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ミステリーはお好き?(7)同僚で親友で家族

今回の主人公は犬。1994年から2004年までオーストリアで放送された、『レックス~ウィーン警察シェパード犬刑事~』という大人気シリーズで、レックスは刑事モーザーと共に様々な事件を解決する優秀な警察犬なのだ。

相棒の警察官が目の前で撃たれて殉死し、レックスは一人ぼっちになる。彼は主人以外には懐かず、食べ物も水も全く受け付けず、どんどん衰弱していき、このままでは安楽死が待っている。
殺人課の刑事リヒャルト・モーザー(トビアス・モレッティ)は葬儀でのレックスの哀れな姿を目にして、助けようと決意する。何とかして自分になつくようにと必死になる。
今日が殺処分の期限という日、レックスは警察署から脱走する。モーザーにはピンとくるものがあった。
見つけた! 元パートナーの墓の前で寄り添っているレックス。いくら声をかけても動かない。「これが俺の主食だ。おまえも好きか?」と、カイザーゼンメルのハムサンドを食べてみせる。「来い。一緒に来い。」レックスは動かない。
断念したモーザーが歩き出すと、後ろから「ワン!」と一声。しっかり抱き合う二人。この日から、モーザーとレックスは深い絆で結ばれる。
相棒となった二人は数々の難事件に挑んでいく。

ウィーン最高の警察犬と称えられていたレックスだったが、本業だけでなく、だらしないモーザーの世話係にもなっていくのが面白い。
寝坊のモーザーを起こし、携帯電話を取ってやり、シャワーの後のタオルも渡す。ドアも開閉してくれるし、何と、朝食のカイザーサンドも買ってきてくれる。オーストリアやドイツの子供達はクスクス笑って観ていたことだろう。
事件は密輸・人身売買・汚職・誘拐・立てこもりと多岐にわたっていて飽きさせない。

同僚の刑事ヘララー(左)とシュトッキンガー(犬恐怖症)

このドラマの最大の魅力はレックスの名演技。大切な人を失った哀しみ、追跡中の凛々しい表情、モーザーとじゃれ合うときのおどけた顔、不思議に思った時の小首をかしげる様は最高にキュート。私は猫派だし、ジャーマンシェパードは怖いと思っていたけど、何て表情豊かで可愛いのだろう。レックスには毎回癒されている。

『美しき青きドナウ』の曲に乗せた愉快なオープニングが楽しい。
ドイツ語の勉強にもなる。
シーズン1全14話を観終わったので、シーズン2と3を待ち望んでいるところだ。
見せてくださーい。AXNさん、お願いしまーす。

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