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岡本よりたかさんのメッセージ

大事な気づきがいっぱいの、よりたかさんのメッセージを無断転載。


岡本 よりたか
「ナスの非常識」
※栽培に関する長文なので、これも時間がある時にでも読んでください。
ナスは冬になれば枯れる。当たり前の話かもしれない。
なので毎年種を採り、翌年育苗ポットに種を蒔き、苗を育てる。しかしその育苗が難しく、なかなかいい苗ができない。
苗の出来が悪いと、栽培も上手くいかない。貧弱な苗だと生育が遅く、収穫したい時には収穫できず、随分遅くなってからやっと実を着け始める。
僕の顧客はマクロビをやってる人が多かったためか、遅く収穫したナスは売れなかった。ナスは身体を冷やすかららしい。
これは厳密に言えば間違いらしいのだが、一般的にはそう言われていたから、とにかく生育が遅れたナスは売れなかった。
色々、思考錯誤してみた。ナスは水が好きで太陽が好きで高温を好むと書かれている。それを厳密に守りながら育てていたのだが、ある時ふと気づくことがあった。
このナスを収穫せずに放っておくと、実は朽ちて地に落ちる。実の中には種があるから、そのまま放っておけば翌年わさわさと新しい芽が出てくるのではないか。
そうすれば敵期に芽吹き、自らの強い生命力で育ち、立派なナスになるのではないか。事実零れ種でよく育つ野菜はたくさんある。
そう意気込んで、ナスをいくつか収穫せずにそのまま放置してみた。しかし、翌年、残念ながら、ほとんど芽は出てこなかった。
いや、もちろんトマトなどは何粒も発芽してくるし、大根などもわさわさと出てくる。ナスとて全く出てこないわけでもないが、落とした種の数に比べて、発芽率は極めて悪い。おそらく0.1%ぐらいだろう。
実は、ナスは元々多年生なのである。ナスに限らず多くの野菜は多年生なのだが、日本の冬は厳しくナスは越冬できない。そのため、一旦枯れることになる。枯れた後は種を使用して翌年芽吹くのだが、冬の間に種が凍り、生命力を失う。
その大量の種の中で、実に守られて腐らなかった数粒だけが芽吹いてくる。しかも育って欲しいタイミングよりもかなり遅れて発芽してくる。
当たり前だ。そもそも気候が合わないのだから、寒い時期に芽吹いて、食べたい時に実を着けるはずがない。
そして僕は大きな間違いに気づいたのである。
"気候に合わない"
気候に合わないものを自然の力だけで育てる?そんなことができるはずもなく、できるよう頑張ったところで、それのどこが自然なのだろうか。
そう考えてみると、自然農法とかいう言葉が空虚に思えてくる。何をもって自然なのだろうか。
そう結論付いたら、あとは簡単だった。ナスを出荷適期にタイミング良く収穫するためのヒントは自然農法の中にはない。
あるとしたらナスの原産地の気候である。なぜそんな当たり前の事に気づかなかったのか、本当に自分が情けなくなる。
そして調べてみて驚いた。今までの常識が覆された気分だった。
ナスの原産地はインドの東部。ナスは基本多年生だが、インドの東部で芽吹くとしたら雨季。雨季は気温は高めで雨が多い。そしてナスの収穫最盛期は春。
インドの東部の春はなんと乾季であり、雨は一月に1〜2日しか降らない。気温は高くても30度。
ナスは芽吹きと幼苗の時は高温と多湿を好むのは事実だが、生育盛りの時は気温はさほど高くなく、雨も降らない。
そう、ナスは常に水が好きで高温を好むと教えられてきた常識がひっくり返ったのである。
そこで、育苗時は水をたっぷり与えてビニール温室で育て、畑に移した後は、畝に高めにして水捌けを良くし、昼間の気温の高い時に遮光シートで半日陰にしてみた。
そうすると、なんと、ナスは立派に育つようになったのである。
この育て方のどこにも"自然"などない。人間が気候の違うところで似非自然を作り上げているにしか過ぎないのである。
そして僕は自然農法という言葉を捨てた。
所詮、人は思い込みで事を進めようとする。自分が体験したわけでもないどこかの誰かの情報を丸ごと信じて、それが正しいと思い込んでいるだけなのである。
何ことも自分で考える。自分で確認してみることが大事である。
最近は情報を鵜呑みにする人が多すぎる気がする。ウイルスのことにしろ、社会常識にしろ、どこかの権威者が話せばそのまま信じてしまう。
結局、自分軸を持てないで生きていくことになり、そこには真実などなかったりするものなのだ。
ということで、僕が今書いた情報も、そのまま信じないで欲しい(笑)。必ずしもそうなるとは限らないのだからね。
長くなったけど、最後までお付き合いいただきありがとう。では、おやすみなさい。

#岡本よりたか

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