機械音痴の母からビデオ電話が来た話

ぽぽみうむです。
総理大臣が「オンライン帰省」を推奨しだした現在は、電子機器を使いこなせないとやってけない時代と言えるでしょう。
そんな中、デジタルアレルギーと言っても過言ではない母上が、LINEの使い方を少しずつ覚えてきました。

母上のデジタルアレルギーっぷりに気付いたのは、わたしが高校生の頃です。
他のお母様方を見て知ることとなりました。

元々母は、お財布の紐が非常に固いやりくり上手な面もあったとは思うのですが、ずっとガラケーを愛用していました。
高校時代、「家族LINEが動いてる〜」という友達の発言を聞いて、世間の親世代はスマホなのか、と驚きました。

他にも、異常なまでのネットショッピングへの嫌悪。ネットでモノを買おうものなら、「変なメール来るからやめなさい!」「危ない!詐欺かもしれない!」のオンパレード。
おかげさまで私は人生で片手くらいしかネットショッピングをしたことがありません。

そんな母も、今年に入ってスマホを持つようになりました。
メールに始まり、LINEもできるようになりました。
最初は簡素な文章だったのですが、実家暮らしの姉にスタンプをインストールしてもらったようで、可愛らしいウサギやらクマやらが送られてくるようになりました。

そして昨日、突然動画が送りつけられてきました。全く音のでない動画。
そして「練習してみました」の文字。
なんだか微笑ましく思いました。

動画の感想を送ってしばらくすると、突然電話がかかってきました。
応答すると、画面いっぱいの母の顔。
私もしぶしぶカメラを起動させました。

「あーー!!ぽぽちゃんだ!(実際は本名)」嬉しそうな母の声が聞こえました。
カメラを起動させていたので私のお部屋が写ります。
「あら、かわいいカーテン!」
「カーテンじゃないよ、シーツだよ」
「シーツ干してるの!すごいね!」
そんな会話をしていると、父もやってきました。離れた場所にいても、見事家族の顔を拝むことになりました。

「ごめんね、もう切るね、バイバーイ…どうやって切るの?」
姉に教えてもらいながらバイバイから20秒後くらいに通話は終了しました。
私からは切れませんでした。頑張れって応援したくて。

そして、「難しいけど、ママは前向きです。頑張ります。」とメッセージが送られてきました。

幼い記憶では、どんな時でも親というのは偉大でした。もちろん今でも偉大ですですが。
この世に生まれてから、あらゆることを親から教わりました。
トイレだって、お風呂だって、勉強だって、電子レンジの使い方だって…
そして、大学生になり、社会人になり、気づいたら親よりも知ってることが少しずつ増えていたようです。
絶対的な存在だった親に、逆に教える側になったことが嬉しくもあり、寂しくもなりました。

そういえば、最近食べたチョコパイの袋に、「大学生の息子が喜ぶから、いつも帰省の時にはチョコパイを買います」というエピソードが書かれていました。
子供は親にとって、いつまでも子供だと思います。現に、私の親もビデオ通話の時に大喜びしていましたし。

あんなに小さい頃は子供たちに怒鳴っていた母が子供との通話に喜んで、子供に教わっていて。22年という月日で、こんなにも環境が変わるとは。浦島太郎の気持ちが分かりました。

オンライン帰省?ふざけんな、なーんて思っていましたが、これはチャンスなのかもしれないです。
親が思っている以上に世の中の技術は発展しているよ。
親が思っている以上に子供はできることが増えているよ。
親が思っている以上にあなたが電子機器を使いこなせるようになって嬉しそうにしている姿を見て嬉しくなっているよ。

そんなことを伝える機会なのかもしれません。

また、外出自粛が終わっても、これがきっかけでオンラインでの対面が増えたらいいな、なんて思っています。
会えなくても絆は深まっているのかもしれません。会えなくても、親孝行はできるのかもしれません。

さて、次会った時は、電子書籍でも見せてあげようかしら。
なーんて思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?