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「仮面ライダージオウ」個人的な考察を含めたまとめ

8/25にとうとう最終回を迎えた「仮面ライダージオウ」。
本作は「時空」を作品のテーマとして取り扱っているのだが、これまた時間モノの宿命というべきか…全体の流れの把握が"とにかく難解"なのである。

しかも「時空」とある通り、「時間」に加え「空間」まで関わってくるからもう大変。
タテにもヨコにも情報が絡み合い、一度考え始めると頭の中がカオスに包まれてしまう…。

加えて本編では「時空の歪み」と称される事態が発生しており、様々にイレギュラーな状況をもたらしているようなのだが、この「時空の歪み」に対する具体的な説明はほとんどなされない。
おそらくストーリーのテンポなどを重視した結果のものと考えられるが、やはり視聴者の立場からすると「何がどう歪んでるの…?」と思わざるを得ない。

そこで今回は、私個人の予想や考察を多分に交えつつ「仮面ライダージオウ」という作品の諸々を順を追って整理していこうと思う。


その1.設定のおさらい

これから様々なことを話すにあたって、基本となるジオウの設定について復習をしておきたいと思う。

並行世界
元々「ジオウの世界」、「レジェンドライダーの世界」×19、「スウォルツの世界」の計21個が存在していたが、スウォルツの計略によって最終盤では「ジオウ+19レジェンドの世界」と「スウォルツの世界」の2つとなった。
ライダーが存在する世界のみが存続し、対してライダーの存在しない世界は滅びるという法則がある。
時空の歪み
時空を操る力を与えられた「常磐ソウゴ」を中心として並行世界が引き寄せられていく現象。
ウォッチの回収に伴って世界が統合されていく。
●ライドウォッチ
各ライダーの力と歴史を封じ込める時計型アイテム。ライダー本人の意思によって譲渡がなされる(手渡すのは本人でなくとも構わない)ことで「継承」が完了し、該当ライダーの力と歴史は消去される=ジオウに奪われる。
王の一族
時空を操る力を持った一族。スウォルツ・ツクヨミがその末裔にあたる。
力の例)
・時間停止能力。効果対象は任意で設定できる
・他者への能力譲渡(→ウール、オーラ、海東)
・エネルギーの吸収能力
・掌から衝撃波を放つ能力
・並行世界間の壁を超える能力
・他者の記憶消去能力


その2.各勢力の目的やその歴史

なんとこの仮面ライダージオウという作品、
ストーリーの黒幕が2人(2勢力?)存在する
しかもその2勢力同士はあまり関わりがなく、目的も大きく異なるのがまた複雑さを加速させていて…

そこでまず初めに、各勢力とその目的を確認しておきたい。

●クォーツァー
歴史の管理者を名乗る集団。
リーダーは常磐SOUGO。その他名有りのメンバーはウォズ、ジョウゲン、カゲン。
今ある混沌とした「平成」の時代を醜いものと断じ、無駄なく美しい平成へと創り直そうとする。

「平成リセット」とは……常磐ソウゴにライドウォッチを継承させることで全平成仮面ライダーの歴史を消去。さらにダイマジーンを起動して「平成生まれの人間」をこの世から抹消し、新たに平成という時代を創り直す…というもの。
●スウォルツ
別世界(別時間軸)の住人にして時空を操る力を持った王族の末裔。
自身の世界が近いうちに破滅することを知り、それを回避するために動く。
吸収したオーマジオウの力で他の並行世界を全て破壊し、自身の世界を破滅の運命から救うというのが彼の目的である。
また、存続させた世界で自身が絶対の王として君臨することも野望の一つ。

そして次に、クォーツァーについてさらに詳しく掘り下げてみよう。

実は劇場版の仮面ライダージオウは「2周目以降」の世界なのである。そして当然、クォーツァーの行動やその末路も周回によって変化しているのだ。

1周目
常磐ソウゴの誕生日に「平成リセット」が起こる。
結果、平成生まれの抹消は成功したものの、
常磐ソウゴがオーマジオウに覚醒したことでクォーツァーは敗北。

ゾンジズ始め生き延びたメンバーは、
一般大衆にオーマジオウを「最低最悪の魔王」と信じ込ませることで大規模なレジスタンスを組織。しかしオーマジオウの圧倒的な力には叶わず…



2周目以降
ウォズを過去のソウゴに接触させて都合良く導き、平成リセットを成功させようと試みる。

しかし時を同じくしてゲイツ・ツクヨミが介入したこともあり、ウォズが想像以上に彼らに絆され、入れ込むようになってしまう。

結果、裏切ったウォズがダイマジーンを破壊
ソウゴがオーマフォームに覚醒、更には平成が溢れ出したことで計画は完全に砕かれる。
残ったクォーツァーの面々もソウゴを認め、無事終止符を打たれた「平成」の時代は新たに「令和」へと繋がる
そして誕生したゼロワンによってゾンジズも倒され、レジスタンスも生まれなくなる。

本来この時点で「一周目世界」の出身であるゲイツとツクヨミは消えるはずだったのだが…
今回の結末は言ってしまえば「ソウゴとゲイツ・ウォズ・ツクヨミが関わることで初めて辿り着けたハッピーエンド」
つまり彼らは現在を形成する歴史になくてはならない存在となってしまい、よって消滅を免れることになる。


◆その3.結局「オーマの日」って何?

作中でのキーワードとして扱われる「オーマの日」。しかし一概にオーマの日といっても様々な意味が与えられているようで、発言者によってニュアンスが変わることもしばしば。たとえば…

①常磐ソウゴが全てのウォッチ継承を終える日。
②クォーツァーが平成リセットを発動させる日。
③常磐ソウゴがオーマジオウに覚醒する日。
④レグルスが輝く日。

…などが挙げられる。
意味合いとしては①、②が強く、③は②の結果もたらされたもの、④は単にその時の状況を指している。レグルスは世界の命運が天秤に掛けられるような状況で輝くのだろうか。

名前が紛らわしいものの、つまりオーマの日とは「オーマジオウが生まれる日」ではなく「①ライドウォッチが集まり→②平成リセットが発動する(であろう)日」のことを指す。

一周目では結果的にオーマジオウが誕生したため、便宜上この日を「オーマの日」と呼称している…といった所だろうか。

ちなみに一周目ではちょうど常磐ソウゴ19歳の誕生日(4/28)に平成リセットが起きたらしい。
また、一周目は歴史が「令和」に繋がらないため、この日以降仮面ライダーが生まれなくなる。

「オーマの日」を理解したところで、次はその中心人物である「オーマジオウ」についても確認しておこう。

その4.時空の覇者、オーマジオウ

これまで再三触れてきたオーマジオウという存在についておさらい。常磐ソウゴがいずれ辿り着く「魔王」としての姿とされるが…?

●オーマジオウ
全ライダーの力を受け継ぎ過去と未来をしろしめすジオウ最終最強の姿。
一周目では平成リセットに際して誕生し、クォーツァーの野望を砕いた。
「時の王者」として無類の強さを誇り、時空を無に帰すほどの破壊力と無から時空を生み出すほどの創造力を有する。
本編時空の2068年では武力と恐怖による圧政を強いているとされ、王都と呼ばれる場所に自らの宮殿を持っている。

そんなオーマジオウの存在は、これまた2勢力にとってそれぞれ扱いが異なっていて

クォーツァーがオーマジオウの誕生を快く思っていない(できれば回避したいけど、ソウゴにはオーマジオウ誕生に至るまでの道のりを辿って=ライドウォッチを継承していってもらわなきゃ困る…)のに対し、スウォルツは逆にオーマジオウの誕生を望んでいるのだ。
アナザーライダーとはつまりウォッチの継承を促すために作られた存在だったと捉えることができる。

クォーツァーにとってオーマジオウは計画の妨げとなる存在。でもその誕生は防げそうにない…。
では彼らはいかなる方法で平成リセットを成功させようとしたのだろうか?
その点を踏まえ、次に「白ウォズ」について考えてみよう。

◆その5.「白ウォズ」の未来

ジオウという番組が2019年に突入した途端、突如として登場し視聴者の度肝を抜いた新キャラクター「白ウォズ」
ウォズ(黒ウォズ)とは異なる未来からやって来たという彼は、ゲイツを「我が救世主」と讃え彼をゲイツリバイブの力へと導こうとする…。

そして白ウォズのいた未来とは
「オーマの日」にゲイツリバイブがオーマジオウを倒すことで生まれた未来で、そのためオーマの日以降にもシノビやクイズなどの仮面ライダーが誕生しているという。

ここまでが前提。そしてここからが本題。
私が提示したいのは、
「白ウォズの世界=クォーツァー勝利√」という可能性である。

一周目の世界において、クォーツァーの野望はオーマジオウの誕生によって阻止されることとなった。
ならば2周目以降ではそれを排除したいと考えるのが必然。
そこでクォーツァーが目をつけたのが明光院ゲイツである。

彼は葛葉紘汰の介入を受け歴史へ深く影響を与える存在となってしまっており、それを修正するためカッシーンによる抹殺が図られるも失敗に終わる。(※解釈が別れるポイントだと思うけれど、私個人は年末に登場したカッシーンもまたクォーツァーの刺客だと捉えています)

しかしそこでクォーツァーは逆に、歴史への影響力が大きくなったゲイツの存在を起点に「彼がオーマの日にジオウを倒した可能性世界」を創り出す。
つまるところこの世界は「平成リセットが無事完遂された世界」であり、
よってシノビクイズ【やり直された平成ライダーシリーズ】の延長線上に作られたライダーであると考えられる。

しかしこの世界はあくまで曖昧な「可能性の世界」。
それを現実と確定させるために送り込まれたのが白ウォズ…なのではないだろうか。
そして白ウォズは2019年のゲイツに接触し、リバイブウォッチを与えジオウを倒すべく導かんとして…。
「我々」という発言から彼もまたクォーツァーに所属していることが伺える。未来ノートやビヨンドライバーもこの世界のクォーツァーが開発したデバイスか?
※『ゲイツ、マジェスティ』において白ウォズは大量のカッシーンを手駒として利用していた。その光景は『Over Quartzer』でクオーツァーに使役されるカッシーン軍団と似てもいる。カッシーンを意のままに動員できるという点からも、白ウォズがクオーツァーの一員であるという事が考えられるのではないだろうか。


◆その6.世界を整理!

ここまで話を聞いてもらって分かると思うが、ジオウの複雑ポイントは「周回」にこそある。
その1~5までで話したことを前提に、それぞれの周回を整理してみよう。

一周目 ラスボス:クォーツァー
魔王√。平成リセットに際し、ソウゴがクォーツァーを倒すためにオーマジオウとなった√。
平成生まれが消え、令和に繋がらなかった世界。ゲイツ、ツクヨミ、ウォズが2018年に来ていない。
2019年〜2068年と長く続く戦いによって世界は荒廃している。
2周目 ラスボス:スウォルツ
本編√。一周目の世界からゲイツ、ツクヨミ、ウォズが2018年に介入した√。
ゲイツ、ツクヨミが死亡したため、ソウゴがオーマジオウとなって時空を破壊→再創造した。
➡新時空である学園パロ世界へ。Vシネマ『ゲイツ、マジェスティ』へ続く
〇2周目アナザー ラスボス:クォーツァー
劇場版√。本編のパラレルEND?
ドライブ継承と同時に平成リセットが発動するも、ソウゴがオーマフォームとなってクォーツァーを打倒。時代が令和に繋がる。
ファイナルステージはこの√の続き。
新時空
ゲイツ、マジェスティ』√。本編√のオーマジオウによって創られた全く新たな時空。
登場人物に与えられた役割・設定などはこれまでとまるきり異なっており、旧時空での未来人・異世界人たちはそれに合わせて名前も変更されている。(時空の理の外にいるウォズだけが唯一本編√の地続きで存在し続けている。)

ここで疑問となるのが、「本編時空でのクォーツァーはどうなっちゃったの?」ということ。
本編でもクォーツァーの活動は確認されており、確実に存在はしている筈なのだが…。
そこでやや無理があるものの、一応の納得を得るために仮説を立ててみた。

説①「語られていないだけで、本編でも劇場版に似たイベントがあった」説
冬映画と同じ方式。
ソウゴがドライブを継承して平成リセットが発動するも、特にオーマフォーム誕生とかも無くクォーツァーを倒したという説。これならゲイツがやたら剛とチェイスの関係性に詳しかったことにも説明がつくが…?
説②「そもそもドライブ継承イベントをこなしておらず、クォーツァーが計画発動できないまま最終回を迎えちゃった」説

これまで私は「全ライダーの力を受け継ぐことで初めてオーマジオウに変身できる」とばかり思っていたのだが、最終回を見るにどうも「オーマジオウへの変身に伴い、自動的に全ライダーの力が継承される」らしいのだ。
となるとドライブが未継承でもひとまずオーマジオウ化には問題はない…。しかしこの場合、ゲイツがチェイスに熱く語りかけていたのは何だったんだ…?となってしまうのでやや不自然さが残る。

というわけで、「知らない所でクォーツァーは倒されてたよ」とするのがまだ自然にはなりそうである。
しかしやはり言及されていない以上妄想の域を出ないため、これに関しては公式での解説を切に求めたい…。


などとこれまで色々なことについて考えを巡らせてみたがどうだろう…?
これが少しでも誰かの考察や脳内整理の助けとなったなら幸いである。
また、「回収されていない伏線や説明されていない部分は今後の展開でも補完できる」と白倉Pも発言していることだし、いずれ出るであろう小説版など新たな展開にも期待しよう。

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