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加藤和彦の愛聴盤〜『あの頃、マリー・ローランサン』そして『ヴェネツィア』

加藤和彦『あの頃、マリー・ローランサン』(1983)

十数年前、飽きることなく毎夜毎晩擦り切れるほど聴いた一枚。
トノバン(加藤和彦)の声が賛否両論だろうけど、安井かずみの詩、トノバンの曲、そして坂本龍一、高橋幸宏、高中正義、矢野顕子、清水信之、ウィリー・ウィークスなど錚々たる顔ぶれのミュージシャン。

「ニューヨーク・コンフィデンシャル」は矢野顕子が、「テレビの海をクルージング」は映画監督の岩井俊二(ヘクとパスカル)が、そして「タクシーと指輪とレストラン」はゴスペラーズの村上てつや、最近ではLil’ Goldwellがカバーしていて、こちらも素晴らしい。
「ニューヨーク・コンフィデンシャル」は構成が見事で、安井かずみの詩の世界に思わず引き込まれてしまう。
「タクシーと指輪とレストラン」は上質の短編小説を読むようなお洒落さが魅力的。
「テレビの海をクルージング」は、安井かずみが肩の力を抜いて書いたような、市井の庶民の哀歓が愛おしい。

加藤和彦『VENEZIA』(1984)

『あの頃、マリー・ローランサン』の翌年、前回のアルバムと異なり、ヴェネツィアをテーマに描いたコンセプトアルバムである。演奏も、マーク・ゴールデンバーグの打ち込み主体。

「キャフェで読むニュースは二日遅れのヘラルドトリビューン
 誰に気兼ねもなく過ごす時間もいいものだと」(加藤和彦「ハリーズBAR」)

ヴェネツィアの観光名所でもあるバー・レストランであるハリーズ・バー。
ハリーズ・バーはヘミングウェイが足しげく通った名店。
イタリアのスパークリングワインであるプロセッコを桃のジュースで割ったカクテル「ベリーニ」や、牛の生肉を薄くスライスした「カルパッチョ」発祥の店としても世界的に著名である。

加藤和彦の「ハリーズBAR」は、失恋後の切なさを描いた名曲だが、僕は楽しい気持ちでいつかハリーズ・バーに行ってみたいものだ。

夢は見ても叶うかどうか分からないが、見てみなければそもそも叶うことはない。だからまず夢を見ることから始めよう。


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