無愛想なモテ

僕は昔から無愛想で小学校のアルバムをみても笑っている写真が一枚もない。

暗い人間というわけではない。写真に残っていないだけで笑うときは笑うし元気はいいほうだと思う。

ただ人見知りで人とずっと一緒にいると疲れてしまうことがあるので感情を無にしてしまうことがある。

そんなこともあって中学生のときにつけられたあだ名は「無表情」だ。

中学生はまではまだ良かった。小学校からの友人や近所の人に囲まれていたから過ごしやすかった。

高校生になると人見知りが全開に発動する。このときは自分が人見知りとか内向的とかまったく意識していなかった。

だから、みんなすぐに仲良くなっていく波に乗り遅れて話せる人は野球部の人しかいなかった。

僕は少しツンツンしてる人間に憧れていた。そっちのほうがカッコいいと思っていたからだ。要はクールな人間のほうがモテると思っていた。キムタクばりのルックスがないと無理なのに。


今から自分にアドバイスするならニコニコして恥さらし全開で過ごせと伝えたい。

そんな無愛想でクール気取ってるひねくれ者でも3年生になると少しモテるようになった。モテるというよりは3年生というブランドが自分を少しだけ輝かしいものにしていたのだ。

あるとき突然のメールがきた。
「突然メールしてすみません。1年A組の〇〇です。良かったら連絡して下さい。」

え?無愛想でクール気取ってるひねくれ者で女とは無縁の人間だと思っていたが突然のメールに戸惑いが隠せない。

素直に返せばいいもののクールにシカトするのがひねくれて者のやり方だ。本当は飛び跳ねるくらい嬉しいくせに。

翌日、友人に「〇〇さんって知ってる?」としれっと聞いてみた。

「あー知ってる。めっちゃ可愛いよ。一年生の中でアイドル的存在だよ」という言葉が返ってくることを期待したが「しらねー」の一言で終わった。

「どうした?」と聞かれたが「別になんか連絡きた」といかにも興味ありませんよアピールをする。

さて、素直になれない自分はこの後の戦略を知らない。クールという名の人見知りが発動しているためこちらから声を掛けることは皆無だ。だからといって端からみたら不愛想なものだから怖い印象があるだろうから向こうから声が掛かることはない。

何通かメールでやり取りをしていたが、なんとなく簡単に俺の彼女になれると思うなよという謎のひねくれモードが発動した。

ひねくれモードに



そして社会人になり彼女のいない日々が続く。だからいちど連絡してみるというダサい行為にでた。

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