女の優しさに心を洗われる思いで今年1年間を過ごしてきました。彼女のような人がたくさんいる世界の素敵さを想像しながら、浮遊している幸せのカケラがすべて彼女にくっついたらいいのになと身勝手に願ったりもしましたし、彼女の素晴らしさを本人に力説したりしていました。

コロナの影響で仕事は色々あったけれど、この職場に来て彼女と仲良くなれて良かったなあ。と年の瀬に思いを馳せていたのですが。

1年の締めくくりに彼女と過ごした日、私は彼女から同じようなことを告げられました。

「今年いちばん良かったことは君と再会できたことだなあ。優しさに心が洗われて、自分もちゃんとしなきゃなっていつも思う。」

なんて、照れてしまうほど嬉しい言葉を、彼女が食べたい三角チョコパイをゲットする為にマクドナルドのドライブスルーに並んでいる時に突然告げられました。それはもう唐突でした。

私は、「ありがとう。そのことばそのままお返しする!!!」と返し、ふたりで笑いました。


相思相愛とはこのことか。
相思相愛って、とーっても平和ですね。

神様なのか仏様なのかどなた様なのかは存じ上げませんが、30歳になって素直にお互いの好きなところを伝えあえる友人に出逢わせてもらえて、なんだかとても幸せです。ありがとうございます。

今年は丑年だからゆーっくり時間が流れてて、思うように行動できないモヤモヤな一年だと思っていましたが、今年も素敵なプレゼントを与えてもらっていました。


来年はお互いがどんな道を歩み出すのか、それはまだ分からないけれど。今年の出逢いに感謝して、新しい年を迎えようと思います。

ありがとう2021年。
皆さま、良いお年をお迎えください。

じっくり読んでいただけて、何か感じるものがあったのなら嬉しいです^^