ep59. 麻奈母
【ブログで実母を誹謗中傷】
麻奈はブログでの蟹蔵暴露のついでに、実の母親への誹謗中傷もしている。
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意味不明な事で母にあたられる事もあり、傷つく言葉も言われ無視もされました。母に愛されたいと一生懸命頑張りましたが結局、愛されませんでした。母は蟹蔵に恋心を抱き、すでに蟹蔵に洗脳されている。母は私に味方してくれず、蟹蔵の肩を持つ。愛なしです。
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異常者である。どんな凶悪な殺人犯でも、実母にここまで言うことはない。手塩にかけて育てた娘に、よもやこんな大々的に辱めを受けさせられるとは、考えてもみなかったことだろう。娘の1人をガンで亡くし、もう1人にはブログで誹謗中傷される胸懐とは、如何なものなのだろうか。
しかし、そこは麻奈とそっくりな女性らしく、世間で同情されるほどダメージは受けていない。暴露動画後も孫の世話に精を出し、以前と変わらぬ日々を送っているのが漏れ伝わってきている。
暴露動画を投稿してから麻奈は、ずっと母親からの連絡を待っていた。暴露動画で真剣に訴えれば母親は自分の味方になってくれるだろうと高を括っていたが、麻奈母からの連絡は動画から10日も後のことだった。蟹蔵と麻奈母は水面下で対策を協議していたのだろうと思われる。
「もしもし〜麻奈ちゃ〜ん。会ってお話しましょ〜」
いつも通りの軽い調子で、都合の良いときだけ連絡してくるところも癇に障った。自分が居たかった「蟹蔵の後妻」ポジションに、母親が居座っていることが許せなかった。幼少期から良い子を演じてきた優等生の我慢が限界に達し、ついに実の母親をブログで誹謗中傷した。自分の不幸を全て母親と蟹蔵のせいして、それを世界中の人に発表した。
親ガチャ。子ガチャ。
言い得て妙だが禍々しい言葉である。
親ガチャが人生へ多大な影響を与えることは否定できない。親の経済力が子の学力と綺麗に相関している報告もあるし、遺伝が人生に与える影響も少なくない。「精神疾患の多くは幼少期の母親との関係に由来する」という論文もたくさんあるから、不幸な境遇の方は親を恨んでも仕方がない。
ただし、親を恨むより感謝した方が幸せに人生を過ごせるし、多くの人は嘆いても無意味だと悟って親を恨むことはない。ダメな親は確かにいるが、それなら親から離れて反面教師にした方が有意義だ。親に不満をぶつけなければならないということは、経済的にも精神的にも自立できていないということだ。
仲林家の娘は何不自由なく好きなことをして過ごし、2人とも親のお金で私立大学を卒業している。娘の高校生活のために麻奈母が単身赴任して、身の回りの世話をして留学までさせている。会社員時代、深夜2時に起きて出社する麻奈のために、麻奈母は毎日、朝食を用意して、出社時にはおにぎりを持たせていたそうだ。
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