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個人投資家向けIRの効果測定のススメ

池田です。今回、グロース・キャピタルのメンバーの一人として「裏IR系 Advent Calendar 2023」にエントリーさせて頂いたので、普段とは毛色が異なりますが、「個人投資家向けIRの効果測定のススメ」というテーマで発信します。

個人投資家向けIRの最大の課題は「効果測定」

上場企業にとって、個人投資家向けIRは、自社株式の流動性を高め、適切な株価形成をする上で非常に重要です。特に時価総額が300億未満の発行体では、規模的に機関投資家が積極的に参入することが難しく、個人投資家間での売買が中心になるため、より重要度が増します。

しかし、個人投資家向けIRは「効果測定」を行うことが難しく、適切な予算やリソースが割り当てられず、目標設定・PDCAサイクルも難しい状況があります。

以下は「個人投資家向けIR活動の課題」について、上場企業のIR・財務関係者144人に行ったアンケート調査の結果です。約6割が「効果・結果が測定しづらい」を課題に挙げており、他の課題に比べても圧倒的です。

これからのIRには、会社の成長に貢献する「攻めのIR」が求められます。IRにより流動性を担保(株式の売買が活発に行われており、いつでも売り買いできる状態に)し、適切な株価を実現することで、上場企業として以下のような選択肢を取ることができ、成長を加速することができます。

  • 円滑な資金調達

  • 役職員への株式インセンティブ提供

  • 株式交換によるM&A など


効果測定を行うための実践的な方法

個人投資家向けIRの効果測定をどのように実現するか? その一つのヒントとして、大いに宣伝になってしまいますが、グロース・キャピタルで行っている個人投資家向けIRイベント&リサーチサービスである「IRインサイト」の仕組み・方法をご紹介します。

参加者への「多段階のアンケート」

通常のIRイベントでは、参加者に対して当日アンケートを実施し、その印象や感想を集めることが一般的です。しかし、この方法だけでは、参加者が実際に投資を行ったかどうか、またその後の具体的な行動については明らかになりません。

IRインサイトでは、一歩踏み込んだアプローチを採用しています。具体的には、イベント直後だけでなく、「イベントの2週間後」「イベントの半年後」に、同じ参加者に対して追跡アンケートを実施します。このアンケートでは、実際に購入したか等を確認します。

これにより、単なる印象でなく、「何人中何人が実際に購入に至ったか」を知ることができます。

調査結果の定量性担保のための大規模集客

アンケート結果の妥当性を高めるには、一定数以上の回答数が必要です。参加者の数が少ないと、1人・2人の購入で結果に大きな影響を及ぼしてしまいます。例えば50人程度のイベントでは、その中の1人が購入するだけで「購入率2%」という数値になってしまいます。

この問題を解決するためには、より大規模な集客が必要です。IRインサイトでは、毎回1,000人規模の集客を実現しています。この人数により、企業ごとの購入率やその差を正確に測定することができます。

他社の数値との相対比較

自社の結果だけを見ても、その結果が良いのか悪いのか判断することは困難です。購入率が1%であったとして、その結果はもっと改善を目指すべきなのか、個人投資家IRにおいては満足すべき数値なのかわかりません。

他社比較を行うことで、自社の結果が相対的に理解することができます。他社の購入率が平均2%なのに、自社が1%しかない場合には、何らかの理由でもっと改善すべき余地があるであろうことが明らかになります。

IRインサイトは、これまでに30社を超える企業様に登壇しており、全社で同様のアンケートを行っているため、他社と比較した結果を明らかにできます。


個人投資家向けIRの効果測定はこれからも様々な手法が開発・提供されることと思いますが、今回のようなアンケートを用いた測定方法も一つの手法としてご認識頂けると有益なケースもあるのではと思います。少しでも参考になれば幸いです。

「IRインサイトが気になる!」という方は、こちらより詳細をご覧ください)

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