【創作】 なつこさん
なつこさんは何も出来なかった。
なつこさんは、アルバイトの面接を受けても、
ちからこぶを作ろうと筋トレに通っても。
なにも出来なくて、
親にぶたれたけど。
でも、
なにもできないのが自分だとわかって。
自分の書いたイラストをネットで売って、
お白湯をすすりながらも
コーンポタージュを啜ったと呟いたら
アンチコメントが来て。
そのアンチコメントでさえ、
不思議宇宙人とあだ名を付けて
怒り狂っておせんべいを潰した。
嗚呼、なつこさん なつこさん
愛しの、愛しの、なつこさん。
なつこさんでさえ、新種のウイルスはこわくって、
その日の日記帳にはウイルスのめんたまを潰す想像の世界を描いた。なつこさん なつこさん
なつこさんは実はウイルスを倒す病原体そのもので、
なつこさんがそのことに気づいた途端、
なつこさんのおばあさんは何故か若返るんだけど。
なつこさん、なつこさん
気づかなくていいよなつこさん
僕は、なにもできない。
そんななつこさんが、
悩みもしないなつこさんが、
見ていて、とても心地がいいんだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?