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タイトル 無し

5時間目 美術

おおきな欠伸をした君を
開けた窓から転がる風に靡かれるカーテンに邪魔されて 見届けることが出来なかった。

君はまるで世界の全てに興味が無いような鬱らな目をして時計の針が止まらないのを眺めていた。
手には鉛筆を忘れたのかシャーペンが握られていた。
そういえばさっき怒られてたっけ、
それにしても君のキャンバスの上に広がる世界はなんて綺麗なのだろうか
すこし雑に見えるが、整っている。
まるで少し縁の太いメガネをかけたイケメンのようだ

そんなことを考えていると
授業の終わりを知らすチャイムがなった

「今日も絵、うまいね。」
「ほんと。ありがとう。」
「なんで、こんなに書けるの?」
「分からない。上手いとも思ってないよ」
「へえ、すごいね。」
「ありがとう、じゃあね」

今日も軽く流された

「ねぇ、前原さんの絵、上手いよね」
「そう?あんまり印象にはないかな」
「えー、今度見てみてよ」
「うん笑 また、前原さんだ」
「そんなに話してるっけ」
「もう、めっちゃね笑」

あんなに上手いのになんで誰にも注目されないんだろう?
確かに席は後ろの方だけど、。
先生にもよく褒められてるのに。
そういえば、本当に最近前原さんがよく頭にいる。

授業に集中できないから、やめてくれ。

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