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読書2 「罪人の選択」

大好きな作家「貴志祐介」待望の新刊。2年半ぶりとのこと。前作は「ミステリークロック」かな。前作は榎本シリーズで、残念ながら貴志祐介のシリーズものはそこまで好きではないので、今回はちょっと楽しみにしていた。何にせよ今回はどんなヤバい世界を見せてくれるのか、ワクワクしながら読んだ。

今作は4作からなる短編?集。それぞれ特徴的なものだった。

「夜の記憶」

『十三番目の人格-ISOLA-』『黒い家』の本格デビュー前に書かれた貴重な一編。貴志祐介ワールドの原点!

たしかにいろんな意味で原点のような作品だった。作品全体的に説明が難しく、設定を噛み砕くまでにやや時間がかかった。やはりこのあたりの文章力、読み易さはデビュー前だからなのか。一方で、設定自体のきめ細かさ、そもそもの発想はすごい。どちらかというと上の二作品よりも「新世界より」とかのSF感が強い。最初はそっちの方が書きたかったのだろうか。いずれにせよ、なぜそんなことを思い付くのか。恐ろしい。この作品が私の生まれる前というからさらに恐ろしい。

「呪文」

『新世界より』の刊行後ほどなくして発表された短編。惑星「まほろば」で何かが起きている……。

こちらはまさに「新世界より」の続編かなと勝手に思えるような内容で面白かった。読みやすさも今のレベルになっている。宇宙規模の「新世界より」。いろいろと妄想が捗った。今作でもそうだが惑星「まほろば」など日本的な名称が多いのも好み。

「罪人の選択」

「罪人」の前に出されたのは、一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。果たして正解は?

こちらはサスペンスちっくな作品。貴志祐介さんは人物の心情描写がすごいと思っている。そこが読んでいて引き込まれるというか、共感できるものがあったり、なかったり。今作はその辺の心情描写がよかった。場面自体は他の作品のように派手ではないが、その分細かく人の描写がある。どうなるのか…先の展開が気になる良い作品だった。

「赤い雨」

新参生物のチミドロによって、地球は赤く蹂躙された。スラム出身の瑞樹はRAINの治療法を探る。最新SF!

非現実的な設定をすごい方法でなんとなくあり得るかも…と思わせる技術も凄いと思う。今作もそんな作品。もうちょっとサスペンス要素があるとよかったかなと思った。今作が最新で2017年に連載が終わったものらしい。やっぱりSFとか壮大な設定ものが本人はお好きなんでしょうか。

今回は短編、しかもSFよりだったが、やはり貴志祐介さんの作品は面白い。できれば今度は長編でヤバいやつをいっちょ発表していただきたいな!ゾクゾクするようなやつね!


★★★★⭐︎

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