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わたしのココロささげます

俺には3年半付き合ってる彼女が居るんだけど
この彼女がスッゲー嫉妬深い
携帯の連絡先に女性の名前があれば
問い詰められるし
女友達と遊ぶなんて言語道断
それに女性の店員と少し話しただけでも
怒ってくるんだ

「可愛い子だったから話してたんでしょ?
デレデレしちゃって
ちゃんと私だけをみててよ!!」

最近特に彼女の嫉妬が酷くなってきて
喧嘩ばかりしてる
そろそろ潮時なのかな…

そんな事を考えてると
「ん?彼女からメッセージだ、なになに?」

『最近喧嘩ばかりでごめんなさい
明日はバレンタインだし
あなたの大好きなシチューを作ったの
特別なプレゼントもあるから
明日うちに来てね』

へぇ シチューか
あいつの作るシチュー美味いんだよな
バレンタインに俺の好物作ってくれるなんて
こうゆう所は可愛いんだよなぁ
よしっ仲直りするか

ピンポーン

「おーい俺だよ」

ピンポーン ピンポーン

「居ないのか?あれ鍵あいてる…入るぞ?」

あれ?居ないのか?
買い忘れでもあったのかな
鍵もかけないで…
おいおい鍋を火にかけたままだ
あぶねーな火事になったらどうするつもりだ
ん?メモが置いてある

『とっておきの
美味しいシチューができています
一生懸命心を込めて作ったの
絶対残さず食べてね♥️』

鍋の中にはシチューが出来上がっていて
美味しそうな香りがする
彼女はまだ帰ってないけど…
まぁいいや腹減ったし いただきます!

「おおっめちゃくちゃうめぇーっ」

肉も柔らかくて最高に旨い!!

あー腹いっぱい食ったらなんだか眠くなってきたなぁ
彼女が帰ってくるまで 一眠りするか

「あら
お腹いっぱいになって寝ちゃったのね
可愛いなぁ
あっ!シチュー全部食べてくれてる
わぁ嬉しいっふふふっ」

ぽたっ ぽたっ

ん……ん?なんだ?顔に何か垂れて

「おいしかった?
ねぇ、わたしが作ったシチュー
おいしかった?」

目を開けると 彼女が俺を覗き込んでいた

「うわっびっくりした!帰ってたんだ
おぅ、シチューうまかっ…えっ‼︎」

「お前……どうしたんだ⁉︎…」

目の前の彼女は血だらけで
胸にポッカリ穴が空いている

「ふふふふ…あれ
わたしの心臓が入っていたのよ…
ちゃーんと ぜんぶ 食べてくれたのね
すっごく嬉しいわ
……ふふふふ…
わたしの 心を受け取ってくれてありがとう
これで あなたは
もう浮気なんてしないわよね?
だってわたし達
やっと一つになれたんだもの
ふふふふふふふふふ」

「うっうわぁぁーーーーーっ!!」

そこからは記憶が無くて
どうやって家に帰ってきたのかも覚えてない

彼女は自分で心臓をとったのか?
なら誰が調理したんだ?
彼女は幽霊になって調理したのか?
それとも

もともと人間じゃなかったのか…

いずれにしても
彼女の熱烈な愛は俺に届いた

俺の腹の中には今でも彼女が居る
あの日以来ずっと消化せずに残ってるんだ

彼女と俺は一つになったんだよ

おしまい

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