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聴く

先週からDTMで演奏を始めた曲を進めたかったが、稼業が爆発して、思うように進まなかった。

少し音を入れると来客、また少し音を入れると来客、という具合。

Logic Pro は、いろいろ使いにくいのだけれど、一番の問題は、望まない音が入ってしまったり、時間軸がずれたり、ウインドウが安定しなかったり、というようなところにある。

ピアノロールで、音だのCCだのを選択しようとして、マウスでクリックする。そのときに、commandキーを押していると、音が入ってしまう。

あ、要らない音が入ってしまった、と、目視できるなら、それをマウスで選択して消せばよい。だが、その瞬間、勝手に、全然違う場所へ一瞬でスクロールしてしまう。すると、目視でわからない。あとで、聴いてみて、あれ、変な音が入っている、という具合になる。

トラックをマウスで選択するときに、わずかにドラッグ気味になったりすると、トラックごと時間軸がズレる。ズレたことに気づかないで音を入れると、全体がズレてしまう。

そういったエラーが発生したかもしれない、と思ったときは、そこで手を止めて、とにかく全体を目視する。音がないはずのところに音が入っていたりすれば、それは目視で発見できるし、トラックのズレもわかる。

目視でわからないエラーを探すには、聴く。聴いて、変な音を探すしかない。

というわけで、今、繰り返し聴いている。最初の2〜3回は傾聴する。MacBook Air のスピーカーに耳を近づけて、聴く、聴く、聴く。

そのあとで、流して聴く。傾聴すると、かえってわからない音があって、流して聴くとわかったりする。

傾聴するときには、昔、アマチュア無線で培った聴き方が役に立つ。ほとんど誰も使っていない周波数帯の、SSBの波をひたすら聴く。来る日も来る日も、雑音だけを聴く。雑音を聴いていると、なにか意味のある声が聴こえるような気がする。幻聴だ。それが幻聴かそうでないかを峻別する。

そして、1ヶ月に1回くらい、ほんとうの電波を受信する。その声は、雑音に埋もれて聴こえない。でも、聴く。聴こえない声を聴く。

そんなことをしていたら、聴く力がついてしまって、聴こえすぎて困ることになってしまった。なので、ヘッドホンは使わない。モニタ用のヘッドホンは持っているのだけれど。聴こえすぎて、僕が「小さな音」と聴く音は、一般の人には聴こえない。さらには、大きな音でも、そのわずかな変化が大事なときはその音をクローズアップするのだけれど、それは、一般の人にとっては、ただ単なる大きな音でしかない。

なので、演奏の時は、iMacのスピーカーを標準的に使う。低音が大きく鳴りがちなので、そこは多少は考慮するが、ほぼ考慮しない。

それほど良くないオーディオ環境で確認しながら演奏する。それが一番良い結果を生む。

演奏している曲は20世紀の曲。不協な和音は多い。和声もぎりぎりの和声で、前の音の残響が残ると、やはり不協な響きになる。が、そこは、しかたがない。

初見の楽譜なので、音が間違っていても、ちょっとわからない。不協でないように響けば、それでよし、とする。そして、不協でも、表現の理屈がつけば、それでよし、とする。そんな感じだ。

明日も稼業が多忙になる予定なので、まあ、ぼちぼちやるさ。

焦って、速く作業しようとするのがいちばんいけない。Logic Pro は、いつだって、予期しない、へんてこりんな動作をして、データを壊そうとする。Logic Pro のその企てを許さないことが、最善にして、最速になる。

そして、最後は、僕の耳が頼りだ。一般の人より少しだけ良い耳は、音楽とは全然関係のないアマチュア無線で鍛えられたのだから、人生はわからない。


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