体験格差とは何か考える

何?体験格差って。
なんかみんなが最近言ってるんですけど、意味がわからないんですよね。多分お前らもそうだろ(断定)。
「貧乏時代の経験も貴重では?」「金持ちが言ってもしゃーないやろ」
そういうことを思っている人達が一定数いるからこの「体験格差」というのは反発を招いているんだと思う。
ただ、多分違う。だから理解度を深めるために一緒に考えようや。

体験活動の格差とは?

最近生み出された造語だから定義なんてないんですけど一応考えましょ。実は国がこれをなんとかしようとしてるみたいなので、そこから引用しましょう。

体験活動とは、主として「体験を通じて何らかの学習が行われることを目的として、体験する者に対して意図的・計画的に提供される体験」のことを指します
※文部科学省発行 『子供たちの未来を育む豊かな体験活動の充実』より引用

だそうです。
実は色々な会社からさまざまな発表があって、その度に定義が違うんですが、今回はこの三菱UFJさんが作成した資料を以って「体験活動」とします。
皆さんがちゃんと引用元を読んでいる前提で話を進めます。
結論から言ってしまえば、所謂「習い事」や「旅行」、「動物園や美術館巡り」が貧乏な家庭や3大都市圏外に住む家庭は少ないよね、という話です。ちなみにここでいう習い事は塾ではなく水泳とかピアノとか、そういう話です。塾は学習体験になるそうです。
ちなみに、一人っ子と多子家庭には文化的な体験(動物園など)以外には有意さがないようです。これは意外ですね。
さらに面白いのが、同じ年収300万円未満の家庭でも、両親いずれかが体験活動をしていた場合、その子供がなんらかの体験活動を経験したことがある率が跳ね上がるという事象です。まとめると以下のような感じ
子供の体験活動の有無に影響を与えている要因
・親の年収が高いか低いか
・居住地域が都心か地方か
・両親がいるかいないか
・親の学歴が高いか低いか
・親が幼少期の時の体験機会があるかないか

子供の体験活動の有無に影響を与えていない要因
・子供の人数が多いか少ないか

子供に体験活動をさせられなかった理由としては以下の通りのようです。

1.経済的に苦しいから
2.送迎などの時間的な余裕がないから
3.体力的・精神的に苦しい
4.そういうことをできる場所が遠いから
5.そもそも何処でやっているか分からない
6.やらせる意味が分からない

※上から順に多い回答みたいです。

まあ、そうだよね。って感じ。

ここから本題。
これがどう貧困格差と関わるの?というフェーズに移ります。
今回この資料を作成した三菱UFJリサーチ&コンサルティングの方は、今回の調査では因果関係まで十分解明できないと前置きした上で、以下の仮説を立てています。

a.保護者の子供時代の体験機会
b.大人になってからの学歴や年収
c.自身の子供の体験機会
a〜cがそれぞれ関係している可能性がある。

故に、子供に体験機会を与えることで格差の世代間連鎖を無くせるのではないか。

というのが調査報告書の概要になります。

分かるよ。言いたいことは。
これでしょ?

親の年収が高いから体験学習が出来るんじゃないの?

「親の年収が低い」→「子供の体験学習の機会が少ない」
これはデータとして出ている。ただ、
「子供の頃の体験学習の機会が多い」→「将来の年収が高い」
は成り立たないんじゃないの?
な〜んか怪しいよな?

いやいや、皆さん疑いすぎですって笑国が出してる資料ですよ?笑

この命題の対偶を考えてみましょうよ。
「年収が低い」→「子供の頃の体験学習の機会が少ない」
これ、資料の69ページから書いてありますよ。十分有意な差です。
対偶が成り立ってませんか?
対偶が成り立つということは命題が正しいということ、つまり「子供の頃の体験学習の機会が多い」→「年収が高い」が成り立つのでは?

違いますね。
「今の年収が低い」→「子供の頃の体験学習の機会が少ない」
と、今回証明したい命題であるところの
「子供の頃の体験学習の機会が多い」→「将来の年収が高い」
はそもそも対偶ではないです。
「将来の年収が低い」→「子供の頃の体験学習の機会が少ない」
これが対偶です。勝手に時間軸を変えるなよ。

そもそも、上記の対偶命題を調べるにあたっては他に相関性が疑われる要因を排除するべきなのです。例えば親の年収とか、学歴とかです。
つまり、子供の体験学習と将来の学歴、年収の関係性を示すのであれば、親の居住地や年収、学歴を揃えた上で数十年単位で行う必要があります。
三菱UFJの方も言っていますね。今回の調査結果の因果を解明できないって。超一流企業のプライドと隠れた抵抗がここに隠されています。

今回の資料は親の年収、学歴、住居、家庭状況と子の体験学習の相関性を示しているに過ぎず、体験学習をした子が成長した際に年収が上がるか下がるかを示したものではない。

これを忘れないように。

体験格差を無くせば世代間貧困連鎖は止まるの?

無理じゃない?
「金持ちの子供は金持ちになる」
「高学歴の子供は高学歴」
この定説を一切崩すことができていないし、むしろ体験学習という要因を通して補強しているように読み解ける。
親の学歴や所得を揃えた上で、体験学習の差が将来の学歴や所得に与えていることを示さないと民衆は納得しない。
というかこの資料のデータだけを見て「よし、ガキに体験学習させて高学歴の金持ちにしたろ!」とはならないだろ。「やっぱ金持ちのガキは習い事いっぱいしてるでヤンスね〜」って思うのが関の山じゃない?
こんなことに金使うなら塾の補助金とか出してあげなよ。
ああ、そんなことしたら大衆の知能が上がって困るから無理か。

所感

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