バトン

「私のような古い医局人の価値観は、邪魔でしかない。
 私にとって最善の一票は、
 若者に、自分の未来を選ばせること。」

これは、漫画「医龍」に出てくる一節である。
(引用 「医龍-Team Medical Dragon-」24巻 作:乃木坂太郎)

「医龍」はとにかく僕の人生の教科書。
社会で働けば働くほど、そこに潜む哲学にどんどんと気づかされる。

このセリフは医局で教授選が行われる時、どこの派閥にも与していなかった中田先生が言ったものだ。(詳細は面白いのでぜひ医龍を読んでください)
最近まで特に好きなシーンではなかったのだが、ここ数ヶ月、強く魅力を感じるようになった。

それはきっと、ずっと自分たちが主役だった学生時代から、
主役とサポート役と育成役に分かれている社会へと飛び出したことで、
今まで見えていなかった景色に気づいたからであろう。

時代はどんどんと動いていく。まだ20代である僕でさえもTikTokや米津玄師、フィッシャーズに置いていかれようとしている。
「あの頃はよかった」「今のやつらはわかってない」というのは簡単だが、何が正しいか、何が面白いか、何が正義か、という価値観さえ、時代と共に移り変わっていくのだ。

まだ20代。これから時代を作っていかなければいけない。
新しい時代の真っ只中をひた走ってこそ、さらに新しい時代の足音が聞こえた時に、その時代に期待して素直に道を譲ることができるのであろう。流されているだけでは、切り拓く素晴らしさに一生気づけない。

正直時代の寵児になりたい、世界を変えたいとかそんな強い気持ちはない。僕はただかっこいいジジイになりたいだけだ。
でも、かっこいいジジイになるためには、どうやら新しい時代を精一杯作っていかないといけないらしい。

きっとそうやって、時代は回っていくのだ。



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