ちゃぶ台返しするときは片付けてからが吉


『エルピス〜希望、あるいは災い〜』というドラマがある。スキャンダルによって落ち目となったアナウンサーと若手ディレクターらが、連続殺人事件の冤罪疑惑を追う社会派エンターテインメント。

このドラマは女子アナの生きづらさにも焦点を当てる。みなが憧れる花形の職業である反面、所詮は誰かの意見を代わりに述べる操り人形でしかないことへのジレンマを描く。

女子アナは特に承認欲求の強い女子がなりたがるから、顔でチヤホヤされるだけでは飽き足らず、有名大学を卒業した知性にも注目してもらいたい人も多いだろう。女子アナから突如、国連職員やスピリチュアル詐欺の広告塔になる人がいるのは、そんなジレンマからの反動なのではなかろうか。

『エルピス』はカンテレ(関西テレビ)制作。プロデューサーの佐野亜裕美はTBSの局員だったが、TBSでは実現できなかった本作をカンテレが制作するということで同局に移籍したのだという。

テレビがテレビの裏側を暴露するなんて、一昔前ならあり得なかったろう。TBSでは企画すら通らなかったからカンテレに移籍した。自身のジレンマを女子アナに重ねているようにも思える。

タブーへの挑戦。
パンドラの箱を開ける。
常識のちゃぶ台返し。

なんだか最近、そういう現象を目の当たりにする機会が多いような気がする。テレビの凋落、Twitter社の買収、ロシア・ウクライナ問題、中国の暴動。。。SNSによって王国の崩壊が各所で起きているような。




放送作家の鈴木おさむ氏が、「文藝春秋」で発表した小説「20160118」が各方面に衝撃を与えている。
原稿は小説形式ということですが、実際はフジテレビ系の人気番組『SMAP×SMAP』でのメンバー5人の生謝罪を中心に、その渦中にいた鈴木氏によってSMAP解散騒動がドキュメンタリータッチで描かれています。
SMAP解散騒動の舞台裏を暴露したといっていい内容で、ジャニーズ事務所の対応を批判的に描いています。


鈴木おさむさんが執筆した小説も、王国崩壊の一つと言っていいだろう。僕はなぜか小説形式というところにシンパシーを感じたけど、残念ながら「SMAP解散・謝罪」の件を全く知らない。

ただし、文体からは鈴木さんの並々ならぬ熱意を感じるし、発表時期からはマネタイズの巧妙さを感じざるを得ない。絶妙なマーケティング。ジャニーズ王国が崩壊してなければきっと、小説は発表されてない。

ここ最近の王国の崩壊は、なんだか『アラブの春』に似た雰囲気がある。あれほど深刻ではないにせよ、根底にはどちらもルサンチマンがありそう。

ルサンチマンとは、弱者が敵わない強者に対して内面に抱く「憤り・怨恨・憎悪・非難・嫉妬」といった感情。そこから弱い自分は「善」であり、強者は「悪」だという「価値の転倒」のこと。

ルサンチマンというか価値観の変革というか、「正しいことは強者の利益である」と言ったトラシュマコスへの反論というか。とにかく至るところでちゃぶ台返ししている姿を見る。

僕はイライラがピークに達して、一度だけ本当にちゃぶ台返しをしてしまったことがある。「ぬぅぅああぁー!」と力任せにひっくり返すととても気持ち良い反面、落ち着きを取り戻した後の片付けが大変だからオススメはできない。

ちゃぶ台返しをするときは、自分にみそ汁がかからないようにしたり、周りを片付けたりしてからが吉。根回しってやつですね。

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