ディズニー映画「インサイドヘッド」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート46】
Get off of me! ですが、get off は I got off the train. のように「降りる」という意味があります。
ですから、Get off of me! が「私から降りろ!」=「私から離れろ」=「放せ!」となるのは推測できるのではないでしょうか。
でもお気づきだと思いますが、Get off of me! にof が続いているのに”違和感”を感じるのではないでしょうか。
実は of を付けずに “Get off me!” でも問題なく、of を付けた時と同じ意味を表します。(厳格には同じではありませんが、これから説明します)
イカリは自分の頭に乗ったビビリに “Get off of me!”「私から離れろ」と叫んだのです。
ここまでは、get off... の意味を知っていればそんなに難しくないと思います。
ポイントは、Get off me! でいいのにどうして of をつけるのかと言うことです。
それは “off of” とすることによって意味をより強調するためです。
でも off は「…から離れて」を意味するのに対して、A of B の of は、「B の A」のように、 「…の」という意味なので、「違うものを並べても強調にはならないのでは?」という疑問が浮かんできます。
実は of と off は違うものではなく、兄弟のように似ており、of にも off 同様、「離れて」の意味があるのです。
of が「離れて」を表す例文は、
He robbed me of all my money.「彼は私の全てのお金を私から奪った」
です。
この of ... を「…の」と訳すと「彼は私のすべてのお金の私を奪った」と意味が成り立たなくなります。
この of は「…から離れて」の「分離」を表し、「彼は、私 (me) からお金 (money) を分離させて奪った」と考えるとお分かりいただけると思います。
ですから、“Get off of me! “ は “Get off me!”よりも強い意味をもつのです。
やっぱり英語って面白いですね!
ライリーの新たな部屋に置くものを、皆で話し合っている場面です。
Now we’re talking!
直訳は「今私たちは話している!」ですが、何のことかよくわかりません。これも慣用句で「それいいですね」と相手の意見やプランなどに賛同する時に使います。
すなわち、“自分にあった意見や考え方が出た時”にサッと口から出てくる口語表現です。
上の会話で言うと、皆でライリーの部屋に置くものの案を出し合っているのですが、最後にビビリが出した「星を出す案」にジョイは乗ったのです。
もちろんそれまでのランプや椅子の案を否定しているわけではないですが、星の案が出た時に字幕通りの「ステキ!」(=「それいいわね」)が、思わずジョイの口から出たのでしょう。
A: How about we go out for sushi tonight? 「今晩寿司でも食べに行かないか?」
B: Now we’re talking! Where should we go? 「そうこなくっちゃ。で、どこに行くの?
もちろん、定番の ”That’s a good idea!”「それいいですね!」でもいいのですが、Now we’re talking. の方がより強い興奮や同意を表すので、「それそれ!」と完全に同意する場合は “Now we’re talking.” も使えます。
ちなみに、”Now you’re talking!” と We を You に変えて使うこともできます。(意味は同じです)
That’s a good idea. と共に Now we’re talking. もぜひ使っていきたいですね。
ジョイが部屋でホッケーの遊びごっこをライリーとする場面です。
she put her hair up, we’re in for it!「髪を束ねた。やる気よ」
(1) put her hair up「髪を束ねた」
直訳通り「髪を上げる」です。ただ、この英語が意味しているものは、「髪の毛を上げてそこで(ゴムなどで)結ぶ」ということです。
ライリーのお母さんもホッケーに参加するために put her hair up したわけです。これだけでも本気度が伺えます。
(2) we’re in for it「やる気よ」
簡単な語句ばかりですが、意味がとりにくい表現です。意味は「…を経験する」「…に直面する」です。
別の英語で言い表すと “we will experience it.” です。experience の方が難しい語なのに、意味は experience の方が分かりやすいです。
でもこの be in for ... も「…に向かって ( for ) 中に( in ) 入っていく」となり、「…を経験する」と結びつくのではないでしょうか。少なくとも私はそのように理解しています。
“We’re in for a tough day at work.”「今日は仕事で大変な一日になりそうだ」(⇦大変な一日を経験しそうだ)
とネガティブな内容がくることもありますが、
“We’re in for a great time at the party!” 「パーティーで楽しい時間が待っているね!」(⇦楽しい時間を経験する)
とポジティブにも使えます。
ジョイが使った “We’re in for it!” の it は「母親が髪を束ねたことで何かが起こること」と考えられます。
ですから、「(彼女も本気だ。) 今から何かを経験するぞ」というワクワク感を表しています。