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「ドイツ縦断ひとり旅」(19)ハノーファーの王宮庭園 ラーラとの出会い

2019年9月21日(土)快晴

王宮の庭園は市電の走る通りを挟んで2か所に分かれている。かつては続きの庭だったが、ストリートを作ったので2つになったんだって。それで、両方見学したい人はチケットが2枚必要。

空には雲ひとつなく、美しいスカイブルー。23℃あるという。でも、空気が乾いているので過ごしやすい。

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正式名「ヘレンハウゼン王宮庭園」は4つの庭園で構成されている。最も見応えがあるのが、その名もグロース・ガルテン(大庭園)。1696年から1年がかりで造られたフランス式バロック庭園で、他にイギリス式庭園もある。造らせたのは1692年にハノーファー選帝侯となったエルンスト・アウグスト。ハノーファー中央駅に銅像がある。

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その名の通り大きな庭園で、歩いても歩いても果てが見えない。有名な噴水は見事だった。いったい何メートルあるのだろう。

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道路を横断して、自然な景観のイギリス式庭園と、1695年に造られたオランジュリー(温室)を見に行く。蘭をはじめ、色鮮やかな南国の花たちが咲き誇っていて、えっ、ここ、ほんとにドイツ?って感じ。巨大サボテンもニョキニョキ。オニバス(鬼蓮)は小さな子なら上に乗れそう。選帝侯は世界中から集められた珍しい植物を眺めて、ご満悦だったのかな。

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フランス式の幾何学庭園よりも、むせかえるような温室の花々よりも、ナチュラルな英国式庭園が私は好きだ。

歩き疲れたので、カフェでひと休み。フルーツとクリームたっぷりのケーキとコーヒーを注文する。合計15ユーロ(1800円)。今度こそ私のおごりだよー。

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夜8時から花火があるそうなんだけど、「またにしようね。」と、ハンネローレ。「そうね。全部見尽くしたーっていうよりも、心を残して帰る方が、きっとまた来れるもんね。」

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予定より1時間遅れてハノーファーを後にし、アーデルハイドスドルフへ戻る。そして、初めて長男のマティアスさんちに寄る。そこで私はまるで天使のような、いいえ、女神のような少女ラーラに出会った。ハンネローレの手紙で、写真では知っていた。ドミニクのいとこ。バレエを習っていて、細くて美しくて、ブロンドのロングヘアーにブルーアイズの17歳。実物は知的で品が良く、写真よりずっと綺麗だった。こんなに優美で感じがいい女性っているんだ!

初対面のお二人と、どう挨拶を交わしたのか、全く記憶にない。私がラーラに見とれている間に、お家の前の空地に椅子が4脚並べられ、気がついたら座っていた。 「何か飲む?」と、マティアスが私に訊いた。「いいえ、どうぞお構いなく。」と応えた私。 「ちょっとー、それはないだろう? 君が飲むと言えば、僕も飲めるんだよォ。」 「あっ、ハイ! 頂きます。」(バカ、バカ) 「よーし、それでいいんだ。」 瓶入りのジュースが運ばれてきた。「グラス、いる?」と訊かれたので、「いいえ、いりません。」と返事した。私はザクロのジュースを選んだ。4人が自分のジュースを手にしたところで、マティアスから、「プロストは日本語で何と言うんだ?」と質問。「カンパイ!」と私。それで、4人で「カンパイ!」した。

マティアスは火山の研究をしていて、著書を見せてくれた。すごーい! ハンネローレに、「あなたの息子さんは頭のいい方ですね。」と言ったら、「ありがとう。私はとっくに知ってたわ。」と、すまして言うので、みんなで笑った。

ラーラが、「あなたの帽子の飾りピンは何ですか?」と訊いた。私は紺色のベレーに、ビートルズ展で買ったピンブローチを付けていた。「ああ、これ、ジョンのギターとポールのギターよ。」 「ちょっと待っててください。」 彼女は家に入り、すぐに出てきた。そして私の手に、小さなピンブローチを握らせた。エレキギター! 「きゃあ、かわいい!」 「新品ではありませんがもらってください。その子があなたと一緒に旅をしたいと言っています。」「えーっ、いいの? 嬉しい! どうもありがとう!!」

「ところで、ツェレにはいつまでいるんだい?」と、マティアス。「明日の朝まで。」「で、どこへ行くの?」「ロストック。オーストリアとの国境近くから北上してきたから、このまま北を目指して、バルト海を見に行こうと思って。」「ふーん、その後どこへ行くんだい?」「ハーメルンに行きます。」「ハーメルン? 何でさ? あんなとこ、何にもないよ。ブレーメンの方がずっといいよ。」「ブレーメンは好きだけど・・・」理由を言おうとしたら、ハンネローレが突然、「ハーメルンには友達がいるんじゃなかった?」「そうなんです。」「なあんだ。だったら早く、そう言いなよ。」 マティアスはツェレ~ロストック~ハーメルンの列車のタイムテーブルをちゃちゃっと作成してくれた。ぶっきらぼうだけど、優しい人。

すっかり暗くなった。心配する私に、「8時ならOKよ。」と、ハンネローレ。アーデルハイドスドルフとツェレは往復1時間かかるのに。 明日、10:40に迎えに来てくれるって。そして、ツェレ駅まで送ってくれるって。

マティアス親子とハグして、別れを惜しむ。元気でね、また会いましょう! アウフ・ヴィーダーゼーン! 

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ハンネローレからのプレゼント。マジパンで作られたイーゲル(ハリネズミ)。きっと私が喜ぶと、彼女は知っている。喜びすぎて泣けてきた。


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