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39)ベツレヘムのクリスマス

初めての海外旅行は聖地巡礼のイスラエル。
年末年始の日程だったのでクリスマスの雰囲気は味わえないのかと残念に思っていたが、経由地のロンドンもイスラエル各地の教会もまだまだツリーとネイティビティ(キリスト生誕のジオラマ)が飾られていて、旅行中ずっとクリスマスだった。

子どものころに読んだ海外の物語ではクリスマス休暇というのが出てきた。『飛ぶ教室』など読んで、よくわからないながらにどうも日本の冬休みやお正月とは少し違うんだなと知った。まだ教会に足を踏み入れたこともなく、遠い未知の世界だったころ。

夜遊びも覚えた大学生のころ、12月25日の深夜の商店街を歩くと店という店が一斉にクリスマスの飾りを片付けてお正月のしつらえを整えているのを見た。クリスマスの夜にこんなに慌ただしく働いている人がいる。楽しむ人をもてなすためではなく、ただ飾りを入れ替えるために。一夜明けてまるでクリスマスなどなかったかのように、いかにも日本らしいお正月の風景を作り出すためには、その作業はクリスマスの夜にするしかないのだ。クリスマスにもお正月にも申し訳ない気がした。

今日も日本中で同じ光景が繰り返されているのだろうか、と、毎年思い出しては切ない気持ちになる。クリスマスとお正月が共存していてもいいのに。

「神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。」

クリスマスおめでとうございます。

2019/12/25

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