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発達障害児の歯科治療


 我が家の発達障害のある三男は小さい頃から感覚過敏が強く、歯ブラシを口の中に入れただけでえずいてしまい、ほとんど歯磨きが出来ませんでした。私も無理矢理磨くということをせずに、時期が来たらできるようになるかなと、のんびり構えていました。2歳半まで夜間授乳が続いていたことも原因でしょう。

 2歳になったころからなんとなく歯が黄色いような黒くなってきているような気になっていました。歯医者さんに連れて行っても、全く口を開けることも出来ず、ただただ泣きじゃくるばかりで、普通の歯医者さんでは、お手上げ状態が続いていました。一度虫歯に被せをつける応急処置的な治療をしてもらいましたが、泣き叫び、嗚咽し、先生の指を噛み、この先この子は歯の治療が出来るのかと不安に駆られました。

 3歳過ぎには、明らかに虫歯が増えてきているにも関わらず、偏食から食べれるものが限られていました。前歯も黒くなってきました。歯医者に連れて行くが何も出来ないまま帰るの繰り返しでした。

 年少の冬に痛みから体調も崩すようになりました。その時に発達相談をしていた地域支援の先生から障害児歯科を紹介してもらいます。

 藁をも掴む思いでその歯医者に連れていくと、先生方の対応は目から鱗状態でした。本人も安心したのか、痛みから危機感を感じていたのか、先生の専門性や言葉かけの素晴らしさなのか、治療に行き着くことができました。一時は大学病院で全身麻酔で一気に治すと言う話もでましたが、治療をうけおってくださった先生のお陰で大変な治療を乗り越えることができました。先生は彼にカードで治療の手順を示し見通しを持たせてくれたり、治療器具一つ一つに慣れる練習をしたりしました。言葉かけも、一つ一つ三男と向き合い、三男の声を確認しながら、治療してくださいました。一つの歯は腫れて膿が出てきている状態で、その治療は緊急で行い見ている私達夫婦も本当に辛かったです。ここまで、何も出来なかった自分を悔やまれ、本当に申し訳ない気持ちで一杯になりました。

 それから一年かけて、合計8本の歯を治療でき、2本は根っこの治療も出来ました。偏食は変わらずですが、グッとしっかり噛む力がつき、食べる喜びも見てわかるほど、体調も落ち着きました

 今では「歯医者さん、頑張ったら歯がピカピカ、バイ菌やっつけた!」と、成功体験を得ることができました。毎日の歯磨きもしっかりできるようになりました。

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